「忍びの国」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日で何もなければ1日のんびり過ごすつもりです。
と言ってもやることは山積みなので、
なかなか進まないと悶々としつつ、
今日の日を終わることになりそうです。
今日は祝日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
和田竜さんのベストセラー「忍びの国」が、
大野智さんを主役にして映画化され今公開中です。
これは原作も読んで映画を観ました。
忍者で有名な伊賀の国を、
信長の次男である信雄が父には無断で攻めるのですが、
それに失敗。
その2年後に今度は信長が指揮を執って攻め、
伊賀の国は滅ぼされる、
という史実を元にした物語で、
信雄の伊賀攻めの裏にあった駆け引きと、
規格外の最強忍者であった無門の活躍によって、
最初の伊賀攻めが失敗に終わる顛末が、
作品の肝になっています。
僕はこの和田竜さんという人の作品はちょっと苦手で、
「のぼうの城」とこの「忍びの国」を読みましたが、
どちらもあまりすっきりとした読後感を感じませんでした。
「のぼうの城」は秀吉の小田原攻めの時に、
石田三成の指揮による水攻めを受けながら、
小田原城の落城まで持ちこたえた忍城のエピソードで、
「忍びの国」は信雄の伊賀攻めですから、
どちらも1回は強敵を跳ね返したものの、
結局は歴史の流れには抗えずに、
滅んでしまうというところは同じです。
それを最初に強敵を跳ね返したのは、
そこに変わり者のヒーローがいたからだ、
というように物語を作っているのですが、
結局はすぐにやられてしまうのですから、
何かスカッとはしません。
両方のエピソードとも、
「のぼうの城」は石田三成が、
「忍びの国」は織田信雄が、
無能であったために起こったのだと思えてしまう展開なので、
これも盛り上がらない原因となっているように思います。
「忍びの国」の方は、
伊賀の国を率いている頭目のような人たちが、
色々と企みを巡らしているのですが、
それが自分の息子を殺させておいて、
もう1人の息子に伊賀をわざわざ裏切らせる、
というようなもってまわった馬鹿馬鹿しいもので、
とても説得力がないように感じますし、
それでいてすぐに下人の忍者には裏切られてしまい、
それを察知することも出来ない、
というあまりに間抜けで脱力してしまいます。
悪党が間抜けにしか描かれていないので、
主人公がそんな馬鹿を最初は信用していて、
最後は裏切られたと言って怒り、
それで自分の国を滅ぼしてしまうという展開にも、
違和感があります。
時代物というのは、
現代の感覚では了解不能のような人物がいるからこそ、
面白いのだと思うのですが、
それが了解可能のように主人公が描かれているのも、
どうにも物足りない感じがするのです。
そんな訳でとても上出来とは思えないのですが、
実際にはとても売れていて人気もあるので、
どうやら僕の感覚が多くの方とは違っているようです。
今回の映画は登場人物を少し整理している以外は、
ほぼ原作通りの映画化になっています。
人物の整理の仕方も、
伊賀を裏切った忍びを2人から1人にしたりと、
映像化するとゴタゴタしてしまう部分を切っているので、
なるほどと思う、クレヴァ―な改変で、
台本はまずまず巧みに構成されていると思います。
ラストは白戸三平みたいな感じを入れていて、
無門が影丸とダブるのですが、
それもなるほどという感じです。
演出はかなりムラがあって、
昔の作家性の強い低予算の時代劇のような、
様式的でシュールな感じの場面も少しあり、
最初に國村隼さん扮する北畠具教が殺されるところなどは、
なかなか良い感じなのですが、
後半の合戦場面になると、
お金が足りずにエキストラが少ないことがありありで、
合戦の筈が数人の小競り合いというようなビジュアルで、
これにはかなりガッカリしました。
チープなCGの乱用もどうかと思います。
総じてセットの場面は良いのですが、
野外のシーンは概ね駄目でした。
同じ予算でももう少しお金を掛けるべきところを変えて、
構成するべきではなかったのかな、
というようには思いましたが、
「のぼうの城」は小城の城攻めですから、
お城を1つ用意すれば良いところを、
今回は伊賀の国自体を攻めるという設定で、
仮の城を作ってすぐに壊したり、
忍者の砦も登場したりするので、
今の日本映画の現状からすると、
少し無理があったのかも知れません。
役者は主役の大野さんを含めて概ね好演で、
娯楽時代劇としてかなり頑張っていたと思うのですが、
スケールに予算が追い付かず、
やや空中分解気味になったことは残念に思いました。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日で何もなければ1日のんびり過ごすつもりです。
と言ってもやることは山積みなので、
なかなか進まないと悶々としつつ、
今日の日を終わることになりそうです。
今日は祝日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
和田竜さんのベストセラー「忍びの国」が、
大野智さんを主役にして映画化され今公開中です。
これは原作も読んで映画を観ました。
忍者で有名な伊賀の国を、
信長の次男である信雄が父には無断で攻めるのですが、
それに失敗。
その2年後に今度は信長が指揮を執って攻め、
伊賀の国は滅ぼされる、
という史実を元にした物語で、
信雄の伊賀攻めの裏にあった駆け引きと、
規格外の最強忍者であった無門の活躍によって、
最初の伊賀攻めが失敗に終わる顛末が、
作品の肝になっています。
僕はこの和田竜さんという人の作品はちょっと苦手で、
「のぼうの城」とこの「忍びの国」を読みましたが、
どちらもあまりすっきりとした読後感を感じませんでした。
「のぼうの城」は秀吉の小田原攻めの時に、
石田三成の指揮による水攻めを受けながら、
小田原城の落城まで持ちこたえた忍城のエピソードで、
「忍びの国」は信雄の伊賀攻めですから、
どちらも1回は強敵を跳ね返したものの、
結局は歴史の流れには抗えずに、
滅んでしまうというところは同じです。
それを最初に強敵を跳ね返したのは、
そこに変わり者のヒーローがいたからだ、
というように物語を作っているのですが、
結局はすぐにやられてしまうのですから、
何かスカッとはしません。
両方のエピソードとも、
「のぼうの城」は石田三成が、
「忍びの国」は織田信雄が、
無能であったために起こったのだと思えてしまう展開なので、
これも盛り上がらない原因となっているように思います。
「忍びの国」の方は、
伊賀の国を率いている頭目のような人たちが、
色々と企みを巡らしているのですが、
それが自分の息子を殺させておいて、
もう1人の息子に伊賀をわざわざ裏切らせる、
というようなもってまわった馬鹿馬鹿しいもので、
とても説得力がないように感じますし、
それでいてすぐに下人の忍者には裏切られてしまい、
それを察知することも出来ない、
というあまりに間抜けで脱力してしまいます。
悪党が間抜けにしか描かれていないので、
主人公がそんな馬鹿を最初は信用していて、
最後は裏切られたと言って怒り、
それで自分の国を滅ぼしてしまうという展開にも、
違和感があります。
時代物というのは、
現代の感覚では了解不能のような人物がいるからこそ、
面白いのだと思うのですが、
それが了解可能のように主人公が描かれているのも、
どうにも物足りない感じがするのです。
そんな訳でとても上出来とは思えないのですが、
実際にはとても売れていて人気もあるので、
どうやら僕の感覚が多くの方とは違っているようです。
今回の映画は登場人物を少し整理している以外は、
ほぼ原作通りの映画化になっています。
人物の整理の仕方も、
伊賀を裏切った忍びを2人から1人にしたりと、
映像化するとゴタゴタしてしまう部分を切っているので、
なるほどと思う、クレヴァ―な改変で、
台本はまずまず巧みに構成されていると思います。
ラストは白戸三平みたいな感じを入れていて、
無門が影丸とダブるのですが、
それもなるほどという感じです。
演出はかなりムラがあって、
昔の作家性の強い低予算の時代劇のような、
様式的でシュールな感じの場面も少しあり、
最初に國村隼さん扮する北畠具教が殺されるところなどは、
なかなか良い感じなのですが、
後半の合戦場面になると、
お金が足りずにエキストラが少ないことがありありで、
合戦の筈が数人の小競り合いというようなビジュアルで、
これにはかなりガッカリしました。
チープなCGの乱用もどうかと思います。
総じてセットの場面は良いのですが、
野外のシーンは概ね駄目でした。
同じ予算でももう少しお金を掛けるべきところを変えて、
構成するべきではなかったのかな、
というようには思いましたが、
「のぼうの城」は小城の城攻めですから、
お城を1つ用意すれば良いところを、
今回は伊賀の国自体を攻めるという設定で、
仮の城を作ってすぐに壊したり、
忍者の砦も登場したりするので、
今の日本映画の現状からすると、
少し無理があったのかも知れません。
役者は主役の大野さんを含めて概ね好演で、
娯楽時代劇としてかなり頑張っていたと思うのですが、
スケールに予算が追い付かず、
やや空中分解気味になったことは残念に思いました。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2017-07-17 10:10
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