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「カフェ・ソサエティ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の記事は映画の話題です。

それがこちら。
カフェ・ソサエティ.jpg
80歳を過ぎても精力的に新作を発表し続けている、
ウディ・アレンの脚本・監督による新作に足を運びました。
短期間でしたが、足場の良い新宿で、
公開してくれたのが良かったです。

ウディ・アレンはニューヨークを代表する映画作家の1人で、
コメディアンからスタートして、
オリジナルのコメディ映画で頭角を現し、
「アニー・ホール」でウィットに富むセンスのある人間ドラマを確立すると、
その後は映画の楽しさを満喫させる、
多くのアレン映画を生み出しました。

僕は昔テレビで何度もやっていた、
初期のコメディの「バナナ」が大好きで、
文字通り腹を抱えて笑いました。

その後「アニー・ホール」から、
78年の「インテリア」、79年の「マンハッタン」、
80年の「スターダストメモリー」。
82年の「サマーナイト」辺りは封切りで観て、
「スターダストメモリー」と「サマーナイト」という、
彼がスランプの変な藝術映画にはうんざりしましたが、
その後持ち直して独自のアレン映画を確立。
特に85年の「カイロの紫のバラ」、
86年の「ハンナとその姉妹」には、
非常な感銘を受けました。

今回の作品は95年の「ブロードウェイと銃弾」に通じるような、
1930年代のハリウッドとニューヨークを舞台にした、
映画と舞台への愛に満ちた物語で、
気弱なくせに意外に野心家のユダヤ人の青年を主人公に、
気難しく妻の尻に敷かれた学者や、
暴力的だが気の良いギャング、
妻に離婚を切り出せない辣腕のプロデューサーなど、
いつもの懐かしいアレン印の登場人物達が活躍し、
美しい美術とキャメラも相俟って、
映画の至福を観る者に感じさせます。

昨年の「教授の奇妙な妄想殺人」はやや変化球でしたが、
今回の祝祭劇はアレンの世界そのものです。

ドラマとしては、
それぞれ別の相手を伴侶に選んだかつての恋人が、
苦い再会をして相手に思いを馳せるという、
定番のラブロマンスで、
1時間半程度の上映時間の中に、
人生の様々な情感を盛り込んで、
過不足なく1つのドラマに仕上げる辺りに、
アレンの職人芸は健在という思いがしました。

充実度から言えば、
矢張り80年代半ばくらいがアレンのピークで、
当時の作品と比較すると、
その人間ドラマとしての奥行には、
不満の残る部分はあるのですが、
酸いも甘いも心得た人生と恋愛の達人ウディ・アレンの、
力の抜けた人生スケッチとして、
しばし贅沢な気分に酔うことが出来ました。

アレンの映画はいつもすぐに終わってしまうのですが、
こうしてコンスタントに公開されるのは、
とても嬉しいことだと思います。

お薦めです。

それでは次も映画の話題です。
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