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「髑髏城の七人」(Season花) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも、
石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
髑髏城の7人.jpg
客席全体が360度回転するという、
新機構の劇場のこけら落としとして、
劇団☆新感線の代表作の1つ「髑髏城の七人」が、
装いも新たに上演されています。

これから1年以上を掛けて、
4つの異なるバージョンが上演されるとのことですが、
その最初の公演「Season 花」を観て来ました。

場所は例の豊洲市場の隣で、
広大な更地にポツンとプレハブ的な劇場が建っています。
劇団四季の劇場とほぼ同じような外観で、
まあコストをそれなりに下げるには、
仕方のないことなのでしょうが、
殺風景でこれから芝居を見るぞ、
というワクワク感はあまりありません。

1フロアに1300席余りの客席があり、
その客席全体が、回転する巨大な盆の上に乗っていて、
その周囲360度に舞台装置が作られています。
通常の大劇場では、客席は固定されていて、
舞台転換では左右もしくは前後に、
舞台装置の方が動くのですが、
この客席回転式の劇場では、
客席の方が回転して移動することにより、
舞台の転換が行われるという仕組みです。

広角の270度くらいに緞帳の役目も果たすスクリーンがあって、
そこに風景などの映像が映し出され、
それを見ながら客席が回転します。

360度の舞台装置とは言っても、
4方向に出入り口の通路があるので、
比較的奥行のある装置の組める部分と、
ほぼ通路のようなスペースで、
奥行のないセットしか組めない部分があります。
従って、奥行のないセットの部分は、
物足りなさが残るのですが、
120度以上の広角に広がった舞台については、
ちょっとこれまでの舞台装置にはないスケール感があり、
これにはかなり圧倒されました。

クライマックスの戦闘シーンで、
上手から下手に川が流れていて、
丘が大きく後方に広がり、
遠方のホリゾントにも空の映像が映し出されています。
本当に映画のワンシーンの中に入り込んだような臨場感で、
これについては一度体感する価値は、
間違いなくあると思います。

ただ、意外に奥行のない場面はしょぼい感じもあり、
全てが豪華、という訳ではありません。
客席の回転には意外に時間が掛かるので、
それほどスピーディに場面転換が行われている、
というようにも思えません。
前半が1時間15分、後半が1時間50分という上演時間は、
これまでのこの作品の上演歴の中でも、
最も長いものだと思いますが、
長くしている原因の1つは、
その転換の時間にあるように思います。

さて、作品の「髑髏城の七人」は、
1990年に初演が行われ、
その後1997年、2004年、2011年と上演を重ねています。
僕は1997年のサンシャイン劇場、
2004年の東京厚生年金ホールのアカドクロ版、
2011年の青山劇場のワカドクロ版の3回には足を運びました。

戦国時代、織田信長の影武者が、
信長の死後に関東で日本支配を目論む、という話で、
設定はなかなか面白くワクワクする部分があります。
古田新太さんが善悪の影武者を1人2役で演じる、
というのがそもそもの眼目だったのですが、
最後の対決が1人2役では盛り上がりに欠ける、
と言う欠点がありました。

それで2011年版からは、
2人を別々の役者さんがするようになり。
古田新太さんは出演せず、
小栗旬さんと森山未來さんが、
それぞれ演じるという趣向になりました。

今回の舞台ではその趣向を踏襲していて、
善の影武者は2011年と同じ小栗旬さんが演じ、
悪の影武者は成河さんが演じています。
古田新太さんは美味しい脇役の鴈鉄斎での出演で、
殺陣の場面では昔懐かしいローラースケートも披露します。

ただ、成河さんは確かに高音の突き抜けるような声が良く、
演技も上り調子の役者さんですが、
背が低くて押し出しは今一つですし、
これじゃ右近健一さんと変わらないな、
という印象を持ちました。

百姓上がりの野武士で大暴れをする抜かずの兵庫は、
今回青木崇高さんが演じたのですが、
この役はどうしても橋本じゅんさんが目に浮かぶので、
やや物足りない感じは残りました。

作品としては面白いのですが、
あまり遊びがなく、
矢張りラストの大立ち回りが、
元の1人2役の設定が抜け切れない感じがあって、
盛り上がりに欠けるのは今回も同じでした。

新感線には他にも多くの優れたレパートリーがありますから、
この作品が本当に今回のこけら落としにベストであったか、
という点はやや疑問にも感じます。

ただ、一介の小劇場からのし上がり、
今や最盛期の劇団四季と同じようなことを、
堂々とやっているのですから、
つくづくいのうえひでのりさんは凄いな、
とは思います。

そんな訳で、
どうしてもキャストを4つに割っているので、
1回のステージで全てベストキャストという訳にはいかず、
その意味では欲求不満も残るのですが、
これまでにない舞台機構を持つ劇場を、
堂々と使った大芝居で、
一見の価値は間違いなくあると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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