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乳製品の摂取と高血圧の関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
乳製品と高血圧.jpg
本年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
乳製品の摂取と血圧との関係についての論文です。

乳製品にはカルシウムが多く含まれ、
そのため血圧には良い影響があると想定されます。
その一方で乳脂肪は動物性の脂肪ですから、
その摂り過ぎはメタボにも繋がり、
血圧にも悪影響を与える可能性があります。

これまでの疫学データにおいて、
乳製品の摂取量が多いほど、
高血圧が少なく血圧も低い、
という結果がある一方、
そうした関連は認められない、
というような結果も報告されています。

そこで今回の研究では、
乳糖分解酵素に関する遺伝子変異を、
これまでのデータを元に解析して、
その検証を行っています。
遺伝性変異のあるなしは無作為に決められているとして、
その比較を行う、
メンデル無作為化解析という手法です。

乳酸分解酵素が機能しないような変異がある場合、
乳製品を摂れば下痢になってしまうので、
乳製品は殆ど摂らないと想定されます。
この変異のあるなしは無作為に決められると想定されるので、
変異のある群とない群で比較するということは、
クジ引きで乳製品を摂る人と摂らない人とを分けて観察することと、
同じ意味があるという考え方になるのです。

今回の研究では、
これまでの遺伝子変異と病気についての、
22の臨床研究からのトータル171213名のデータを元に、
乳酸分解酵素に関わる遺伝子変異と、
高血圧及び収縮期血圧との関連を検証しています。

その結果、
乳製品の摂取に関連のある遺伝子変異と、
高血圧の発症及び収縮期血圧との間に、
有意な関係は認められませんでした。

つまり、乳製品の摂取と血圧との間には、
良くも悪くもそれほど明確な因果関係はなさそう、
という結果になっています。

乳製品と健康や病気との関連については、
色々な見解がありまだ一定はしていませんが、
高血圧に関しては、
ある程度の乳製品の摂取が、
少なくとも悪く働くということはなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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