「娼年」(作 石田衣良 脚本・演出 三浦大輔) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日2本目の演劇の記事になります。
それがこちら。
石田衣良さんの「娼年」と「逝年」を、
ポツドールの三浦大輔さんが戯曲化して演出し、
松坂桃李さんと高岡早紀さんが主演した、
見てビックリの舞台が、
今池袋の芸術劇場プレイハウスで上演されています。
三浦大輔さんは最近は舞台から、
映画などに軸足を移していて、
ポツドールのような活動はもうされないようですが、
今回はまあ期待された過激さを演じている、
という感じはあるもの、
ほぼ全編セックス描写のみが連続する、
という作品を臆面もなく上演していて、
普段は裸にはまずならないような役者さんが、
ほぼ全裸で次々と絡みを演じ、
勿論偽物ではありますが、
実際にザーメンが飛び、女性が放尿し、
フェラチオの効果音まで流れるという、
空いた口が塞がらないような作品になっています。
ストーリーラインはそれでいて、
正攻法の純愛と難病と少年の成長物語として成立していて、
後味は決して悪くはありません。
それほど舞台は出ていない映像のスターに、
何もこんな芝居をさせなくてもいいじゃないか、
という気はしますし、
これを本当に三浦さんがやりたいのだとすれば、
もっと小さな劇場で、
名前のそれほど知られていない役者さんでやった方が、
より完成度の高い伝説的な芝居になったのではないか、
という気もします。
劇場は大きすぎ、立派過ぎて、
客席の雰囲気も含めて、
今回のような煽情的な芝居を上演するには、
かなりの違和感がありました。
僕は2階の最前列での鑑賞だったので、
全体像を観ることが出来ましたが、
客席によっては、
「何をしているのか分からない」
という感じもあったのではないかと思います。
隠すところは隠さないといけないので、
死角が多く、
観客に不親切な舞台ではあったと思います。
ただ、前例のない作品であることは間違いがなく、
小劇場の劇団の多くが、
性を主題にした作品をしばしば上演していながら、
レオタードや露出の少ない衣装で、
腰の引けた絡みを演じている中で、
プロの凄みを見せたと言っても良いと思います。
内容は意外にオーソドックスで、
セックスシーン以外の場面の芝居も、
極めて普通に演出されています。
これはポツドール時代の三浦さんとは違いのあるところで、
かつては新劇的な芝居を拒絶するようなところがあったのですが、
今回は絡み以外は極めてオーソドックスで教科書的です。
破天荒なようで、
その辺のバランス感覚はなかなか的確だ、
という印象を持ちました。
メインのセックスシーンが、
作品として成立しているかというと、
それはかなり微妙なところで、
役者さんもこうした芝居は初めての人が多く、
何かたどたどしくぎこちない感じはあります。
こちらが気恥ずかしくなるような感じもあります。
腹を括ってセックスを主題にするのであれば、
もっと別の方法論もあり得たのではないか、
という気もしますが、
この気恥ずかしさが、
三浦さんの持ち味である、
という思いもあります。
そんな訳でかなり趣味的な作品なので、
とても一般の方にお勧め出来るような芝居ではありませんが、
三浦さん以外では、
まず絶対になしえなかった作品であることは間違いがなく、
再演なども間違いなくされないと思いますので、
ご興味のある方は一見の価値はあると思います。
怪作です。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日2本目の演劇の記事になります。
それがこちら。
石田衣良さんの「娼年」と「逝年」を、
ポツドールの三浦大輔さんが戯曲化して演出し、
松坂桃李さんと高岡早紀さんが主演した、
見てビックリの舞台が、
今池袋の芸術劇場プレイハウスで上演されています。
三浦大輔さんは最近は舞台から、
映画などに軸足を移していて、
ポツドールのような活動はもうされないようですが、
今回はまあ期待された過激さを演じている、
という感じはあるもの、
ほぼ全編セックス描写のみが連続する、
という作品を臆面もなく上演していて、
普段は裸にはまずならないような役者さんが、
ほぼ全裸で次々と絡みを演じ、
勿論偽物ではありますが、
実際にザーメンが飛び、女性が放尿し、
フェラチオの効果音まで流れるという、
空いた口が塞がらないような作品になっています。
ストーリーラインはそれでいて、
正攻法の純愛と難病と少年の成長物語として成立していて、
後味は決して悪くはありません。
それほど舞台は出ていない映像のスターに、
何もこんな芝居をさせなくてもいいじゃないか、
という気はしますし、
これを本当に三浦さんがやりたいのだとすれば、
もっと小さな劇場で、
名前のそれほど知られていない役者さんでやった方が、
より完成度の高い伝説的な芝居になったのではないか、
という気もします。
劇場は大きすぎ、立派過ぎて、
客席の雰囲気も含めて、
今回のような煽情的な芝居を上演するには、
かなりの違和感がありました。
僕は2階の最前列での鑑賞だったので、
全体像を観ることが出来ましたが、
客席によっては、
「何をしているのか分からない」
という感じもあったのではないかと思います。
隠すところは隠さないといけないので、
死角が多く、
観客に不親切な舞台ではあったと思います。
ただ、前例のない作品であることは間違いがなく、
小劇場の劇団の多くが、
性を主題にした作品をしばしば上演していながら、
レオタードや露出の少ない衣装で、
腰の引けた絡みを演じている中で、
プロの凄みを見せたと言っても良いと思います。
内容は意外にオーソドックスで、
セックスシーン以外の場面の芝居も、
極めて普通に演出されています。
これはポツドール時代の三浦さんとは違いのあるところで、
かつては新劇的な芝居を拒絶するようなところがあったのですが、
今回は絡み以外は極めてオーソドックスで教科書的です。
破天荒なようで、
その辺のバランス感覚はなかなか的確だ、
という印象を持ちました。
メインのセックスシーンが、
作品として成立しているかというと、
それはかなり微妙なところで、
役者さんもこうした芝居は初めての人が多く、
何かたどたどしくぎこちない感じはあります。
こちらが気恥ずかしくなるような感じもあります。
腹を括ってセックスを主題にするのであれば、
もっと別の方法論もあり得たのではないか、
という気もしますが、
この気恥ずかしさが、
三浦さんの持ち味である、
という思いもあります。
そんな訳でかなり趣味的な作品なので、
とても一般の方にお勧め出来るような芝居ではありませんが、
三浦さん以外では、
まず絶対になしえなかった作品であることは間違いがなく、
再演なども間違いなくされないと思いますので、
ご興味のある方は一見の価値はあると思います。
怪作です。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2016-08-28 08:34
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