月刊「根本宗子」第11号「超、今、出来る、精一杯。」 [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日ですが、
石田医師が休診のため、
午前午後とも石原が診療します。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
根本宗子さんの二本立て公演の、
新作の2本目に足を運びました。
1本目は2013年の作品の再演だったのですが、
緻密な舞台で感銘を受けました。
今回の2本目もそのためにかなり期待をしたのですが、
期待が大きかったのと、
もう少し別個のものを想像していたからかも知れません。
最初は面白い構想だな、
と思ったものの、
キャストが1人ずつ正面を向いてモノローグを語り出すので、
この調子でこれを人数分何度もやるつもりなのか、
と、その安易さにちょっとガッカリして、
その後も前作の緻密さは欠片もない、
かなり荒っぽい作劇だったので、
最後まで乗り切れませんでした。
セットは前作と全く同一ですが、
舞台の上方があまり生かされていないなど、
使い回しの感じにも疑問が残ります。
今回の作品はクドカンに似ていて、
クドカンなら2時間くらいにまとめて、
もう少し猥褻さやグロな感じを入れるところを、
そうした点を除外して、
1時間40分にスリムにしています。
一緒に行った妻は、
「雑で準備不足だけど、前のものより良かった」
と僕とは真逆の感想で、
「どうせオタクに見せることを想定しているんだから、
目的は果たしているんじゃないの」
と身も蓋もないようなことを言っていました。
観客が満足ならそれで良いのかも知れませんが、
僕には何か釈然としませんでした。
以下ネタバレを含む感想です。
舞台は明日までなので、
観劇予定の方は、
必ず観劇後にお読み下さい。
スーパーマーケットの店長が、
スーパーマーケットアイドルを募集して、
スーパーの宣伝とバイトの両方を掛け持ちさせよう、
というずるい企画を立ち上げます。
宣伝もするただのバイトに過ぎないのですが、
それでも30名近い応募が来て、
そこから6名が選抜され、
店長の恋人を含む7名がアイドルグループとして、
ローカルデビューすることになります。
ソーセージの店頭販売の売り上げで、
センターが決まるという段取りになるのですが、
一旦決まったセンターは、
策略により店長の恋人に代わってしまいます。
これに怒った他のメンバーは、
次々と店長と関係を結び、
それに伴って猫の目のようにセンターも代わります。
そして、39歳で純粋にアイドルを目指していた女性1人を除き、
残りの6人の女性は店長の子供を妊娠します。
誰が子供を堕ろし、
誰が子供を産むかでもめ事になるのですが、
そこに登場した店長が、
あまりに無自覚であることに腹を立て、
39歳の女性が店長を殺害します。
それから6人のライブ中に、
全員が切迫になってライブ中に出産。
ラストは赤ちゃんを皆で抱いての舞台で終わります。
こうしてあらすじを書くと、
意外に破天荒で面白そうですが、
実際にはそれほど弾んだ舞台にはなりませんでした。
それは何故かと言うと、
構成が雑で細部が練られていません。
お芝居の間に、7人の女性が、
それぞれ正面の客席を向いて、
自分の生い立ちや何故アイドルに応募したのか、
というような内面を独白するのですが、
本来お芝居の中で判明するべきことを、
そのまま客席に内面の声として話してしまうので、
舞台の面白みが説明し過ぎで減弱してしまうのです。
別にモノローグ自体が悪い、
ということではないのですが、
語られている内容が、
舞台を見ていれば、
何となく想像出来る範囲の事項で、
格別の意外性はないので、
二重に説明を重ねるような、
効率の悪い感じになってしまっています。
作家は作品を書く前に、
個々の登場人物の背景やキャラを決める訳ですが、
その設定表のようなものを、
そのまましゃべっているような感じなのです。
これではいけないのではないか、と感じました。
台詞に重複と無駄が多過ぎます。
店長の人物像も、
加藤啓さんの雰囲気におんぶにだっこの感じがあり、
細かいディテールが書き込まれていないので、
全てのキャストが妊娠する、
というような流れに説得力がありません。
そもそも、インチキアイドルであっても、
売り込みから振り付けやダンスの指導。
プロデュース面も含めて、
様々な労力が必要な筈で、
それが何も知らないような店長と、
その後輩の男性の2人だけで、
成り立ってしまうことにも無理があるように思います。
ほら噺であるからこそ、
そうした細部にそれなりの説得力がないと、
観客を惹き込めるような作品には、
ならないのではないでしょうか?
ここまでは比較的客観的な感想ですが、
ナイロン100℃でも異彩を放つ大好きな新谷真弓さんが、
あまりに魅力なく損な役回りに描かれていることには、
個人的にかなり失望しました。
彼女は確かに作品で描かれているような、
鈍臭い感じのキャラでもあると思うのですが、
人間離れをしているような役柄を、
平気で出来るようなところが一番の魅力なので、
余人には真似出来ないオーラで、
もっと堂々と唯一無二のアイドルを演じて欲しかったと思います。
総じて勢いのみで成立してしまったような処があり、
劇団員の演技もキャラもいつも同じというのも、
あまりに工夫がないように感じます。
もう少しじっくり準備をして、
納得のいく作品に仕上げて欲しかったと思います。
次に期待します。
頑張って下さい。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日ですが、
石田医師が休診のため、
午前午後とも石原が診療します。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
根本宗子さんの二本立て公演の、
新作の2本目に足を運びました。
1本目は2013年の作品の再演だったのですが、
緻密な舞台で感銘を受けました。
今回の2本目もそのためにかなり期待をしたのですが、
期待が大きかったのと、
もう少し別個のものを想像していたからかも知れません。
最初は面白い構想だな、
と思ったものの、
キャストが1人ずつ正面を向いてモノローグを語り出すので、
この調子でこれを人数分何度もやるつもりなのか、
と、その安易さにちょっとガッカリして、
その後も前作の緻密さは欠片もない、
かなり荒っぽい作劇だったので、
最後まで乗り切れませんでした。
セットは前作と全く同一ですが、
舞台の上方があまり生かされていないなど、
使い回しの感じにも疑問が残ります。
今回の作品はクドカンに似ていて、
クドカンなら2時間くらいにまとめて、
もう少し猥褻さやグロな感じを入れるところを、
そうした点を除外して、
1時間40分にスリムにしています。
一緒に行った妻は、
「雑で準備不足だけど、前のものより良かった」
と僕とは真逆の感想で、
「どうせオタクに見せることを想定しているんだから、
目的は果たしているんじゃないの」
と身も蓋もないようなことを言っていました。
観客が満足ならそれで良いのかも知れませんが、
僕には何か釈然としませんでした。
以下ネタバレを含む感想です。
舞台は明日までなので、
観劇予定の方は、
必ず観劇後にお読み下さい。
スーパーマーケットの店長が、
スーパーマーケットアイドルを募集して、
スーパーの宣伝とバイトの両方を掛け持ちさせよう、
というずるい企画を立ち上げます。
宣伝もするただのバイトに過ぎないのですが、
それでも30名近い応募が来て、
そこから6名が選抜され、
店長の恋人を含む7名がアイドルグループとして、
ローカルデビューすることになります。
ソーセージの店頭販売の売り上げで、
センターが決まるという段取りになるのですが、
一旦決まったセンターは、
策略により店長の恋人に代わってしまいます。
これに怒った他のメンバーは、
次々と店長と関係を結び、
それに伴って猫の目のようにセンターも代わります。
そして、39歳で純粋にアイドルを目指していた女性1人を除き、
残りの6人の女性は店長の子供を妊娠します。
誰が子供を堕ろし、
誰が子供を産むかでもめ事になるのですが、
そこに登場した店長が、
あまりに無自覚であることに腹を立て、
39歳の女性が店長を殺害します。
それから6人のライブ中に、
全員が切迫になってライブ中に出産。
ラストは赤ちゃんを皆で抱いての舞台で終わります。
こうしてあらすじを書くと、
意外に破天荒で面白そうですが、
実際にはそれほど弾んだ舞台にはなりませんでした。
それは何故かと言うと、
構成が雑で細部が練られていません。
お芝居の間に、7人の女性が、
それぞれ正面の客席を向いて、
自分の生い立ちや何故アイドルに応募したのか、
というような内面を独白するのですが、
本来お芝居の中で判明するべきことを、
そのまま客席に内面の声として話してしまうので、
舞台の面白みが説明し過ぎで減弱してしまうのです。
別にモノローグ自体が悪い、
ということではないのですが、
語られている内容が、
舞台を見ていれば、
何となく想像出来る範囲の事項で、
格別の意外性はないので、
二重に説明を重ねるような、
効率の悪い感じになってしまっています。
作家は作品を書く前に、
個々の登場人物の背景やキャラを決める訳ですが、
その設定表のようなものを、
そのまましゃべっているような感じなのです。
これではいけないのではないか、と感じました。
台詞に重複と無駄が多過ぎます。
店長の人物像も、
加藤啓さんの雰囲気におんぶにだっこの感じがあり、
細かいディテールが書き込まれていないので、
全てのキャストが妊娠する、
というような流れに説得力がありません。
そもそも、インチキアイドルであっても、
売り込みから振り付けやダンスの指導。
プロデュース面も含めて、
様々な労力が必要な筈で、
それが何も知らないような店長と、
その後輩の男性の2人だけで、
成り立ってしまうことにも無理があるように思います。
ほら噺であるからこそ、
そうした細部にそれなりの説得力がないと、
観客を惹き込めるような作品には、
ならないのではないでしょうか?
ここまでは比較的客観的な感想ですが、
ナイロン100℃でも異彩を放つ大好きな新谷真弓さんが、
あまりに魅力なく損な役回りに描かれていることには、
個人的にかなり失望しました。
彼女は確かに作品で描かれているような、
鈍臭い感じのキャラでもあると思うのですが、
人間離れをしているような役柄を、
平気で出来るようなところが一番の魅力なので、
余人には真似出来ないオーラで、
もっと堂々と唯一無二のアイドルを演じて欲しかったと思います。
総じて勢いのみで成立してしまったような処があり、
劇団員の演技もキャラもいつも同じというのも、
あまりに工夫がないように感じます。
もう少しじっくり準備をして、
納得のいく作品に仕上げて欲しかったと思います。
次に期待します。
頑張って下さい。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2015-11-07 07:47
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コメント(3)
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石原先生、横浜の加藤です。
昨日から咳が苦しく、出始めると気管支が痙攣をおこした
感じで息ができなくなります。以前、処方していただいた
スピリーバを久しぶりに吸引しました。少し楽になりました
が、しばらくするとまた発作がおき、一睡もできません
でした。
質問なのですが、スピリーバは一日一回以上、吸引しては
ダメですか。あまり吸引すると効果が薄れますか?昨日は夜中
の2時ころ吸引したので、まだ6時間くらいしかたっていませ
ん。(就寝前は吸引したいので、今は我慢でしょうか)
咳が発作を誘発するような気がするので、できるだけ咳を
しないようにするのですが、ときどき乾いた咳が出始め、
そのあと発作が起こります。
今日は日曜日で病院もなく、家族も留守なので、発作のときに
呼吸が止まってしまうのではないか、と気になっています。
お休みのところすみません。
by 加藤 (2015-11-08 09:01)
加藤さんへ
スピリーバは長時間作用型なので、
症状が急な時には向いていないのですが、
6時間程度間が空いていれば、
再度吸入して頂いても、
大きな問題はないと思います。
ただ、呼吸困難が続くようでしたら、
矢張り救急医療機関の受診をお勧めします。
by fujiki (2015-11-08 09:31)
石原先生、お休みの中お返事ありがとうございました。
スピリーバは発作を急に止める、というわけではなく、
長時間作用型、というものなんですね。ありがとう
ございました。さっきから咳をしたときにときどき痰がでる
ようになり、それに伴って少し楽になり不安感も
和らぎました。就寝前に吸引して寝てみようと思います。
ありがとうございました。
by 加藤 (2015-11-08 11:14)