ヨナス・カウフマン ジャパンツアー(2015年) [音楽]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日2本目の記事はクラシックの話題です。
今日はこちら。
世界的に活躍するテノール歌手の中で、
今最も人気のあるスターの1人であることの間違いない、
ドイツのヨナス・カウフマンが、
先日初めての来日リサイタルを果たしました。
そもそもカウフマンは、
2011年にメトロポリタン、ボローニャ、バイエルンの、
3つの世界的な歌劇場の来日公演に、
全て出演する予定だったのですが、
震災の影響で結局全ての公演をキャンセルしました。
タイミングが悪かったとしか言いようがありません。
こうしたことがあると、
なかなか初来日は実現が難しくなります。
2014年の秋に今回の元になるリサイタルが企画されたのですが、
こちらも土壇場で延期ということになり、
再度設定された今回の延期公演で、
ようやく待望の初来日が実現したのです。
ただ、ピアノ伴奏の歌曲のリサイタルとしては、
かなり法外な価格設定となり、
所謂オペラファンの多くはバルトリの来日の時と同様、
ボイコットを表明したようで、
オペラ界きっての世界的大スターとしては、
やや寂しい感じの客席でした。
ドイツの歌手は、
基本的にオペラアリアのリサイタルはせず、
リサイタルで披露するのは歌曲のみです。
ただ、その歌唱は極めてダイナミックで、
高音はハイCまでは楽々出ますし、
ブレスも長く、アクートもド迫力で、
それでいて弱音の繊細さも兼ね備え、
さすがに今世紀を代表するスターテノールであることを、
再認識させるような素晴らしい歌唱でした。
人柄の良さが滲み出るような、
舞台マナーも素敵でしたし、
リストの「ペトラルカの3つのソネット」の、
2曲目の終わりで拍手が小さく湧いた時には、
「まだ拍手しちゃダメだよ」
とジェスチャーで示したのも、
最近のリサイタルは「拍手の無法地帯」だったので、
一服の清涼剤のように感じました。
ワーグナーの「マティルデ・ヴェーセンドンクによる5つの詩」は、
「トリスタンとイゾルデ」の旋律を含む定番の名曲ですが、
カウフマンが歌い上げると、
そのままワーグナーのオペラの大舞台のようです。
今年はこの曲はオーストリアの名花クールマンも名唱を聴かせてくれましたし、
大変贅沢な聴き比べを堪能出来ました。
正直ちょっと声は疲れ気味で、
少しざらついた感じがあるのが、
今後の不安を感じさせる点ではありますが、
バルトリの時も感じましたが、
矢張り多くの人が本物と認定した歌は、
本物に間違いはないと感じた一夜になりました。
オペラでの来日を期待したいのですが、
日本の国力では多分無理かしら、
という気がします。
でも今回は間違いなく価値のある歌唱でした。
アンコールも盛り沢山で掛け値なしの熱唱でしたし、
これまでの多くのキャンセルを償おうという思いを感じて、
胸が熱くなりました。
臍を曲げて行かなかった方は、
後悔をされたと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
(補足)
記事では初来日と書いてしまいましたが、
実は2000年が初来日で、
2003年にはリサイタルも開いていました。
コメントでご指摘を受けまして、
ここに訂正をさせて頂きます。
(平成27年7月21日午前6時補足)
六号通り診療所の石原です。
今日2本目の記事はクラシックの話題です。
今日はこちら。
世界的に活躍するテノール歌手の中で、
今最も人気のあるスターの1人であることの間違いない、
ドイツのヨナス・カウフマンが、
先日初めての来日リサイタルを果たしました。
そもそもカウフマンは、
2011年にメトロポリタン、ボローニャ、バイエルンの、
3つの世界的な歌劇場の来日公演に、
全て出演する予定だったのですが、
震災の影響で結局全ての公演をキャンセルしました。
タイミングが悪かったとしか言いようがありません。
こうしたことがあると、
なかなか初来日は実現が難しくなります。
2014年の秋に今回の元になるリサイタルが企画されたのですが、
こちらも土壇場で延期ということになり、
再度設定された今回の延期公演で、
ようやく待望の初来日が実現したのです。
ただ、ピアノ伴奏の歌曲のリサイタルとしては、
かなり法外な価格設定となり、
所謂オペラファンの多くはバルトリの来日の時と同様、
ボイコットを表明したようで、
オペラ界きっての世界的大スターとしては、
やや寂しい感じの客席でした。
ドイツの歌手は、
基本的にオペラアリアのリサイタルはせず、
リサイタルで披露するのは歌曲のみです。
ただ、その歌唱は極めてダイナミックで、
高音はハイCまでは楽々出ますし、
ブレスも長く、アクートもド迫力で、
それでいて弱音の繊細さも兼ね備え、
さすがに今世紀を代表するスターテノールであることを、
再認識させるような素晴らしい歌唱でした。
人柄の良さが滲み出るような、
舞台マナーも素敵でしたし、
リストの「ペトラルカの3つのソネット」の、
2曲目の終わりで拍手が小さく湧いた時には、
「まだ拍手しちゃダメだよ」
とジェスチャーで示したのも、
最近のリサイタルは「拍手の無法地帯」だったので、
一服の清涼剤のように感じました。
ワーグナーの「マティルデ・ヴェーセンドンクによる5つの詩」は、
「トリスタンとイゾルデ」の旋律を含む定番の名曲ですが、
カウフマンが歌い上げると、
そのままワーグナーのオペラの大舞台のようです。
今年はこの曲はオーストリアの名花クールマンも名唱を聴かせてくれましたし、
大変贅沢な聴き比べを堪能出来ました。
正直ちょっと声は疲れ気味で、
少しざらついた感じがあるのが、
今後の不安を感じさせる点ではありますが、
バルトリの時も感じましたが、
矢張り多くの人が本物と認定した歌は、
本物に間違いはないと感じた一夜になりました。
オペラでの来日を期待したいのですが、
日本の国力では多分無理かしら、
という気がします。
でも今回は間違いなく価値のある歌唱でした。
アンコールも盛り沢山で掛け値なしの熱唱でしたし、
これまでの多くのキャンセルを償おうという思いを感じて、
胸が熱くなりました。
臍を曲げて行かなかった方は、
後悔をされたと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
(補足)
記事では初来日と書いてしまいましたが、
実は2000年が初来日で、
2003年にはリサイタルも開いていました。
コメントでご指摘を受けまして、
ここに訂正をさせて頂きます。
(平成27年7月21日午前6時補足)
2015-06-07 10:26
nice!(25)
コメント(9)
トラックバック(0)
家内の甥が主催する劇団はG/9-Projectです。
http://homepage1.nifty.com/g9-project/
by Silvermac (2015-06-07 14:42)
Silvermacさんへ
ありがとうございます。
これまで拝見したことはありません。
台本をウェブで公開しているのも面白いですね。
機会があればチェックしてみたいと思います。
by fujiki (2015-06-07 14:52)
お疲れさまです。
こうした演奏会があるのはいいですね。
地方にはなかなかいらっしゃらない方ですから。
しかし、先生は音楽や演劇をよく観て聴いていらっしゃいますね。過去のブログを見てもそう思います。
by さき (2015-06-08 16:38)
さきさんへ
コメントありがとうございます。
ちょっと忙しくなるので、
今年の後半は、
殆ど何も観れなくなりそうです。
by fujiki (2015-06-08 17:00)
石原様
今晩、遅ればせながら貴ブログを拝読致しました。東京、神奈川、大阪のうち、最も魅力的な演奏会はサントリーホールであったかもしれません。私は何とか時間を調整し、ミューザ川崎「冬の旅(アンコール無し)のみ聴きに行きました。
石原様のご感想を読ませて頂き、やはりアンコールのオペレッタをも含むサントリー公演がベストであった様子が伺えます。特に、ヴェーゼンドンク歌曲集は生で聴いてみたかったです。シューベルト冬の旅は、完璧で隙がなさ過ぎて、初カウフマン経験者としては厳しいものがありました。見事なのに、素直に感激できずに苦しむと言いましょうか・・・
ところで、カウフマン氏の御来日ですが、今年が初来日ではなく、12年振りと紹介されています。それより何より、本当にリサイタルが行われたこと、夢のようです。夢を見過ぎて、現実との境目が分からなくなりました。聴き終えた後から数日間、暫らく動揺していました。
長々と、大変失礼致しました。
by michelangelo (2015-07-18 23:39)
michelangeloさんへ
コメントありがとうございます。
なかなか良いリサイタルだったと思います。
2000年が初来日で、
2003年にリサイタルをやっているのですね。
てっきり初来日と勘違いしていました。
by fujiki (2015-07-21 06:29)
懲りずにヨナス・カウフマンを応援してください
チケット代高すぎてすみません
コンサート企画者
by 宮崎恭一 (2015-11-18 11:16)
宮崎さんへ
大変素晴らしい歌声でした。
次回はオペラの来日を期待したいのですが、
難しいのでしょうね。
by fujiki (2015-11-23 21:21)
ヨナス・カウフマン オペラアリアを歌う
というタイトルで11/28(月)19:00大阪フェスティバル
11/30(水)19:00(水)Bunkamuraオーチャード
12/3(土)15:00 大宮ソニックシティ
行います
よろしくお願いします
by 宮崎恭一 (2016-01-15 19:48)