「まるで天使のような」とマーガレット・ミラーの世界 [ミステリー]
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
申し遅れましたが、
六号通り診療所の石原です。
今日はこれからいつものように、
奈良に出掛ける予定です。
年の初めにふさわしいかどうか分かりませんが、
今日は好きなミステリー作家の話です。
その決定版的な1作がこちら。
マーガレット・ミラーは、
1915年生まれのアメリカの女流ミステリー作家で、
夫はハードボイルドの大家である、
ロス・マクドナルドです。
ミステリーと普通小説の中間のような作風で、
多重人格の殺人などを扱った、
サイコスリラーの元祖の1人です。
僕は三度の食事よりサイコスリラーが大好物なので、
こうしたジャンルのものは、
最近はそれほど読んでいませんが、
20年くらい前までは、
滅多矢鱈と読んでいました。
ただ、どんな名手の作品でも、
サイコスリラーと言うと、
それほどパターンが多いのではないので、
あっ、いつもの多重人格で、
意識のないうちに別人になって何かしている、
というような奴だな、
と察しが付くようになり、
作者の工夫の有無には関わらず、
結末は見えてしまうことが多いのです。
従って、
サイコスリラーばかりを連発して、
読者をそれなりに納得させるという作家は、
そうざらにはいません。
そして、マーガレット・ミラーはそうした作家の1人です。
全てが翻訳はされていないので、
敢くまで知る限りの話ですが、
彼女の全ての作品が一種のサイコスリラーで、
普通小説に近いものでもミステリーに傾斜したものでも、
いずれも意外な展開を見せ、
意外な結末が待っています。
その中には勿論、
読んでいる間に想像の付くものもあるのですが、
想像を絶するものもあり、
一種の不意打ちを食らうようなものもあります。
そして、
いずれにしても、
読んでいる中で自然と信じていた世界が、
均衡を失って崩壊に向かう様が、
衝撃的で魅力的なのです。
この「まるで天使のような」は、
ミラー円熟期の力作で、
私立探偵の主人公が、
たまたま迷い込んだ見知らぬ土地で、
こじんまりとした共同体を形成して、
閉じた生活をしている新興宗教と関わりを持ち、
そこで密かにある人物の素行調査を依頼されるという、
正統的なハードボイルド小説の意匠を持って始まります。
その人物は謎の失踪をしていて、
それから連鎖的に殺人事件が起こります。
これはある種の秘められた情熱の物語で、
それが一体誰の誰に対する情熱なのかが、
見えそうで見えないところが妙味です。
物凄く意外な結末が待っている訳ではないのですが、
慄然とするような悲しく怖しい、
狂気じみた熱情が、
ラストに心を揺さぶるのです。
未読の方は是非。
絶品です。
それではそろそろ出掛けます。
皆さんも良い新年をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
今年もよろしくお願いします。
申し遅れましたが、
六号通り診療所の石原です。
今日はこれからいつものように、
奈良に出掛ける予定です。
年の初めにふさわしいかどうか分かりませんが、
今日は好きなミステリー作家の話です。
その決定版的な1作がこちら。
マーガレット・ミラーは、
1915年生まれのアメリカの女流ミステリー作家で、
夫はハードボイルドの大家である、
ロス・マクドナルドです。
ミステリーと普通小説の中間のような作風で、
多重人格の殺人などを扱った、
サイコスリラーの元祖の1人です。
僕は三度の食事よりサイコスリラーが大好物なので、
こうしたジャンルのものは、
最近はそれほど読んでいませんが、
20年くらい前までは、
滅多矢鱈と読んでいました。
ただ、どんな名手の作品でも、
サイコスリラーと言うと、
それほどパターンが多いのではないので、
あっ、いつもの多重人格で、
意識のないうちに別人になって何かしている、
というような奴だな、
と察しが付くようになり、
作者の工夫の有無には関わらず、
結末は見えてしまうことが多いのです。
従って、
サイコスリラーばかりを連発して、
読者をそれなりに納得させるという作家は、
そうざらにはいません。
そして、マーガレット・ミラーはそうした作家の1人です。
全てが翻訳はされていないので、
敢くまで知る限りの話ですが、
彼女の全ての作品が一種のサイコスリラーで、
普通小説に近いものでもミステリーに傾斜したものでも、
いずれも意外な展開を見せ、
意外な結末が待っています。
その中には勿論、
読んでいる間に想像の付くものもあるのですが、
想像を絶するものもあり、
一種の不意打ちを食らうようなものもあります。
そして、
いずれにしても、
読んでいる中で自然と信じていた世界が、
均衡を失って崩壊に向かう様が、
衝撃的で魅力的なのです。
この「まるで天使のような」は、
ミラー円熟期の力作で、
私立探偵の主人公が、
たまたま迷い込んだ見知らぬ土地で、
こじんまりとした共同体を形成して、
閉じた生活をしている新興宗教と関わりを持ち、
そこで密かにある人物の素行調査を依頼されるという、
正統的なハードボイルド小説の意匠を持って始まります。
その人物は謎の失踪をしていて、
それから連鎖的に殺人事件が起こります。
これはある種の秘められた情熱の物語で、
それが一体誰の誰に対する情熱なのかが、
見えそうで見えないところが妙味です。
物凄く意外な結末が待っている訳ではないのですが、
慄然とするような悲しく怖しい、
狂気じみた熱情が、
ラストに心を揺さぶるのです。
未読の方は是非。
絶品です。
それではそろそろ出掛けます。
皆さんも良い新年をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2015-01-01 06:12
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fujikiさま、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
by dumbo (2015-01-01 07:27)
あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願い申し上げます。
御健康・御多幸で 嬉しいこと沢山の一年になりますように!☆
by ゆうのすけ (2015-01-01 09:13)
明けましておめでとうございます。
by Silvermac (2015-01-01 12:18)
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
by いっぷく (2015-01-02 01:38)
明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
by taka (2015-01-02 17:31)