革命アイドル暴走ちゃん「騒音と闇 ドイツ凱旋Ver.」 [演劇]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
通常の演劇というのではないのですが、
かと言ってパフォーマンスやライブと言うよりは、
演劇に傾斜している集団、
「革命アイドル暴走ちゃん」の「騒音と闇」と題する作品に、
足を運びました。
凄く良かった、という訳ではないのですが、
何となく後を引いていて、
この1週間くらいは忘れることが出来ません。
もっと若い層をターゲットにしたものなので、
観て良かったのかしら、という気恥しい感じもあります。
水やワカメなどを浴びせられるのですが、
そんなものに塗れても問題がないのは、
もっと若いうちだけなので、
ああ、もうこんな年になってしまったのだ、
と嫌な気分にもなるのです。
これは一番近いものを探せば、
毛皮族の初期のレビューに最も似ています。
また、寺山修司の引用が結構沢山あるのですが、
寺山修司と親交のあった、
高取英の月蝕歌劇団にも似ています。
キャラメルボックスを彷彿とさせるような、
達者な前説もしている制作の樺澤良さんは、
毛皮族や庭劇団ペニノにも絡んでいるようなので、
彼が仕掛け人のようなポジションなのかも知れません。
毛皮族と同じように、
構成・演出・音楽を、一手に率いる女座長がいて、
その子分達がノンストップの雑多な素人芸を演じる、
という趣向です。
「暗黒AKB」と言った感じのレビュー形式で、
途中から寺山修司が沢山出て来ると、
「革命演劇」という主題が浮上して、
月蝕歌劇団みたいな感じになります。
「性と演劇と革命」というのは、
一時期毛皮族のスローガンでもありました。
今の時点での最大の特徴は、
観客が水や豆腐、ミックスベジタブルやワカメ、カツオ節など、
色々なものをパフォーマーから浴びせられることで、
上演前には靴と靴下を脱いで、
各自持参した上履きに履き替え、
配布されたビニールの合羽を着て、
その洗礼を受けることになります。
上演前に劇場のロビーで、
観客が皆嬉々として着替えをする光景は、
なかなか楽しく、
通常の演劇にはないそのワクワク感が、
この舞台の最大の特徴です。
ただ、終わって見るとそれほど過激に水を被る、
と言う訳ではなく、
まあ穏当なレベルのものになっています。
水以外のものが浴びせられることの意味は、
正直あまりあるとは思えませんが、
話題作りとしては成功しているので、
文句を言う筋合いのものではないのかも知れません。
もう公演は終わっていますが、
以下ネタばれがあります。
まず座長の二階堂瞳子さんがコスプレで現れ、
前説めいたものをしゃべってから舞台が始まります。
最初に男優さんによる歌舞伎まがいの口上があります。
センターはアマンダ・ワデルさんという白人の女の子で、
ニナ・ハーゲンみたいに、
マイクに齧り付いて絶叫したりします。
そこに前劇団からの同士として、
加藤真砂美さんと高村枝里さんがメインを勤め、
20人以上のパフォーマーが乱舞します。
鳴り響く音効はアニソンやミュージカル曲など様々で、
音の途切れることはなく、
それに合わせて台詞めいたものも混じるのですが、
殆ど聴き取れる感じではありません。
途中で皆で寺山修司のお面を被って踊るところがあって、
「邪宗門」のパロディみたいな、
黒衣と憲兵のダンスがあったりします。
革命を叫ぶと、「レ・ミゼラブル」の曲を1曲歌ったり、
レトロな金色夜叉の掛け合いがあったり、
「飛龍伝」みたいな革命幻想の絶叫台詞もあります。
その後アクセント的に「戦メリ」のテーマが流れて、
それをカラオケに夢の歌を静かに歌う場面があって、
ラストは再びレビューになって、
アマンダさんが血糊を顔に擦って歌い上げて終わります。
要はコスプレとアニソンから始まって、
アングラと演劇史を俯瞰し、
全共闘世代の革命幻想を垣間見て、
クラブからお祭り、芸能の世界を掠って、
一時闇の世界に沈み、
ヲタ芸の世界に遊んで、
ラストは女神の世界から、
アンコールで観客を主役にして終わります。
その間音楽は轟音のように鳴り続け、
パフォーマーは止まるということをせず、
観客は頭上からは、
絶えず水と紙吹雪と、
唾液と味噌汁の具材の投下という洗礼を受け、
パフォーマーからはハグされ、叩かれます。
こうした舞台は、
今までにも勿論あったと思いますが、
演劇の畑の人がやると、
どうしても芝居めいた場面を入れたくなるので、
それが本当に紙吹雪のように、
ピースとして裁断された形でしか存在しない、
というのがこれまでにない徹底したところだと思います。
それでいて、
アイドルコンサートのようなものとも、
ライブのようなものとも距離を取り、
小劇場演劇のテイストとアングラのテイストを、
濃厚に残しているところが、
生粋のアングラファンには嬉しいところです。
座長(自称女帝)の二階堂さんが、
登場はするけれど基本的に何もしない、
というのも面白いと思いますし、
アマンダさんという白人の女の子をフィーチャーして、
それを核にするという興行師的な感覚も鋭いと思います。
ドイツからの凱旋興行という趣向も、
インチキ臭くて楽しいのです。
個人的には、
せっかく「騒音と闇」という題名で、
寺山修司にも降臨して頂いているのですから、
「完全暗転」を是非やって欲しかったと思いました。
劇場内を完全な闇で満たすのです。
それからメインのキャストとサブのキャストとの間に、
もっとメリハリを付けた方が、
良いように思いました。
アマンダさん以外は、
基本的に全員同じ格好なのですが、
これでは矢張り詰まらないので、
メインの数人は、
衣装も違った方が良いのではないでしょうか。
個人的には高村さんの小劇場的な眼技が楽しく、
もう少しフィーチャーする場面があれば…
と感じました。
また、最初にキャストの自己紹介的な部分があるのですが、
あそこはもう少し声が聞こえた方が良いと思いました。
毛皮族の例を見ても、
こうした集団を維持し発展させることは、
相当にハードルが高いと思うのですが、
ともかく数年の間は、
全力で走り続けて欲しいと思いました。
最後に観客対応が非常に丁寧で鮮やかで繊細で、
それには本当に感銘を受けました。
何処かのエラそうな劇団に、
爪の垢でも飲ませて欲しいくらいで、
多分制作の樺澤さんの技量が大きいと思うのですが、
観客サービスの鑑と感じました。
頑張って下さい!
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
通常の演劇というのではないのですが、
かと言ってパフォーマンスやライブと言うよりは、
演劇に傾斜している集団、
「革命アイドル暴走ちゃん」の「騒音と闇」と題する作品に、
足を運びました。
凄く良かった、という訳ではないのですが、
何となく後を引いていて、
この1週間くらいは忘れることが出来ません。
もっと若い層をターゲットにしたものなので、
観て良かったのかしら、という気恥しい感じもあります。
水やワカメなどを浴びせられるのですが、
そんなものに塗れても問題がないのは、
もっと若いうちだけなので、
ああ、もうこんな年になってしまったのだ、
と嫌な気分にもなるのです。
これは一番近いものを探せば、
毛皮族の初期のレビューに最も似ています。
また、寺山修司の引用が結構沢山あるのですが、
寺山修司と親交のあった、
高取英の月蝕歌劇団にも似ています。
キャラメルボックスを彷彿とさせるような、
達者な前説もしている制作の樺澤良さんは、
毛皮族や庭劇団ペニノにも絡んでいるようなので、
彼が仕掛け人のようなポジションなのかも知れません。
毛皮族と同じように、
構成・演出・音楽を、一手に率いる女座長がいて、
その子分達がノンストップの雑多な素人芸を演じる、
という趣向です。
「暗黒AKB」と言った感じのレビュー形式で、
途中から寺山修司が沢山出て来ると、
「革命演劇」という主題が浮上して、
月蝕歌劇団みたいな感じになります。
「性と演劇と革命」というのは、
一時期毛皮族のスローガンでもありました。
今の時点での最大の特徴は、
観客が水や豆腐、ミックスベジタブルやワカメ、カツオ節など、
色々なものをパフォーマーから浴びせられることで、
上演前には靴と靴下を脱いで、
各自持参した上履きに履き替え、
配布されたビニールの合羽を着て、
その洗礼を受けることになります。
上演前に劇場のロビーで、
観客が皆嬉々として着替えをする光景は、
なかなか楽しく、
通常の演劇にはないそのワクワク感が、
この舞台の最大の特徴です。
ただ、終わって見るとそれほど過激に水を被る、
と言う訳ではなく、
まあ穏当なレベルのものになっています。
水以外のものが浴びせられることの意味は、
正直あまりあるとは思えませんが、
話題作りとしては成功しているので、
文句を言う筋合いのものではないのかも知れません。
もう公演は終わっていますが、
以下ネタばれがあります。
まず座長の二階堂瞳子さんがコスプレで現れ、
前説めいたものをしゃべってから舞台が始まります。
最初に男優さんによる歌舞伎まがいの口上があります。
センターはアマンダ・ワデルさんという白人の女の子で、
ニナ・ハーゲンみたいに、
マイクに齧り付いて絶叫したりします。
そこに前劇団からの同士として、
加藤真砂美さんと高村枝里さんがメインを勤め、
20人以上のパフォーマーが乱舞します。
鳴り響く音効はアニソンやミュージカル曲など様々で、
音の途切れることはなく、
それに合わせて台詞めいたものも混じるのですが、
殆ど聴き取れる感じではありません。
途中で皆で寺山修司のお面を被って踊るところがあって、
「邪宗門」のパロディみたいな、
黒衣と憲兵のダンスがあったりします。
革命を叫ぶと、「レ・ミゼラブル」の曲を1曲歌ったり、
レトロな金色夜叉の掛け合いがあったり、
「飛龍伝」みたいな革命幻想の絶叫台詞もあります。
その後アクセント的に「戦メリ」のテーマが流れて、
それをカラオケに夢の歌を静かに歌う場面があって、
ラストは再びレビューになって、
アマンダさんが血糊を顔に擦って歌い上げて終わります。
要はコスプレとアニソンから始まって、
アングラと演劇史を俯瞰し、
全共闘世代の革命幻想を垣間見て、
クラブからお祭り、芸能の世界を掠って、
一時闇の世界に沈み、
ヲタ芸の世界に遊んで、
ラストは女神の世界から、
アンコールで観客を主役にして終わります。
その間音楽は轟音のように鳴り続け、
パフォーマーは止まるということをせず、
観客は頭上からは、
絶えず水と紙吹雪と、
唾液と味噌汁の具材の投下という洗礼を受け、
パフォーマーからはハグされ、叩かれます。
こうした舞台は、
今までにも勿論あったと思いますが、
演劇の畑の人がやると、
どうしても芝居めいた場面を入れたくなるので、
それが本当に紙吹雪のように、
ピースとして裁断された形でしか存在しない、
というのがこれまでにない徹底したところだと思います。
それでいて、
アイドルコンサートのようなものとも、
ライブのようなものとも距離を取り、
小劇場演劇のテイストとアングラのテイストを、
濃厚に残しているところが、
生粋のアングラファンには嬉しいところです。
座長(自称女帝)の二階堂さんが、
登場はするけれど基本的に何もしない、
というのも面白いと思いますし、
アマンダさんという白人の女の子をフィーチャーして、
それを核にするという興行師的な感覚も鋭いと思います。
ドイツからの凱旋興行という趣向も、
インチキ臭くて楽しいのです。
個人的には、
せっかく「騒音と闇」という題名で、
寺山修司にも降臨して頂いているのですから、
「完全暗転」を是非やって欲しかったと思いました。
劇場内を完全な闇で満たすのです。
それからメインのキャストとサブのキャストとの間に、
もっとメリハリを付けた方が、
良いように思いました。
アマンダさん以外は、
基本的に全員同じ格好なのですが、
これでは矢張り詰まらないので、
メインの数人は、
衣装も違った方が良いのではないでしょうか。
個人的には高村さんの小劇場的な眼技が楽しく、
もう少しフィーチャーする場面があれば…
と感じました。
また、最初にキャストの自己紹介的な部分があるのですが、
あそこはもう少し声が聞こえた方が良いと思いました。
毛皮族の例を見ても、
こうした集団を維持し発展させることは、
相当にハードルが高いと思うのですが、
ともかく数年の間は、
全力で走り続けて欲しいと思いました。
最後に観客対応が非常に丁寧で鮮やかで繊細で、
それには本当に感銘を受けました。
何処かのエラそうな劇団に、
爪の垢でも飲ませて欲しいくらいで、
多分制作の樺澤さんの技量が大きいと思うのですが、
観客サービスの鑑と感じました。
頑張って下さい!
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2014-10-04 08:13
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慢性膵炎の事を検索中、こちらのブログにたどり着きました。(寺山修二も好きです) こちらで個人的な病状の見解を伺うのは恐縮なのですが、丁寧な内容を拝見し是非先生の見解&アドバイス頂ければ幸いです。
41歳、女性、10日程前から胃の上部あたりに痛みがあります。最初の2~3日の痛みよりは程度がゆるくなった気がしますが食後に感じたり空腹時にも断続的にあります。
病院にてCT、胃カメラ、エコーを行ったところ「すい臓の脂肪変性が認められる」という所見でした。アミラーゼの数値は正常範囲ということです。念のためMRIの検査をしようと思うのですが、膵炎を調べると怖い内容ばかりで、不安で仕方ありません。
脂肪変性になっているということは、現在慢性膵炎の可能性もしくは将来的になりうる可能性が高いという膵臓が病的に一歩進んだ状況と捉えるべきでしょうか?それとも脂肪変性自体は、単なる加齢や何らかの変化でも起こりうるようなのもで、さほど気にしなくていいものなのでしょうか?(そして脂肪変性は食事などを改善しても元に戻りませんか?)
「もしかすると、それが傷みの原因かもしれない」程度のお話で、特に強くMRIも勧められた訳ではないので、その時はさほど気にしていなかったのですが、膵炎を調べると症状が似ているのと、予後が怖いので落ち着かない日々を送っています。
ちなみに、お酒はビールやチューハイを1日350ml×2本程度毎日飲みます。揚げ物や甘いものなどの嗜好品も良く口にしますが、暴飲暴食とまではいかないかなと自分では思っています。タバコはしません。
by 高橋 (2014-10-04 11:14)
高橋さんへ
あまり原因のはっきりしない、
膵臓の萎縮傾向や脂肪変性が、
画像上認められることはあると思います。
MRIを施行して頂き、
膵管の状態などに問題がないようでしたら、
病的な意義は低いと、
お考え頂いて良いように思います。
アルコールは診断がはっきりするまでは、
原則は中止が望ましいように思います。
by fujiki (2014-10-04 15:08)
コメント、大変ありがとうございます。
アドバイス頂き少し気持ちも落ち着きました、感謝いたします。
診断までは好きなお酒も控えようと思います。
MRI後の膵管の状態に問題がなさそうであれば、現状の膵臓の脂肪変性と膵炎との関係性(慢性膵炎に移行するなどの可能性)はない(低い)と考えていい訳ですね。
しかし、既に脂肪変性の膵臓を持ってしまっているということは、そうでない人よりも膵臓の病気などを気にすべき(生活習慣で悪くなる可能性が高いですよ)という認識でいた方がいいのでしょうか?
食生活で元の膵臓には戻りますか??
運動不足ではありますが、165㎝45キロ程度なので、まさか脂肪に変わっているなんて・・涙。
by 高橋 (2014-10-04 15:36)