ある学会のガイドラインはどうしてこんな感じなのか? [身辺雑記]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。
今日は雑談です。
昨日前立腺肥大についての記事を書きましたが、
その時に日本の前立腺肥大症のガイドラインを、
参照として読んでみました。
それがこちらです。
皆さんは何か不思議に思われないでしょうか?
そう、年号や何版かなど、
作成された年月日を示す記載が何処にもありません。
中身を見ると、
最初の「序」に2011年4月の記載があります。
まとめられたのが2011年のようです。
そこにはビックリすることに、
前回のガイドラインは2001年で、
10年間改訂はされていないと書かれています。
ガイドラインというのはその時点での最新の治療の指針である筈です。
前立腺肥大症という、
極めて一般的な病気の治療の指針が、
専門の学会において、
10年間改訂されない、と言う事実にもビックリですが、
本来2001年のガイドラインの改訂の筈なのに、
その記載が本文の何処にも存在しない、
ということにも驚きます。
こんなことで本当に良いのでしょうか?
当該の学会のサイトを見ると、
物凄く多くの個別の疾患や症状のガイドラインが、
作成されていることが分かります。
しかし、改訂がされているものはそのうちの極僅かで、
殆どは「出しっぱなし」に終わっています。
中には2007年に作成された、
悪名高い「LOHガイドライン」も堂々とまだ載っています。
所謂男性更年期のガイドラインで、
日本独自の診断が提唱されていて、
発表当時は健康番組で頻繁に紹介されるなど、
大きな話題になりました。
しかし、近年欧米ではその存在自体が否定される傾向にあり、
多くの文献が発表されていますが、
未だ改訂はされていません。
勿論日本独自の治療指針があっても、
それはそれで良いのですが、
議論となり海外の治療や診断と大きな乖離が生じているのですから、
少なくとも改訂作業は迅速に進めるべきではないでしょうか?
特定の学会の批判をするつもりはありません。
実際には日本のガイドラインには、
少なからずこうしたものがあり、
この学会だけの問題ではないと思います。
ガイドラインというのは、
多くの医療者に共有されるべき、
公共性の高い情報だと思います。
しかし、たとえばこの学会のサイトを見ると、
殆ど全てのガイドラインは、
学会の会員のみ閲覧可となっています。
血尿のような一般的な症候のガイドラインは、
少なくとも無料でダウンロードは出来るのが、
学会自体の公共性というものではないでしょうか?
臨床医学の学会がまっとうなものであるというためには、
その関わる疾病についての、
ガイドラインを作成すると共に、
それを当然のことながら、
定期的に改訂してアップデートし、
その成果は広く公開して、
多くの医療者に金銭負担なく提供するのが、
最低限の条件ではないでしょうか?
皆さんはどうお考えになりますか?
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍引き続き発売中です。
よろしくお願いします。
六号通り診療所の石原です。
今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。
今日は雑談です。
昨日前立腺肥大についての記事を書きましたが、
その時に日本の前立腺肥大症のガイドラインを、
参照として読んでみました。
それがこちらです。
皆さんは何か不思議に思われないでしょうか?
そう、年号や何版かなど、
作成された年月日を示す記載が何処にもありません。
中身を見ると、
最初の「序」に2011年4月の記載があります。
まとめられたのが2011年のようです。
そこにはビックリすることに、
前回のガイドラインは2001年で、
10年間改訂はされていないと書かれています。
ガイドラインというのはその時点での最新の治療の指針である筈です。
前立腺肥大症という、
極めて一般的な病気の治療の指針が、
専門の学会において、
10年間改訂されない、と言う事実にもビックリですが、
本来2001年のガイドラインの改訂の筈なのに、
その記載が本文の何処にも存在しない、
ということにも驚きます。
こんなことで本当に良いのでしょうか?
当該の学会のサイトを見ると、
物凄く多くの個別の疾患や症状のガイドラインが、
作成されていることが分かります。
しかし、改訂がされているものはそのうちの極僅かで、
殆どは「出しっぱなし」に終わっています。
中には2007年に作成された、
悪名高い「LOHガイドライン」も堂々とまだ載っています。
所謂男性更年期のガイドラインで、
日本独自の診断が提唱されていて、
発表当時は健康番組で頻繁に紹介されるなど、
大きな話題になりました。
しかし、近年欧米ではその存在自体が否定される傾向にあり、
多くの文献が発表されていますが、
未だ改訂はされていません。
勿論日本独自の治療指針があっても、
それはそれで良いのですが、
議論となり海外の治療や診断と大きな乖離が生じているのですから、
少なくとも改訂作業は迅速に進めるべきではないでしょうか?
特定の学会の批判をするつもりはありません。
実際には日本のガイドラインには、
少なからずこうしたものがあり、
この学会だけの問題ではないと思います。
ガイドラインというのは、
多くの医療者に共有されるべき、
公共性の高い情報だと思います。
しかし、たとえばこの学会のサイトを見ると、
殆ど全てのガイドラインは、
学会の会員のみ閲覧可となっています。
血尿のような一般的な症候のガイドラインは、
少なくとも無料でダウンロードは出来るのが、
学会自体の公共性というものではないでしょうか?
臨床医学の学会がまっとうなものであるというためには、
その関わる疾病についての、
ガイドラインを作成すると共に、
それを当然のことながら、
定期的に改訂してアップデートし、
その成果は広く公開して、
多くの医療者に金銭負担なく提供するのが、
最低限の条件ではないでしょうか?
皆さんはどうお考えになりますか?
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍引き続き発売中です。
よろしくお願いします。
健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな! ここ10年で変わった長生きの秘訣
- 作者: 石原藤樹
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2014/05/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
2014-07-30 08:38
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コメント(6)
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先生の意見に同感します。おざなりの怠慢な学会というレッテルを貼られてもしょうがないガイドラインと思います。
日ごろから勉強を怠って、昔の治療法を続けている医師も多いのではないでしょうか?
by テツ (2014-07-30 09:32)
私は、調剤薬局の薬剤師ですが、まさにこのガイドラインを見ようと思ったら非公開、しかも有料出版物になっており諦めた経緯があります。こういうものは、原則公開としていただきたいものです。
by Hajime (2014-07-30 10:04)
テツさんへ
コメントありがとうございます。
こうしたものは、
アップデートは欠かして欲しくはないですね。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2014-08-01 08:15)
Hajimeさんへ
コメントありがとうございます。
そうですよね。
最低限無料でダウンロードは可能に、
して欲しいと思います。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2014-08-01 08:17)
お疲れさまです。
家族が前立腺肥大などの持病があり、泌尿器科にお世話になっ
ています。
素人が、口はばったい事を申しますが…。
ガイドラインは、3年に一度は改訂等が必要では?と思います。生身の人間の臓器のことですから。
知人が、前立腺肥大の温熱療法を受けようと入院したら、処置前になって、
その処置をする機械が壊れたから、1度退院して、機械が直ったらまた入院して下さいと言われ、
泌尿器科に不信を持ったこともありました。
by さき (2015-04-17 17:28)
さきさんへ
コメントありがとうございます。
3年は難しい面もあると思いますが、
せめて5年に一度は改訂はあるべきだと思います。
by fujiki (2015-04-17 17:39)