SSブログ

排尿姿勢とその影響について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

ホームページには、
うっかりしていて記載しなかったのですが、
本日は石原が健診説明会出席のため、
午後の診療は5時半で終了とさせて頂きます。
ご迷惑をお掛けしますが、
よろしくお願いします。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
排尿時の体位の影響.jpg
今月のPLOS ONE誌に掲載された、
前立腺肥大症の患者さんでは、
どのような体位がより望ましいのかを、
これまでのデータを解析して検証した論文です。

掲載されたのがPLOS ONEなので、
内容はそれほど厳密なものではありません。
この媒体によくあるような、
「思い付き」レベルの論文です。、

ただ、内容はちょっと面白いので、
取り上げることにしました。

男性の排尿姿勢というのは文化的に違いがあり、
欧米においては19世紀に水を流すようなトイレが普及するのに伴い、
立って排尿するスタイルが主流となりました。
一方で日本を含むアジアにおいては、
かがんだり座って排尿するスタイルが、
むしろ伝統的です。
ただ、最近では欧米タイプのトイレが主流となったため、
立って排尿するスタイルが、
排便と同時でなければ、
多くなっていると思います。

多くの男性は年齢と共に前立腺が肥大し、
その結果として排尿に時間が掛かり、
また残尿が残るようになります。

それでは、立った姿勢と座った姿勢で、
どちらが尿の勢いが良く、
残尿が残り難いでしょうか?

以前チェルフィッシュの芝居で、
都会の不可思議な出来事として、
ビルのトイレで大に入って用を済ませた男性が、
個室から出るなり、今度は小便器で用を足した、
というエピソードがありました。
作家は若い人なので、
どうして大便の時に同時におしっこもしなかったのか、
それが不思議だ、
ということのようだったのですが、
僕くらいの年齢になると、
別に不思議でも何でもなく、
排便の時にはもうおしっこを全部出したと思ったのに、
立ち上がって個室から出ると、
少し残っていることに気が付く、
というのは良くあることなのです。

このような経験からすると、
何となく立位の方が残尿は減りそうですが、
実際にはどうなのでしょうか?

今回の文献では、
これまでの前立腺肥大の患者さんにおける、
体位の排尿動態に対する影響についてのデータを、
まとめて解析しています。
所謂「メタ解析」の論文です。
全部で11のデータが解析されていますが、
それぞれの対象事例数はせいぜい100例ですから、
それほど例数の多いものではありません。

その結果…

前立腺肥大の患者さんにおいては、
尿の勢いを示す最大流量率という指標も、
残尿量も、
いずれも立位より座位で、
有意に改善が認められました。
そして、前立腺肥大のない人では、
そうした体位による差は認められませんでした。

何となく実感とは異なる感じがするのですが、
今回の結果からは、
前立腺肥大のある男性では、
立位より座位の方が、
より排尿の状態は改善する、
ということのようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍引き続き発売中です。
よろしくお願いします。

健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな! ここ10年で変わった長生きの秘訣

健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな! ここ10年で変わった長生きの秘訣

  • 作者: 石原藤樹
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2014/05/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)





nice!(22)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 22

コメント 1

北御門

いつも、新鮮な情報有り難う御座います。 今回の話しを読んだ瞬間に座位のほうが腹圧がかけやすいのかな?と、思いました。あくまでも私見です。
by 北御門 (2014-07-30 23:36) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0