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ディミトラ・テオドッシュウ ソプラノ・リサイタル [コロラトゥーラ]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。

いつものように駒沢公園まで走りに行って、
それから今PCに向かっています。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
テオドッシュウ リサイタル.jpg
ギリシャ出身のソプラノ、
ディミトラ・テオドッシュウのソプラノリサイタルが、
先日オペラシティコンサートホールで行なわれました。

テオドッシュウはもうベテランの域に入る、
本格派のベルカントソプラノで、
迫力のある高音に、情感のこもった弱音と、
コロラトゥーラも歌える確かな技術を持っています。

これまでにオペラでは何度も来日していて、
特に「アンナ・ボレーナ」や「ノルマ」のタイトルロールは、
繊細さと力押し、魅力的な超高音を兼ね備えた、
聴き応えのある熱演でした。

ビジュアルはかなりぽっちゃりなのですが、
一昔前のオペラ歌手を彷彿とさせる雰囲気で、
その愛らしい感じは悪くありません。

今回の久しぶりのリサイタルが、
どんな感じになるのか興味がありました。

これがビックリです。

普通オペラ歌手のリサイタルでは、
途中に休憩が1回入るので、
そこで1回衣装を替えるのがスタンダードで、
海外のオペラ歌手では、
一切衣装を替えない歌手の方がむしろ多いくらいです。

森麻季さんのリサイタルに以前行った時には、
休憩での衣装替えに加えて、
前半で1回、後半にも1回衣装を替え、
更にアンコールにも衣装を替えて、
トータルに5着の衣装を着替えて見せてくれたので驚きました。

今回のリサイタルでは、
テオドッシュウおばさんは、
前半で1回、休憩で1回、
後半には2回の衣装チェンジを行ないました。

更には後半からアンコールに掛けては3回も、
客席に降りて、
通路を一周して1回の最後列まで廻りながら、
曲を聴かせてくれました。

こんなソプラノのリサイタルは、
これまで一度も聴いたことはありませんでしたから、
大変驚きました。

彼女はおそらくとても乙女の心を持った人で、
奇麗な衣装を沢山着て歌いたかったのだと思いますし、
ファンのすぐそばで歌を謳いたかったのだと思います。
その心根の純な部分が強く感じられるので、
この衣装はちょっとどうなのかしら…
と言うような感想は持つのですが、
嫌な感じはありませんし、
むしろ清々しく思えるのです。

肝心の歌については、
そのビロードのような声質と豊かな声量、
弱音の美しさは健在で、
第一声を聴いただけで、
間違いなく本物と確認出来ます。

客席に降りても、
殆どの歌手では声が飛ばなくて歌としての密度は落ちるのですが、
殆ど舞台にいるのと同じように、
全ての方向に奇麗に声が飛び声が響くのには、
非常に感心しました。

ただ、3回も客席に降りるのは、
幾らなんでも多過ぎると感じましたし、
「私の名はミミ」は大好きなので、
舞台でじっくり歌って欲しかったな、
と感じました。

演目はヴェルディとプッチーニのアリアが主体で、
コロラトゥーラの技巧が登場するものはありませんでした。
以前の彼女はこれぞと言う時に、
前にしっかりと飛ぶ声の超高音が魅力でしたが、
今回は高音は基本的にファラセットで出していて、
超高音を出すパートはありませんでした。

その点はちょっと残念に思えましたが、
年齢的にも装飾歌唱と高音は、
もう厳しいのではないかと思いました。

その一方で豊かな声量と弱音の魅力は健在で、
自信のある音域に関しては、
演技を含めた表現力も非常に豊かです。

特にヴェルディのマクベス夫人のアリアの、
凄みを全開にした演技の迫力や、
プッチーニのアリアの振幅の大きさには、
非常な感銘を受けました。

正直アンコールでは声には疲れが見え、
サービスは嬉しいのですが、
最後に疲れた声を聴いてしまうと、
良かった印象が薄れてしまうので、
サービス精神の旺盛な歌手にありがちなことですが、
スタミナが不足していたり、声が疲れたようなら、
アンコールは端折ってもらった方が、
却って良いように思いました。

またオペラでも来日はして頂きたいのですが、
どちらかと言えばリサイタルの方が、
彼女の魅力を十全に味わえるような思いもありました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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