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トリノ王立歌劇場2013日本公演「仮面舞踏会」 [オペラ]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝からレセプト作業をして、
それから今PCに向かっています。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
仮面舞踏会.jpg
イタリアのトリノ王立歌劇場の、
2回目となる日本公演が開催中です。
先日、ヴェルディ「仮面舞踏会」を聴いて来ました。

前回のトリノの来日公演は2010年の秋で、
デセイ様の「椿姫」にフリットリの「ラ・ボエーム」という、
僕にとっては盆と正月が一緒に来たような超豪華版でしたから、
それに比べると今回はワクワク感が大分下がるのは、
止むを得ないところです。

元々フリットリが「トスカ」を歌うというのが、
今回の目玉だったのですが、
フリットリは結局「トスカ」を降板し、
コンサートのみでの参加となったので、
他のキャストの入れ替わりを含めて、
更にボルテージは下がり、
そう悪くはないのですが地味なキャストで、
日本人のオペラファンには、
ちょっと力の入らない感じになったのか、
集客もあまり思わしくはないようです。
まあ、このキャストでこの高額なチケット代は、
かなり無理のある感じですよね。

演目の「仮面舞踏会」はヴェルディ中期の作品で、
初演が成功を収めた割には、
今日では上演されることの、
比較的少ない作品です。

日本での上演も、
かなり前に新国立劇場での結構豪華版の上演がありましたが、
それ以外は数えるほどだと思います。

僕は生で聴くのは今回が初めてです。

ボストン総督が自分の腹心の部下の妻と恋に落ち、
総督は彼女を腹心のためにあきらめるのですが、
嫉妬に狂う腹心は、
仮面舞踏会の会場で総督を殺します。

単独で聴くとなかなか面白い作品なのですが、
1幕2場で謎の占い女が出て来るところや、
総督と愛人との二重唱から三角関係で緊迫する当たりは、
「イル・トロヴァトーレ」に似ていますし、
前半の総督のおおらかな感じは、
「リゴレット」の殿様のようです。
また、ラストの仮面舞踏会の場面は、
「椿姫」の2幕2場によく似ています。

基本的にはかなり近代的な男女の心理劇なのですが、
それで占い女が呪いの予言をしたりするのが、
そこだけゴシック様でちくはぐな感じがしますし、
総督の性格の、前半は鷹揚な感じなのに、
後半は急に苦悩したりして、
これも何かちぐはぐな感じがします。

出来栄えからすると、
矢張り「リゴレット」、「椿姫」、「イル・トロヴァトーレ」の方が、
遥かに上ですから、
上演が少ないのも、止むを得ないのかな、
という気がするのです。

ただ、単独で聴く分には、
作品自体もコンパクトで、
場面も変化に富んでいるので、
悪くない作品だと思います。

今回の上演は若手主体のキャストで、
歌えるメンバーなので悪くはないのですが、
矢張り重量感には乏しい感じは否めません。

中で最もビックネームは総督役のラモン・ヴァルガスで、
彼はメトロポリタンのテノールのスターですが、
高音がスカッと出る感じではないので、
僕はあまり好きではありません。
ただ、今回はかなり頑張っていました。
ヒロインのソプラノは、
オクサナ・ディカというウクライナ出身の若手で、
声量はあるのですが演技はややたどたどしく、
歌は如何にもロシア系で大味でした。
彼女も正直僕は苦手なタイプです。
総督の腹心を歌ったヴィヴィアーニは、
サントリーホールオペラでお馴染みの若手で、
一番の美声ですが、
以前よりちょっとふてぶてしい感じになっていて、
全力とは思えないような歌で、
ちょっとがっかりしました。
日本のコロラトゥーラの市原愛は、
ちょっとデセイ様を思わせる感じで、
アクセントとしては意外に悪くありませんでした。
ただ、もう少しスケール感が欲しいところです。

オケも今思うと前回もこんなものだったのかも知れないのですが、
音色は今一つでまとまり重視という安全運転で、
ワクワク感には乏しい仕上がりでした。

今年はスカラ座が良かっただけに、
トリノはもう少し頑張って欲しかったな、というところですが、
ヴェルディの比較的上演の少ない作品を、
かっちりと上演してくれたことは、
個人的には有意義な体験だったと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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