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ケラリーノ・サンドロヴィッチ「SEX , LOVE & DEATH」 [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

今は結構本降りの雨ですが、
診療所に来た時はそれほどなかったので、
ラッキーでした。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
ケラ短編集.jpg
ナイロン100℃を率いるケラが、
ナイロンの若手を中心としたキャストで、
3つの短編戯曲のオムニバス公演をスズナリで行ないました。

文化庁委託事業の、
新進演劇人育成公演という企画だそうです。
他に新進劇団育成公演というのがあって、
それが「柿喰う客」なので、
それにもびっくりです。
ナイロンの若手をこれから育成したり、
「柿喰う客」をこれから育成する必要性が、
一体何処にあるのでしょうか?
勝手に育っているので、
それでいいのではないですか?
そもそも小劇場が、
文化庁様に認められた文化になるのは、
どちらかと言えば、
恥ずかしいことなのではないでしょうか?
都合の良い時は、反体制みたいな感じなのに、
もらうものはしっかりもらうというのは、
如何なものでしょうか?
要するに○○でしょ。
企画自体は背筋が寒くなりそうで、
そんなもんで税金ををもらって芝居するくらいなら、
○○でもしろよ、小劇場なんだろ、
と暴言を吐きたくなるのですが、
芝居自体は何となく評判が良かったので、
千秋楽に急遽出掛けました。

これは1996年と2000年にそれぞれ書かれた旧作と、
今回書き下ろされた新作をまとめて、
途中に休憩を挟む2時間ほどの長さにまとめています。

ちょっと使い回しなのかも知れませんが、
セットもそれぞれ全く別個に造られていて、
演出もそれぞれに違いがあります。

何か非常に豪華で、
とても手間暇が掛かっていて、
それが気持ちの悪くなる育成公演の成果なら、
悪くないというようにも思いました。

内容は最初が1996年の「13000 / 2」。
これは風俗店の人間ドラマを描いたコメディで、
ちょっと岩松了かポツドールか、
という感じです。

今回の3本のうちでは最も僕好みでした。
暴力とエロスがないまぜになった世界で、
かっちりした落ちはないのですが、
最後にそれまで秘められていた、
意外な関係が明らかになります。

ちょっとエロスが足りない気はしますが、
セットもがっちり出来ていて、
明かりが入った瞬間、やるな、と言う感じになり、
役者も手錬が揃っているので、
楽しい気分ですれ違いの悲喜劇に身を委ねることが出来ます。

暗転して映像が流れ、
それから新作の「死んでみた」にそのまま突入します。

こちらはうって変わって抽象的なスタイルで、
キャストは全て青い衣装を着て、
1つの役を複数で同時に演じたり、
1人で複数の役を演じたり、
役柄を交換したりしながら、
哀れな男の物語を語り継ぎます。

イギリスの前衛劇みたいな趣向で、
野田秀樹もどきの感じもあります。
セットは黒一色で、
このモノトーンの世界に、
休憩なしで突入する趣向が見事です。

休憩を挟んで後半は2000年の「スモーク」で、
「あいのり」のスタッフと出演者が、
怪しい国で足止めを食い、
そこでおかしな草を吸って、
皆でおかしくなって狂気のカタストロフに突入する、
という話です。
長尺版で再演されたりもした作品です。

これが一番いつものケラの感じです。
セットがまた完全に別物になっているのが見事です。
役柄が最初の風俗店と、
全く変わっていて、
役者さんの多くの面を観られるのも、
豪華で楽しい趣向です。

幻覚の描写には、
得意の映像でセットを歪ませたりする演出もあります。

個人的にはもっとラストははじけて欲しかったな、
と思いますが、
これはいつもケラの集団崩壊劇では感じることです。

密度も濃かったですし、
それなりの実験もあり、
キャストも魅力的で悪くありませんでした。

こういうのを見せられると、
ケラはさすがだな、と改めて思いますね。

公演はもう終わりましたが、
ケラが仕切ってスズナリクラスの小劇場での公演は、
非常にお薦め度は高いと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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