歌舞伎座杮落とし4月大歌舞伎 [演劇]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は祝日で診療所は休診です。
午前中から在宅診療に出掛けて、
今戻って来たところです。
午後は何もなければ休みます。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
銀座の歌舞伎座が、
3年ぶりに新開場して、
今月から杮落としの興行が、
華々しく始まっています。
先日第二部の舞台に足を運びました。
歌舞伎座の建て替えについては、
個人的にはあんなビルには、
して欲しくはなかったな、
というようには思います。
歌舞伎は古典劇としては、
半分野外のような仮設小屋的な劇場で、
江戸時代には行なわれていた訳ですが、
明治以降はヨーロッパのオペラハウスのようなものを意識して、
西洋と東洋の建築のちゃんぽんのような、
歌舞伎座が造られました。
それが何度か建て替えを繰り返し、
戦後間もない時期に造られたのが、
今回建て替えられる前の、
先代の歌舞伎座です。
その建物自体、
オペラハウスを模したような外観に、
和風建築の要素が盛り込まれた、
冷静に見ればかなり不可思議な代物です。
それが銀座という立地に、
単独で存在していること自体が、
ある意味非常に贅沢で奇跡的であったのですが、
今回外観は殆ど変わらない、
書き割りのような浮き彫りを残して、
実際には巨大なオフィスビルが、
にょきっと突き出ているような、
美観の欠片もない代物が、
出来あがってしまいました。
松竹は他の地所を全て高層ビルにしてしまったのですから、
せめて歌舞伎座のみは、
劇場のみの建物に、
して欲しかったな、とは思いますが、
商売という観点からは、
仕方のないことなのかも知れません。
劇場内部はかなり以前と雰囲気は変わらず、
客席は以前よりゆったりとして、
観劇環境は改善していると思います。
ただ、ロビーなどは元々手狭であったものが、
土産物店などのスペースは、
より縮小されていて、
以前の猥雑な感じは、
かなり薄まったという印象です。
今月の上演での一番の見ものは、
第一部の「熊谷陣屋(くまがいじんや)」と、
第三部の「盛綱陣屋(もりつなじんや)」という、
2つの歴史物義太夫狂言の名場面で、
特に仁左衛門の佐々木盛綱は、
以前であれば絶対に観たかったのですが、
今の仕事の忙しさでは、
正直時代物の緊張感と長さは、
しんどい思いが先に立つので、
菊五郎の弁天小僧と、
玉三郎の滝夜叉を選びました。
キャストは脇に幸四郎が控えたりする、
杮落としならではの豪華版で、
台詞もしっかり入っていましたし、
なかなか充実していました。
ただ、大向こうの掛け声は、
弁天小僧が正体を現わしてためるところで、
「待ってました!」「たっぷり!」と、
それも間抜けた声色で掛けるなど、
物凄く質の低いもので、
こんな掛け声なら、
ない方がずっとましなのに、
と切ない気分になりました。
掛けるなら、
長台詞の直前のためのところで、
掛けなければいけないのです。
歌舞伎はこういうところから、
もう終わりに向かっているのだな、
ということは強く感じました。
そんなものは頼まれても観ませんが、
幸四郎の弁慶では、
最後の飛び六法で手拍子が起こるそうですから、
これはもう悪夢と言うしかありません。
僕が熱心に歌舞伎を観ていた20年くらい前には、
今回のような間の抜けた掛け声は、
決してありませんでしたし、
飛び六法の手拍子などの悪夢もありませんでした。
そうしたことを除けば、
杮落としに相応しい舞台であることは間違いがなく、
この3ヶ月の舞台に関しては、
観て損はないように思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は祝日で診療所は休診です。
午前中から在宅診療に出掛けて、
今戻って来たところです。
午後は何もなければ休みます。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
銀座の歌舞伎座が、
3年ぶりに新開場して、
今月から杮落としの興行が、
華々しく始まっています。
先日第二部の舞台に足を運びました。
歌舞伎座の建て替えについては、
個人的にはあんなビルには、
して欲しくはなかったな、
というようには思います。
歌舞伎は古典劇としては、
半分野外のような仮設小屋的な劇場で、
江戸時代には行なわれていた訳ですが、
明治以降はヨーロッパのオペラハウスのようなものを意識して、
西洋と東洋の建築のちゃんぽんのような、
歌舞伎座が造られました。
それが何度か建て替えを繰り返し、
戦後間もない時期に造られたのが、
今回建て替えられる前の、
先代の歌舞伎座です。
その建物自体、
オペラハウスを模したような外観に、
和風建築の要素が盛り込まれた、
冷静に見ればかなり不可思議な代物です。
それが銀座という立地に、
単独で存在していること自体が、
ある意味非常に贅沢で奇跡的であったのですが、
今回外観は殆ど変わらない、
書き割りのような浮き彫りを残して、
実際には巨大なオフィスビルが、
にょきっと突き出ているような、
美観の欠片もない代物が、
出来あがってしまいました。
松竹は他の地所を全て高層ビルにしてしまったのですから、
せめて歌舞伎座のみは、
劇場のみの建物に、
して欲しかったな、とは思いますが、
商売という観点からは、
仕方のないことなのかも知れません。
劇場内部はかなり以前と雰囲気は変わらず、
客席は以前よりゆったりとして、
観劇環境は改善していると思います。
ただ、ロビーなどは元々手狭であったものが、
土産物店などのスペースは、
より縮小されていて、
以前の猥雑な感じは、
かなり薄まったという印象です。
今月の上演での一番の見ものは、
第一部の「熊谷陣屋(くまがいじんや)」と、
第三部の「盛綱陣屋(もりつなじんや)」という、
2つの歴史物義太夫狂言の名場面で、
特に仁左衛門の佐々木盛綱は、
以前であれば絶対に観たかったのですが、
今の仕事の忙しさでは、
正直時代物の緊張感と長さは、
しんどい思いが先に立つので、
菊五郎の弁天小僧と、
玉三郎の滝夜叉を選びました。
キャストは脇に幸四郎が控えたりする、
杮落としならではの豪華版で、
台詞もしっかり入っていましたし、
なかなか充実していました。
ただ、大向こうの掛け声は、
弁天小僧が正体を現わしてためるところで、
「待ってました!」「たっぷり!」と、
それも間抜けた声色で掛けるなど、
物凄く質の低いもので、
こんな掛け声なら、
ない方がずっとましなのに、
と切ない気分になりました。
掛けるなら、
長台詞の直前のためのところで、
掛けなければいけないのです。
歌舞伎はこういうところから、
もう終わりに向かっているのだな、
ということは強く感じました。
そんなものは頼まれても観ませんが、
幸四郎の弁慶では、
最後の飛び六法で手拍子が起こるそうですから、
これはもう悪夢と言うしかありません。
僕が熱心に歌舞伎を観ていた20年くらい前には、
今回のような間の抜けた掛け声は、
決してありませんでしたし、
飛び六法の手拍子などの悪夢もありませんでした。
そうしたことを除けば、
杮落としに相応しい舞台であることは間違いがなく、
この3ヶ月の舞台に関しては、
観て損はないように思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2013-04-29 11:41
nice!(19)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0