松尾スズキ「生きちゃってどうすんだ」 [演劇]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日で診療所は休診です。
ともかく疲れていて、
良いことは1つもないし、
どうにでもしてくれ、
という感じですが、
仕方なく生きてはいます。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
松尾スズキの1人芝居が、
下北沢のザ・スズナリで上演中です。
松尾スズキは、
同世代ですし、
その世の中への絶望の仕方や、
何に腹が立つのか、
という点についても、
共感が持てます。
パンフレットの前書きに、
こんな文面があります。
政治家は「自分が悪うございました」とは言わない。皆が皆、自分のせいで日本がダメになりましたと謙遜しない。おわびにドジョウすくいを踊ります、とは言わない。オリジナリティというものがなにもない。
こういうのに、
物凄く共感します。
要するに、
おわびのドジョウすくいこそ、
この絶望的な社会においての、
娯楽であり藝術なのです。
言い方を変えれば、
おわびのドジョウすくいが実在すれば、
藝術家は要らないのです。
松尾スズキは、
ここ数年はあまり冴えたところがなく、
物語が作れず、
私小説的な世界を彷徨っているような感じがありましたが、
「ウェルカム・ニッポン」もまあまあで、
今年の「ふくすけ」の再演は良かったですし、
今回の1人芝居も、
天久聖一のサポートあってのことかも知れませんが、
昔の松尾スズキの世界が戻って来た感じがあって、
とても素敵に感じました。
個人的には非常にお勧めです。
以下、ネタバレがあります。
観劇予定の方は、
必ず観劇後にお読み下さい。
損をします。
身体に角が生え、
それが成長して自分の身体に突き刺さるので、
早死にをするという、
特異体質の一族がいて、
その中で唯一、
大正元年生まれのコメディアンの男のみが、
何故か角が生えずに、
100歳まで生きています。
この謎の男に関わる人物が、
舞台に1人ずつ登場し、
最後に本人が登場します。
そして、
その人物の全てを、
松尾スズキが1人で演じる、
という趣向です。
結構どの役も、
凝りに凝った扮装なのですが、
その衣装とメイクのチェンジに掛かる時間には、
舞台に映像が流れます。
その映像もなかなかに面白く、
大人計画の面々が出演し、
かつてのヒロインであった、
新井亜樹も出演して、
昔からのファンには嬉しい趣向です。
大人計画の初期作品に近い味わいで、
松尾スズキの演技も冴えています。
中では特に、
サイコパスの偽警官が、
笑いの中に戦慄を感じさせて、
秀逸でした。
被曝の問題も絡めていて、
その点の評価は微妙ですが、
笑いのめせる話題でもないので、
仕方がないのかも知れません。
「生きちゃってどうすんだ」
というのは本当にその通りで、
無念で死んだ方が多いのですから、
勿論詰まらない人生で、
何も良いことなどないのですが、
それでも矢張り生きることが、
まだ分からない何かのために、
必要なことのように思います。
どれだけ生きても、
「自分が悪うございました」
と言う政治家など現われないかも知れませんが、
意外に信じられないことが起こったり、
人間も捨てたものではないな、
と思わせるようなことがあるかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも生きちゃって下さい。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日で診療所は休診です。
ともかく疲れていて、
良いことは1つもないし、
どうにでもしてくれ、
という感じですが、
仕方なく生きてはいます。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
松尾スズキの1人芝居が、
下北沢のザ・スズナリで上演中です。
松尾スズキは、
同世代ですし、
その世の中への絶望の仕方や、
何に腹が立つのか、
という点についても、
共感が持てます。
パンフレットの前書きに、
こんな文面があります。
政治家は「自分が悪うございました」とは言わない。皆が皆、自分のせいで日本がダメになりましたと謙遜しない。おわびにドジョウすくいを踊ります、とは言わない。オリジナリティというものがなにもない。
こういうのに、
物凄く共感します。
要するに、
おわびのドジョウすくいこそ、
この絶望的な社会においての、
娯楽であり藝術なのです。
言い方を変えれば、
おわびのドジョウすくいが実在すれば、
藝術家は要らないのです。
松尾スズキは、
ここ数年はあまり冴えたところがなく、
物語が作れず、
私小説的な世界を彷徨っているような感じがありましたが、
「ウェルカム・ニッポン」もまあまあで、
今年の「ふくすけ」の再演は良かったですし、
今回の1人芝居も、
天久聖一のサポートあってのことかも知れませんが、
昔の松尾スズキの世界が戻って来た感じがあって、
とても素敵に感じました。
個人的には非常にお勧めです。
以下、ネタバレがあります。
観劇予定の方は、
必ず観劇後にお読み下さい。
損をします。
身体に角が生え、
それが成長して自分の身体に突き刺さるので、
早死にをするという、
特異体質の一族がいて、
その中で唯一、
大正元年生まれのコメディアンの男のみが、
何故か角が生えずに、
100歳まで生きています。
この謎の男に関わる人物が、
舞台に1人ずつ登場し、
最後に本人が登場します。
そして、
その人物の全てを、
松尾スズキが1人で演じる、
という趣向です。
結構どの役も、
凝りに凝った扮装なのですが、
その衣装とメイクのチェンジに掛かる時間には、
舞台に映像が流れます。
その映像もなかなかに面白く、
大人計画の面々が出演し、
かつてのヒロインであった、
新井亜樹も出演して、
昔からのファンには嬉しい趣向です。
大人計画の初期作品に近い味わいで、
松尾スズキの演技も冴えています。
中では特に、
サイコパスの偽警官が、
笑いの中に戦慄を感じさせて、
秀逸でした。
被曝の問題も絡めていて、
その点の評価は微妙ですが、
笑いのめせる話題でもないので、
仕方がないのかも知れません。
「生きちゃってどうすんだ」
というのは本当にその通りで、
無念で死んだ方が多いのですから、
勿論詰まらない人生で、
何も良いことなどないのですが、
それでも矢張り生きることが、
まだ分からない何かのために、
必要なことのように思います。
どれだけ生きても、
「自分が悪うございました」
と言う政治家など現われないかも知れませんが、
意外に信じられないことが起こったり、
人間も捨てたものではないな、
と思わせるようなことがあるかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも生きちゃって下さい。
石原がお送りしました。
2012-12-09 11:46
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コメント(6)
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こんばんは~
年にほんの数回コメントしています。
鹿児島県の心房細動があるひろぶーといいます。
ブログは毎日拝見させていただいています。
私もザ・スズナリに行って舞台を見てみたいですが、
物理的に不可能です。
劇団「大人計画」の方々はよくTVで見かけます。
そのうち福岡あたりまで公演に来て頂ければ行けるのですが(笑)
早速初台の友人に教えようと思います。
いつも人生を楽しくさせてくれる情報をありがとうございます。
by ひろぶー (2012-12-09 19:09)
天久聖一は神です。
是非スズナリに足を運びたい所ですが、
体調が許してくれません・・・。
今日も無為に生きちゃいました。
by ☆ acco ☆ (2012-12-09 19:18)
ひろぶーさんへ
いつもお読み頂きありがとうございます。
18日と19日に福岡公演が予定されています。
ただ、スズナリ向きのスケール感で作られているので、
同じ密度の舞台になるかは、
ちょっと分かりません。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2012-12-10 06:09)
accoさんへ
コメントありがとうございます。
狭い場所にすし詰めなので、
途中で耐えられずに帰った人もいました。
寒くなりましたので、
体調管理にお気を付け下さい。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2012-12-10 06:11)
はじめまして
私も観にいてきました。
小気味の良いテンポ&テーマ・・・素晴らし♪
by BOB (2012-12-16 19:35)
BOBさんへ
コメントありがとうございます。
僕は初日でしたので、
また内容は結構変わっているような気がします。
by fujiki (2012-12-17 08:15)