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シベリア少女鉄道スピリッツ「ステップアップ」 [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日ですが、
10時に入院なので、
もう少ししたら出掛けます。

明日の更新はお休みになります。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
シベリア少女鉄道「ステップアップ」.jpg
唯一無二と言って良い、
独特の演劇の上演を続ける、
シベリア少女鉄道スピリッツの、
新作公演が本日まで東京で上演中です。

この劇団は観たことのない方には、
説明が難しいのですが、
ある物語が途中まで展開されながら、
その物語の大枠が常に最後に破壊され、
全然別箇の物語に変貌する、
という独特の趣向で、
1例を挙げると、
サスペンスドラマであったものが、
徐々に違和感のある台詞に移行し、
最後には「ごきげんよう」になってしまう、
というようなものです。

何のことなのか、
訳が分かりませんね。

こうした芝居が1回きりなら、
結構やっているところもあるのですが、
このシベリア少女鉄道の場合は、
一貫してそうしたパターンで、
慣れた観客は、
今度はどのような物語や仕掛けが隠されているのかを、
推理しながら、
表面的にはSFであったり、
ファンタジーであったり、
ミステリーであったりする、
「表面的な物語」を見守ります。

こういうトリッキーな趣向を、
連打するというのは、
ちょっと並みの才能ではありません。

正直こうした仕掛け物なので、
その出来栄えにはかなりの差があり、
物凄くガッカリすることも稀ではありません。
また、好みもあると思います。

ただ、僕はその物語世界の中に、
安住しているようなタイプの芝居は好きではないので、
シベリア少女鉄道スピリッツは、
スピリッツの付く前から欠かさず観ていましたし、
これからも懲りずに観続けるつもりです。

さて、今回の新作ですが、
前作が凡打に終わったので、
正直危惧する思いがあったのですが、
やや地味ではあるものの、
「これぞシベ少!」という作品ではあって、
僕はとても楽しめました。

次作も今から本当に楽しみです。

以下、少しネタばれに近い部分があります。
今日ご覧になる予定の方は、
絶対に先にはお読みにならないで下さい。

病院の屋上、
という設定のセットが組まれ、
奥にホリゾントがあって、
そこに宣伝のチラシと同じ画像が映し出されていて、
上手よりの壁に、
「ステップ1」という文字が映し出されています。

オープニングムービーが流れ、
そこに「ラスト10秒のどんでん返し」などの、
興味を惹くテロップが踊ると、
効果音と共に、
ステップの数字が、
1から2、2から3と、
順々に増えてゆきます。

映像が終わり、
舞台が始まりますが、
過去の忌まわしい事件を追う元刑事や、
片目に眼帯をして、
黒いセーラー服着て黒手袋を嵌めた謎の少女、
曰くありげな精神科医などが、
次々と現れ、
空の向こうにある、
もう1つの世界の存在が示唆されたりもします。

物語が進むにつれ、
ステップアップの数字が、
どんどん増加して、
遂には100を超えてしまいます。

しかし、
この数字が何を意味しているのかが、
どうもよく分かりません。

数字は基本的には増えて行くのですが、
一旦増えた数字が、
登場人物がある言葉を口にした瞬間、
今度は減少したりもします。
しかし、それは些細な一言に過ぎないので、
不可思議ですし、
その法則性が分かりません。

そうこうしているうちに、
予想外の人物が唐突に登場し、
実は真相はこれこれだと話すと、
音楽が高まり、雪が降って来ます。
どうやらこれで物語は終わってしまいそうですが、
それでは何1つ面白くはありませんし、
謎は全く解決されているようには思えません。
壁に映されている数字の意味も分かりません。

何だこれは…と思ったその時、
物語は予期せぬ方向に加速度的に進み始めます。

どうでしょうか?

何となく面白そうでしょ。

面白いのですが、
グズグズの部分もあります。

最初のうちの表面上の物語が、
正直あまり面白くなく、
演技も稚拙で、
役者さんも申し訳ないのですが、
華のない人たちなので、
仕掛けに行き着くまでが結構辛いのです。

これはシベリア少女鉄道の昔からの特徴で、
作品の性質上仕方のないことなのかな、
と思わなくもありませんし、
その一方でもう少し器用で華のあるメンバーがいれば、
全体のトーンもかなり変わるのにな、
と思わなくもありません。

個人的な提案としては、
全体の構成と後半の怒涛の展開の部分は、
土屋亮一さんに任せ、
前半のドラマパートは、
別の作者に書いてもらった方が、
より良い作品になるのではないかな、
と思います。

僕のお勧めは、
「柿食う客」の中屋敷さんとのコラボです。
中屋敷さんの台本は、
見事に小劇場演劇なのですが、
設定は良いのに展開が弱いのです。
そこで1時間くらいの上演台本を普通に書いてもらい、
それを土屋さんに徹底して解体してもらい、
仕掛けを付加して、
ラスト30分を書き足してもらうのです。

土屋さんの台本は、
基本的に演劇的な盛り上がりに乏しいので、
それが前半の退屈さに繋がっているのです。
それが変われば、
シベリア少女鉄道の作品も、
よりステップアップしたものになるように、
僕は感じました。

それではそろそろ出掛けます。

皆さんは良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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千葉

母は私を叱る、どやす、監視する。
父は、褒める、話を聞いてくれる。

母は、私に耳を貸さない。母の価値観どおりに生きない娘を自業自得と言う。二言目には、馬鹿だ、無駄だ、と。
父は、自由に生きて欲しいと言う。

母は父に土下座させる。父が市役所や病院の手続きをうっかり間違ったり、母に言われた洗濯や掃除が満足いく結果で無かったから。
日常的に。
父は、心身共に疲れ果てて、土下座しろと言われれば土下座する。
夜中に一人で紐もって裏山に行って泣く。
死にたくても、私の顔を思い出して死ねないと、泣く。


あたしは、子育てした事無いから、分かるようで分からないようで。

親にとって、子供って何?
子供にとって、親って何?
年齢を経ても監視下に置いて24時間把握しないと気がすまないの?
夫婦間で意見が違うと、心身が強い側の言いなりになるしかないの?
by 千葉 (2012-10-22 12:31) 

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