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フェルメール「真珠の耳飾りの少女」 [絵画]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

診療所は8月16日まで休診期間に入っています。
ご迷惑をお掛けしますがご了承下さい。

今日からちょっと関西方面に出掛けます。
明日は更新もお休みさせて下さい。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
フェルメール.jpg
昨日フェルメールを上野に観に行きました。

1996年に学会でドイツとオーストリアに行った時に、
ベルリンの国立絵画館で「真珠の首飾り」を、
ウィーン美術史美術館で、
「画家のアトリエ」を観ました。

今回の展覧会に代表作の「真珠の耳飾りの少女」と、
初期の「ディアナとニンフたち」が出品されていたので、
僕が観たフェルメールは4点になりました。

フェルメールの絵は海外でも、
概ねガラスケースに入れられて展示されているので、
あまり実物を観た、
という感動には乏しく感じます。

大きさも小さいので、
尚更そうした感じが強いのです。

僕の観た中では、
今これも日本に来ている「真珠の首飾り」は、
そんな感じが強く、
「画家のアトリエ」は、
初期作を除けばフェルメール最大の大作で、
こちらはさすがに見事でした。

「真珠の耳飾りの少女」は、
さすが人気のあるだけあって素敵な作品で、
勿論大きな絵ではありませんが、
所謂実物大で、
過不足のないサイズで迫力があります。

フェルメールの作品は、
かなり変てこなバランスのものも多いのですが、
この作品は文句の付けようのない完璧な構図で、
色彩も抜群です。
画集の写真などは、
ひび割れたような画像になっているのですが、
現物(おそらくは…)を観ると、
少なくとも肉眼ではそうした傷などは、
殆ど見えません。

展示は「モナリザ方式」で、
絵自体は素で掛け、
それがショーウインドーのような、
ガラスケースに入っています。
ガラス越しは気分が萎えるのですが、
まあ仕方のないことなのだと思います。

開場時間の40分くらい前に行くと、
それほどの列でもなく、
30分前には予定より早く開場されたので、
比較的ゆったりした気分で観られて、
ラッキーでした。

小学校の頃に、
祖母と一緒によく上野の美術館に行きましたが、
その時も今と同じくらい、
いや今より感覚的には混んでいたと思います。

ゴヤの「着衣のマハ」と「裸のマハ」が来たことがあって
(比較的最近も来たようですが、
これはもっと昔の話です)、
その時に死ぬほど並んだことは、
今でもよく覚えています。
そして、大阪万博で月の石を見るのと同じ気分で、
ゴヤの絵を見ました。
後年プラド美術館に行くと、
別にゴヤの前に大行列ということもなく、
「黒い絵」に囲まれて、
静かな時間を過ごすことが出来ました。

僕も絵を観るのは決して嫌いではありませんが、
ただ1枚の紙っぺらの前に、
目の色を変えた老若男女が、
群れを成す姿は、
少し距離を置いて見ると、
不思議なものに思えます。

これは「見世物」に群集の群がる、
古代から綿々と続く伝統的な景色で、
藝術に触れるということとは、
おそらくは相容れないものだと思うからです。

しかし、それは仕方のないことで、
藝術とは本質的に特権的なものですが、
僕のような大衆には、
そうした特権性はないので、
ある種の水増しされた藝術の前に、
群がって何かの欠片を、
感じることしか出来ないのかも知れません。

誤解のないように補足しますが、
フェルメールが水増しというのではなく、
本来こうした絵画は、
このようにして大衆に見られることを想定されていないので、
そうした見られ方をした瞬間に、
作品自体も大衆化されるのだろうな、
という意味合いです。

武井咲が同じ絵画の少女のポーズで、
写真を撮って宣伝に使われましたが、
こうした行為は初めてのことではなく、
海外でもあったようですが、
それを藝術の冒涜とは感じない心性の中に、
おそらくはフェルメールなどいないのです。

それではそろそろ出掛けます。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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キウイ

都会の美術館は人が多いので苦手です。
サーッと回ってしまって、気に入ったら図録を買って、
家に帰ってから舐めるように見ることが多いです。
(本物を見ることにこそ価値があるのでしょうが、ヘタレですみません)
時間とお金に余裕のある時は地方に行きます。
たまにスゴイのが来ていても、人がいないのでゆったり見られますから。
by キウイ (2012-08-14 10:27) 

fujiki

キウイさんへ
コメントありがとうございます。
僕も混んでいる美術館は大嫌いですが、
そうでないと観られないものもあるので、
その時は仕方なく行きます。
今回はその意味はあったと思いました。
by fujiki (2012-08-15 16:06) 

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