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エリック・ロメール「緑の光線」 [映画]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。
肉親のゴタゴタで、
非常にブルーですが、
それでもどうにかしてゆくしか仕方がありません。
こういうことがあると、
お金というのはつくづく嫌なものだな、
と思わずにはいられません。

朝は雨が降っていたのですが、
すぐに上がったので、
雨具片手に駒沢公園まで走りに行って、
それからちょっと庭の草取りをして、
今PCに向かっています。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
緑の光線.jpg
1986年のフランス映画「緑の光線」です。
エリック・ロメール監督が自分で脚本も書いた、
一種のワンマン映画で、
僕は非常に気分がブルーだった時に、
池袋にあった名画座で観て、
その時の気分にもフィットしたこともあって、
胸に染み入るような感動を覚えました。

そんな訳で僕にとっては特別な作品ですが、
他の人が観てもそう思うかどうかは分かりません。

冴えないOLが夏のバカンスに、
胸に孤独を抱えながら、
観光地や田舎町を彷徨います。
「緑の光線」と言うのは、
日没の太陽が水平線上に沈み掛かる僅かな時間に、
一瞬だけ見える光のことで、
何となく出逢った、
それほど親しくはない男の子と、
その光を一緒に見た瞬間に、
物語は終わります。

ストーリーらしいのはそのくらいで、
後はドキュメンタリーのようなタッチで、
主人公の心の揺らぎが、
繊細に綴られます。

高校の頃、よく夏に1人で稲村ガ崎の海岸に出て、
泳いだり砂浜に座ったりして、
夏の日々を過ごしました。

僕はこの映画を観ると、
いつもその時のことを思い出します。
他人との接触のない孤独と、
周囲で海水浴をして楽しんでいる家族や、
恋人同士の姿を見る時の、
何となく不思議に安らぐような気持ちです。

自分を透明にすると、
周囲の接触もない他人の小さな幸福が、
とても大切に思えるような瞬間があるのです。

この映画の「緑の光線」はその本物を撮影したものですが、
非常に淡い光のため、
DVDでは合成処理が加えられています。
これは非常に残念で、
1時間半殆ど何も起こらない映画の、
唯一無二の特権的な瞬間なのですから、
ブルーレイで是非フィルムと同じ映像を、
観られるようになれば良いな、
と思います。

今日は僕の好きな映画の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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コメント 4

末尾ルコ(アルベール)

ちょっとした 「ロメール・ブーム」と言える時期がありましたね。
わたしも「緑の光線」は大好きです。
あと、「レネットとミラベル」なんかも好きでした。
また観たくなりましたよ(笑)

                               RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2011-09-04 19:42) 

人力

あの当時公開されたロメール作品の中で、私も「八月の光」が一番好きです。
ほとんどプライベート・ムービーの様な作品だけに、波長が合う人達には熱烈な支持を受けるのだと思います。
木戸の前に佇み、風にざわめく木々の音に主人公が何故か涙するシーンが一番印象に残っています。
by 人力 (2011-09-04 20:28) 

fujiki

RUKOさんへ
何度観ても悪くないんですよね。
一種のカルトムービーのような趣もあります。
RUKOさんもお好きと聞いてうれしいです。
by fujiki (2011-09-04 21:07) 

fujiki

人力さんへ
コメントありがとうございます。
あの最初の方のね、
あそこは僕も好きです。
何とも言えないですよね。
僕は大学の時にクラスで旅行に行って、
1人で自由時間に草原をウロウロして、
孤独に襲われたことがあって、
その時のことを思い出して、
非常にグッと来ました。
by fujiki (2011-09-04 21:09) 

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