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ベクレルとシーベルトを換算する [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

昨日のジブリの特集はチラ見したのですが、
「ポニョ」は殆ど出しませんでした。
その辺は配慮を感じましたね。

ジブリの作品は基本的に男尊女卑ですよね。
表面的にそうでなさそうに見せたりもするけれど、
本質的に古い規範への郷愁みたいなものが、
あるのだと思います。
だから、概ね女性は嫌いな人が多くて、
それは当然のことなのだと思います。

それでは今日の話題です。

数学と化学は苦手だったので、
誤りがあればご指摘下さい。

僕の理解している範囲で、
ベクレルとシーベルトを、
放射性ヨード131に関して換算します。

原発から離れた場所の水道水から、
1000ベクレル程度の放射性ヨード131が、
検出された、との報道がありました。

この前まで放射線の量は、
シーベルトと言う単位で説明していましたよね。

何で急に単位が変わったのでしょうか?

これは政府の陰謀で、
単位を変えてその被爆の大きさを、
誤魔化そうとしているのかしら?

いえ、そんなことはありません。

水やホウレン草の放射線を示す、
ベクレルという単位は、
放射能の強さを示す単位です。

それに対して、
人間の被曝する放射線量は、
シーベルトという単位で表現します。
つまりシーベルトは量の単位です。

放射線を含む元素が、
何であってもシーベルトには変化はありませんが、
たとえば100ベクレルのヨードと、
同じ100ベクレルのセシウムが、
同じように吸入されて体内に入っても、
被曝量として測定されるシーベルトは異なります。

つまり、水に含まれる放射線の強さの数値が、
実際にどのレベルの被曝量になるかは、
換算式で計算しなければいけません。

さて…

放射性ヨード131の場合、
経口摂取の換算係数は2.2×10-8(10のマイナス8乗です)(Sv/Bq)です。
これが吸入では7.4×10-9(10のマイナス9乗です)(Sv/Bq)となります。

たとえば、
今回1キログラム当たり2000ベクレルの、
放射性ヨード131がホウレン草から検出された、
との報道がありましたが、
このケースを経口摂取で計算すると、
44μSv(マイクロシーベルト)に相当する、
ということになります。
単純に比較は出来ませんが、
同じ放射線量としては、
これはほぼ胸のレントゲン写真1枚分に相当します。
(1枚20~50μSv)

この意味は汚染されたホウレン草を1キロ食べると、
その時に2000ベクレルの放射性ヨードが、
身体の中に入り、
それが全て身体に吸収されるとすると、
44マイクロシーベルトの被曝をしたのと同じだ、
ということになります。
これを内部被曝と言います。

ただこの全てが甲状腺に集まる訳ではなく、
甲状腺に集積する放射性ヨードは、
通常の状態で全ヨードの2割程度です。

放射性ヨードは、
実は甲状腺機能亢進症の治療として、
使用されることがあります。
この時使われるのはヨード131ですから、
基本的には原発からの放射性ヨードと同じです。
これをヨウ化ナトリウムの形で飲んで頂きます。
通常投与後2週間で退院して頂きますから、
そのくらい経てば、
甲状腺に取り込まれたヨード以外の放射線は、
外部には影響を与えない量に減衰している、
ということになります。

ヨード131の半減期は8.04日です。

この時使用するヨードは、
概ね5mCi。これは古い単位で、
換算すると1.85×108(10の8乗です)ベクレルです。
つまり、1.85 億ベクレルです。
これは4.07Svの被曝量に相当します。
この量の放射能により、
甲状腺の細胞の8~9割は死滅するのです。

これを考えると、
僕は放射性ヨードに関しては、
それほどの問題にはならないと思います。
ヨードの減衰は早く、
その効果は甲状腺に限局して一時的です。
多くの線量の被曝が想定される時に限って、
甲状腺に入るヨードをブロックすれば良いのです。

問題は従って、セシウムなど、
ヨード以外の元素による、
放射能の問題です。
セシウム137の半減期は30年。
つまり、その間放射線を出し続けるのですから、
排泄が早い点は救いですが、
被曝の数値はある程度加算されることになる訳です。
この影響はヨードとは全く違います。

国の記者会見で、
たとえ1年間毎日摂取したとしても、
そのトータルの量はCT検査1回分に満たない、
という表現をしていましたが、
それは単純な加算計算としては事実ですが、
実際にはケースバイケースだと思います。
減衰の早いものでは、
むしろその計算より実際の被曝量は少ないでしょうが、
半減期の長く蓄積し易いものでは、
そう単純な計算にはなりません。

また、その都度CTのことを持ち出すのは、
不安に思われる方もいるので、
いい加減止めて欲しいと思います。

癌の放射線治療などでは、
そのまま数値だけ見れば、
致死量に匹敵するような放射線を使用することがあります。

しかし、それで身体に大きな問題がないのは、
減衰の早い放射性物質を使用し、
その効果もターゲットである癌の組織に、
集中するように計算されているからです。

つまり、被曝による身体の影響は、
その放射性物質が何であるか、
どういう性質を持つものであり、
どのような形で身体に吸収されたか、
といった要因により大きく変化するものなので、
放射線量の数値ばかりでなく、
そうした細部の情報にも、
注意しつつ今後の経過を見守る必要があるのです。

最後に最近常に使われる、
「安全」の言い回しについて確認しておきます。

「ただちに健康を害するような量ではない」
という言い方がされますが、
この「ただちに」と言うのは、
急性の放射線障害を、
起こすような被曝量ではない、
と言う意味です。

それでは、急性以外のどういう障害があるのか、
と言えば、
それは将来の癌の確率的な増加です。
この場合はより低い線量でも影響のある可能性があり、
明確にないとは言い切れないので、
そうした予防線を張った言い方をしているのです。

今日は放射線量の単位についての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日は事態が好転しますように。

石原がお送りしました。

(付記)
放射性セシウム137について補足します。

セシウム137についての換算係数は、
経口摂取で1.3×10-8(10のマイナス8乗です)(Sv/Bq)、
吸入で3.9×10-8(10のマイナス8乗です)(Sv/Bq)です。

ここで、
報道によるとホウレン草から、
1キログラム当たり1931ベクレルのセシウムが検出された、
とありますから、
これは換算すると、
25.1マイクロシーベルトに相当します。

つまり、このホウレン草を1キログラム摂取し、
それが全て吸収されたと仮定すると、
その被曝線量は25.1マイクロシーベルトで、
レントゲン写真1枚分程度です。

ただ、ここで注意するべきは、
セシウムは吸入の方が、
経口摂取よりより被曝線量が多い、
という事実と、
この元素はヨードと違って、
減衰に時間が掛かる、という事実です。

以上、セシウムについての補足でした。
(セシウム134も検出されたようですが、
これは半減期はグッと短いのです)
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永遠の通りすがり

ついテレビを点けACのCMを観るはめになってしまいます。
苦手なのは「心は…」で始まるCMです。
心も思いも形として見える一瞬だってあるだろうし、形にならない心づかいや思いやりだってあるだろう。
画面を観ずにコピーだけ聴くと、誰かが見ているから人を思いやる価値がある、と言っているようにさえ思えてきます。繰り返し観過ぎて「思いやりを実際の行動に移しましょう」という主張は最早、私の頭には入ってきません。

これもblogに関係ない内容で申し訳ないのですが。
安静にしていても脈が乱れることはこれまでもよくありました。加えて最近はトトトトト…と10~15回くらい続けてかなり速く打つことがよくあります。これは、どのような状態でしょうか。健康な人にもあることですか。
by 永遠の通りすがり (2011-03-22 17:41) 

giscour

ご説明ありがとうございます。
何故単位が変わったのか疑問に思っており、また、一過性の線量である医療行為による被爆と、毎日継続摂取することで乗数的に大きくなる筈の経口・吸入被爆を比べることに意味があるのかと疑問に思っておりましたので大変良く分かりました。
ただ、単体の食物が汚染されていると言うことは、その他全ての食物も汚染されていると考えるべきではないかと思い、『茨木産ほうれん草』のような単体を上手く流通規制できたとしても、その他の全食物からの摂取総量を考えると空恐ろしくなってきます。
さて、ご説明の中で一つだけよく判らなかったのは、何故、経口摂取と吸入の換算係数に差があるかと言うことです。
素人考えでは体内に入ってしまえば核子完全崩壊までの総線量は吸入しても経口でも同じなのではないかと思えてしまいます。
ご教示頂けないでしょうか?


by giscour (2011-03-22 19:39) 

kawasemi

ただただややこしやヤヤコシヤ
by kawasemi (2011-03-22 20:57) 

T.D.

初めてお便りさせていただきます。
事故についていろいろ調べているうちにこちのサイトに行き当たりぜひ教えていただければと思いました。
かなり高い数値(ベクレル)の放射性物資が観測されています。
茨城では昨日、定時降下物で93000メガベクレル/㎞2/日だそうです。そこで質問です。
1931ベクレルのセシウムを換算すると約25マイクロシーベルトだそうですが、これは25マイクロシーベルトの放射線を出す能力という理解でいいのでしょうか。だとすると体内に入ったセシウムが200日で排出されるとすると25マイクロSv×3600秒×24時間×200日の被ばくになることはないのでしょうか。
ぜひ教えていただければと存じます。
よろしくお願いいたします。
by T.D. (2011-03-22 22:14) 

ベクレル→シーベルト換算??

こんばんは。
ベクレルからシーベルトへの換算の意味が、なんとなく判るのですが、最近ニュースでもあるように、単位に時間の基準を加えた形で
ベクレル→シーベルト換算したもので表現すのではなく、
放射性物質が崩壊時に放射する総線量が、レントゲン程度という
意味で捉えてよいのでしょうか?

ベクレル→シーベルト換算では違うと思うのですが、
毎時という単位が付加されるとしたら、毎時、レントゲンを取っている
のと同じですよね?

研究所の資料では、
2ミリシーベルトを一度に浴びた場合、白内障を発症するまでの潜伏期間は数年から数十年との指摘がありました。晩発効果のため、
現地で作業されている方々には若年はいないのだろうとも感じます。

現地で作業されている方々は、それなりに知識もあり不安と恐怖があったようです。 ほんとうに感謝するべき英雄だと思います。

by ベクレル→シーベルト換算?? (2011-03-22 22:21) 

まる

お気に入りに登録しました。
これからも解説お願いします^^
by まる (2011-03-23 02:12) 

まる

簡単に言えば、
ベクレルは「マグネチュード」
シーベルトは「震度」
ですね^^
by まる (2011-03-23 02:14) 

fujiki

永遠の通りすがりさんへ
コメントありがとうございます。
「思いやり」鬱陶しいよね。
でも、あれで勇気付けられる方もいるそうなので、
あまり失礼なことも言えません。

一時的な頻拍になっているのだと思います。
誰でもあることではありませんが、
それほどの心配はないと思います。

もう日本も終わりそうなのですから、
もう少しこの状況を、
僕と一緒に見守って頂ければと思います。
by fujiki (2011-03-23 08:10) 

fujiki

giscouer さんへ
コメントありがとうございます。
単純に気体で入るか個体で入るかの違いかな、
と考えていたのですが、
ご指摘されてみると、
線量は同じでも良いようにも思えます。
元の海外文献を読んでみないと、
分からないのかも知れません。
すいません。
即答が出来ません。
by fujiki (2011-03-23 08:13) 

fujiki

kawasemi さんへ
コメントありがとうございます。
本当にややこしいと思います。
by fujiki (2011-03-23 08:13) 

fujiki

T.D. さんへ
コメントありがとうございます。
いや、これは単純にトータルで25μSvの放射線量、
という意味だと思います。

たとえば、甲状腺シンチという検査があって、
100なら100という量の放射性ヨード(131もしくは123)を、
身体に入れて、
それが24時間でどの程度甲状腺に集まるかを測定するのですが、
その場合の被爆線量は、
あくまで100です。
それが時間と共に一定の割合で減衰し、
また一定量は身体の外に排泄されてゆくのです。

勿論たとえば数日間同じ放射線量が、
身体の中に存在することと、
一時的にγ線が身体を通り抜けることとは、
同じではない筈ですが、
この場合の被爆線量というのは、
あくまでその時入ったグロスの量、
という意味合いです。

Sv/h というような表示が、
話をややこしくするのですが、
これは測定器の測定法によるもので、
あくまで問題にしているのは、
量としての放射線だと思います。


by fujiki (2011-03-23 08:22) 

fujiki

ベクレル→…さんへ
コメントありがとうございます。
1つ前のレスと重複するのですが、
僕の理解ではある時に身体に入った放射線量、
という意味合いなので、
それはその量として考えるべきで、
時間と共に加算される性質のものではない、
という理解です。
SV/h という表示は測定器の単位に過ぎないもので、
問題はその時に体内に入った放射線の量そのものなのだと思います。
その量を推測するための数値として、
観測値があるのであって、
毎時これだけの放射能がある、
という意味に捉えるべきではないと思います。
by fujiki (2011-03-23 08:29) 

fujiki

まるさんへ
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2011-03-23 08:30) 

fujiki

T.D.さんへ
補足ですが、
これは要するに内部被爆と外部被爆の問題だと思います。
その影響は勿論違うのですが、
線量としてはトータルに捉えるべきで、
時間で加算するのは誤りだと思います。
つまり25μSvの内部被爆をした、
という意味で、
それをレントゲンのような外部被爆と、
直接比較は本来は出来ないのですが、
行政の発表でも、
便宜的にはそうした計算をしているのだと思います。
by fujiki (2011-03-23 08:37) 

かえる

はじめまして。
べクレルをシーベルトに換算出来ないものかと思い調べていてたどり着きました。
べクレルは1秒間に原子が壊れる数なので、1秒間の値ですが、書かれている換算後のシーベルトは、1秒間の値でしょうか?それとも1時間の値でしょうか?
総被爆量の計算は、上の方がコメントされていますので、わかります。
ご存知でしたらぜひ教えてください。

by かえる (2011-03-23 08:42) 

もんじろう

細かい点ですが「被爆」→「被曝」でござんす。
放射線に曝された(さらされた)訳で。

と、換算のお話し参考になりました。ありがとうござんす。
判らないのが「××町で何マイクロシーベルトを観測」(ほうれん草とかでなく)と事故発生以来ずっと流されてて判らなかったのですが(←ベクレルと違うということまでは判っていたという自慢)、これは吸入による内部被曝なのか外部被曝なのか、その辺もあっしには不明で探している途中でござんす。

また探し物を続けやすごきげんよう。

by もんじろう (2011-03-23 10:50) 

もんじろう

と思ったら越後の国のサイトにそれらしい情報がござんした。さすがは原発大国。
http://www.pref.niigata.lg.jp/houshasen/1223920896359.html
by もんじろう (2011-03-23 10:54) 

fujiki

かえるさんへ
コメントありがとうございます。
ベクレルは、
「1秒間に1個の放射線壊変のある能力」
ということですから、
1秒間の数値、ということではないと思います。
それだけの能力を持つ物質が身体に入ると、
それに相当するエネルギーが身体に与えられるので、
その総量がシーベルトということではないでしょうか。
つまり僕達が原子炉であれば、
ベクレルは食品で、
そのカロリーがシーベルトです。
つまりセシウム1931ベクレルを食べると、
25μシーベルトのエネルギーになる、
という意味ではないでしょうか。
細部は不正確かも知れませんが、
意味合いはそうしたことではないかと思います。
by fujiki (2011-03-23 17:37) 

fujiki

もんじろうさんへ
ご指摘ありがとうございます。
そうですね。
曝露のバクです。
すいません。
ちょっとすぐには全部直せませんが、
気付いた部分だけでも、
少しずつ修正しますね。
by fujiki (2011-03-23 17:39) 

giscour

当方質問にコメント頂き、誠にありがとうございました。
御礼まで。
by giscour (2011-03-23 19:41) 

通りすがり

初めまして。東京に姪(幼児)が住んでいるため、今回の水道水からヨウ素が検出されたという報道が気になり、専門の方にお聞きしたく書き込みをさせていただきました。

体内のヨウ素は、そのほとんどが甲状腺に存在すると乗っていました。東大の先生が引用している緊急時マニュアルには幼児の甲状腺に関する等価線量への換算係数は1.5x10^-3(mSv/Bq)となっています。

この数値を用いて今回浄水場で測定されました水201Bq/kgを1L摂取したと考えると、
  201(Bq)x1.5x10^-3(mSv/Bq)≒0.3(mSv)=300(μSv)
となり、100mSvまで一年未満で届く事になります。水は一年毎日とらなければならないため、体内半減期や放射能の半減期などは考えに含まなくても良いと思っています。
また、今までの報道からこの100mSvというのは『身体全体で』という意味だと考えています。

今回の測定値は、先日の風向きと雨のために一時的に上昇しているとも考えられますが、今の原発の状態からいたしますと、少なくとも1年はこの状態(たまに基準値を超える値をとる)が続く可能性が否定できません。そのため、正しい知識を身につけておきたいので、放射性ヨウ素を幼児が摂取したときの被爆線量についてと甲状腺のみの許容量をあわせて教えていただけると嬉しいです。

よろしくお願い致します。
by 通りすがり (2011-03-23 23:47) 

mino

はじめまして。 ベクレル(Bq)からシーベルト(Sy)への換算ですが、まず定義として
1 Bq は1秒間に1つの量子(ベータ線なら電子、アルファ線ならヘリウム原子核)が出てくる、ということです。Cs やI なら、量子の運動エネルギーが1 MeV程度ですので、1 Bq とは、1秒間に1×10^6[eV]×1.6×10^(-19) [J/eV] = 1.6×10^(-13) [J] のエネルギーが出るということです。 それを1kgの身体組織で受けると、1.6×10^(-13)Gy。 1時間あたりでは、3600をかけて、5.76×10^(-10) Gy/h。 1Gyは量子の種類によりますが、まあ1Sy と換算してよくて、そうすると、5.76×10^(-10) Sy/h = 5.76×10^(-4) μSy/h になると思います。 通常、人体は60kgとすると、(今までの計算は1kg当たりでしたので)60で割って、10^(-5)μSy/h。年間では、おおよそ0.1 μSv になると思います。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110324k0000m040080000c.html
では、1ベクレル=0.022マイクロシーベルト  (放射性ヨウ素)
となっていますが、1年間に0.022μSy ということだと思います。私の計算と、ほぼ一致しています。

貴殿の計算では、何Kg の組織で放射線を受けるか書いていないのですが、その辺どうなっているのでしょうか?
by mino (2011-03-24 00:00) 

fujiki

通りすがりさんへ
コメントありがとうございます。
ちょっと即答出来ません。
お時間を下さい。
by fujiki (2011-03-24 08:28) 

fujiki

mimo さんへ
コメントありがというございます。
詳細な計算ありがとうございます。
この元ネタはICRPの報告書ですが、
「標準人」というものが想定されていて、
その動態を元に算出されています。
計算は曝露後成人で50年の影響を時間積分したものです。
元の報告書の原文には当たっていないので、
体重の点は分かりません。
ただ、体型は欧米人を基準にしていると思われ、
日本人ではもう少し少なく見積もる必要があるかも知れません。
by fujiki (2011-03-24 08:32) 

fujiki

皆様へ
貴重なご指摘コメントありがとうございます。
本日(3月24日)の記事で、
ご指摘の点について、
僕の判断出来る範囲で補足しました。
そちらもお読み頂ければ幸いです。
by fujiki (2011-03-24 08:34) 

通りすがり

minoさん fujikiさん コメントありがとうございます。

今回使った換算係数は甲状腺における等価線量(mSv/Bq)となっていたので、体内に取り込んだ放射能の量(Bq)を用いて計算するとそのまま甲状腺の被爆線量に置き換わるものであると思っていました。
なのであと付けになりますが、幼児であるので20g以下であると思われます。
そこで今回、fujikiさんの示していただいた係数を用いて計算し、その2割が甲状腺へ送られると考えますと、
201(Bq)x2.2x10^-8(Sv/Bq)x0.2=0.88(μSv)
これはまだ体全体(一応60kgとさせてください)でという意味であるとfujikiさんの説明にありましたので。。。
0.88(μSv/60kg)
これが実際には20g(甲状腺の質量、最大値で計算しました)の甲状腺に蓄積すると考えると、
 0.88(μSv/kg)x60x10^3(kg) ÷20(g)=2.64(mSv)
となる。で合ってますか?ちょっと自信がなくなってきました。素人が手を出すと良くないですね(苦笑)
ちなみに、mimoさんの計算方法でそのまま当てはめた場合、途中を省きますが2.52(mSv/year)でした。また自分の出した数値の2割を甲状腺に貯まったものと考え、1年間取り続けた場合に変換したところ21.4(mSv/year)となりました。これは、幼児に当てはめた変換係数のため、桁が1つ違うのだと思います。

間違いがあれば指摘していただけると助かります。
繰り返しになりますが、ご教授ありがとうございました。
by 通りすがり (2011-03-24 21:21) 

mino

通りすがりさま、

私の方の計算についてのみレスさせていただきます。 先の計算どおり、1Bq=0.1 μSv/年 で良いとして、その2割が20gの甲状腺に行き、一年を通して1Bqのまま滞留するとすると、200 Bq では

0.1 μSv x 200 Bq x 60,000 g / 20 g x 0.2=12,000 μSv

になります。実際には、 放射性ヨウ素は8日ほどで放射能を失いますから、

12,000 x 8/365 = 263 μSv 

の被曝となると思います。これは、一回(200Bq)あたりの被曝量ですので、これを一日一回、365日摂取して 96 mSv/year ではないですか? 私の方は大雑把な計算なので、通りすがりさんの結果とオーダーが一緒なので、きっと正しいと思います。 

もし計算がおかしいようなら、ご指摘下さい。
by mino (2011-03-25 00:38) 

通りすがり

mimoさん

検算ありがとうございました。mimoさんの考え方でもう一度計算しなおしたところ、10.09(mSv/year)で放射性ヨウ素の体外への排出等を考えて計算いたしますと
 10.09(mSv)x 8/365x365=80.72 (mSv/year)
でした。
以前のコメント内にあるfujikiさんとminoさんの変換係数を比べれば、お二人の数値を使って計算した値が4-5倍になるはずなのに、それに気づかなかった自分の数字的感覚のなさに情けなさを覚えます。

くどくなってしまいますが、ご教授ありがとうございました。
by 通りすがり (2011-03-25 18:59) 

mino

通りすがりさま、

とんでもありません、こちらこそ勉強になりました!
近々、この4-5倍違う理由を調べたいと思います。
ICRPの係数の根拠を知りたいのですが、ネットでずい分
探して載っていません。図書館をあさってみます。
by mino (2011-03-26 00:29) 

fujiki

通りすがりさんへ
遅くなりまして申し訳ありません。

引用されていた数値は、
甲状腺への等価線量なので、
実際の甲状腺の被曝量の算定には、
それに甲状腺の組織加重係数を掛ける必要があります。
組織加重係数は0.05ですから、
最初に通りすがりさんが計算した、
およそ300μSvに0.05を掛けたものが、
実際に甲状腺の預託実効線量になります。

全身の実効線量係数は、
ヨードの場合は甲状腺の線量と、
同じであるというのが前提です。
他の影響は無視した計算なのです。
更には全ヨードの2割が甲状腺に移行すると仮定して、
予め0.2が掛けてあるので、
そのまま使用すれば、
それが甲状腺の被曝線量になるのです。

詳しくは、
今日(3月26日)の記事をご覧下さい。
by fujiki (2011-03-26 06:00) 

fujiki

mimo さんへ
僕の現時点で理解する範囲では、
放射性ヨードに限っては、
内部被曝の人体への影響は、
甲状腺に限って考慮されているようです。
つまり、1Bqの放射性ヨードを経口摂取すると、
そのうちの2割が甲状腺に集まると仮定し、
8割は比較的速やかに体外に排泄されるので、
その影響は無視する、
という荒っぽいモデルです。

その論拠は、
発表されている甲状腺の等価線量に関わる線量係数に、
甲状腺の組織加重係数である0.05を掛けると、
それがそのまま全身の預託実効線量に関わる線量係数に、
一致してしまうからです。

従って、
放射性ヨードの場合、
線量係数は2割の放射線が、
甲状腺に取り込まれた、
その影響のみを議論の対象にしています。
等価線量=吸収線量(甲状腺に限る)×放射線加重係数で、
実効線量=等価線量×甲状腺の組織加重係数
です。
これを時間積分したものが、
預託実効線量ということになります。
by fujiki (2011-03-26 06:08) 

mino

fujikiさま、

どうもありがとうございます。
1Bqの放射性ヨードは、実際には2割甲状腺に滞留するのみで、
しかも甲状腺は放射線耐性が高いので0.05をかける、ということで
よろしいでしょうか。 そうだとすると、1Bqのはずが、実際には
0.01Bqが組織加重係数が1の(通常の)組織に留まることに
相当しますね。 

ぜんぜん違う話で恐縮なんですが、先ほど家のものが、放射性ヨウ素
は浄水器で濾せないのかと聞いてきました。 活性炭などを使うと、少しは濾せるのではないかなどと、うろ覚えの知識を話そうとしたときに、ふと気がついたのですが、飲もうとする水にでん粉を溶かして錯体を作り、
濾しやすくするということは出来ないでしょうか? 本当は、ヨウ素と結びついて、沈殿させてしまえればもっといいのですが。
by mino (2011-03-26 23:07) 

fujiki

mimo さんへ
一応そうした理解で、
良いのではないかと、
現時点では思います。

フィルターで濾したり、
沈殿させることは可能だと思います。
ただ、そうなるとそのフィルターや、
沈殿物はより高濃度の放射線を含むことになり、
その処理が却って大きな問題になりそうな気がします。

僕はむしろ、
そのままの水を、
希釈する方が合理的ではないかと思います。
現時点では、
ずっと一定量の放射線が検出される訳ではなく、
日によってばらつきがあり、
あちらでドカンと来れば、
その後は増えるでしょうし、
雨が降ればその影響もあるでしょう。
リスクを分散するには、
数日分の水を溜めておいて、
それを順々に使用するのが、
合理的ではないか、
と言う気がします。
by fujiki (2011-03-27 09:35) 

fujiki

mimo さんへ
勿論日々の放射線濃度が、
しっかり報告されている、
という前提であれば、
それを見て、
量の多い日の水のみ、
捨てるようにすれば良いのです。
by fujiki (2011-03-27 09:38) 

mino

fujikiさん、

沈殿させて処理に困るものを作るよりは、きれいな水を多用して希釈。
なるほどと思いました。 有難うございました。

昨日、チェルノブイリの20年後という報告書(Europian Commitee of Radiation Risk) を見つけ、一生懸命に読んでいます。 
http://www.euradcom.org/index.html

the first edition is a free download
というところからDLできます。 ヤブロコフさんのグループです。言わずもがなですが。。
by mino (2011-03-28 01:09) 

ojamasimasu

初めてです。
rad,remの時代の人間です。ベクレルとシーベルトの関係を調べてて
ここを見ました。
書き込もうか否か、考えましたが勇気をふるって書き込ませていただきました。
>実際には、 放射性ヨウ素は8日ほどで放射能を失いますから、
 12,000 x 8/365 = 263 μSv
と書いてあるのを見ました。 
えーと、8日で半分、16日で4分の1、です。
福島県に関係あるものですから素通りできませんでした。
お邪魔してすみませんでした。




by ojamasimasu (2011-04-05 22:10) 

fujiki

ojamasimasu さんへ
コメントありがとうございます。
それはコメント欄の記載ですね。
僕が書いたものではないので、
コメントし辛いのですが、
言われる通りで、
当該の計算は正確ではありません。
ただ、コメント欄の流れをお読み頂ければ、
皆さんの理解が次第に深まっているのが、
お分かり頂けるのではないかと思います。
by fujiki (2011-04-06 09:00) 

はる

>>giscourさんの 何故、経口摂取と吸入の換算係数に差があるかと
の疑問に横から答えさせてもらいますね。

チェルノブイリの経過観察レポートで読んだのですが
セシウムは半減期が30年ですが、食事で摂取すると胃に入り腸で吸収されるけれど、100~200日後には他のものと一緒に体外に排出される部分が多い。
けれど、呼吸で入ると肺に入ってしまい(消化排出する器官じゃないので)そのままずっと溜まって、全て崩壊するまで放射線を出し続けてしまうのだそうです。
なので、体内に入った量が同じでも排出出来る時間に差があるので、食物からより呼吸からの方が長引く為厄介なんだそうです。
by はる (2011-04-09 08:20) 

fujiki

はるさんへ
ご指摘ありがとうございます。
この頃(3月22日)はかなり未熟な議論で、
今読むとお恥ずかしい点が多いのですが、
ご容赦下さい。
どの元素においても、
吸入後の形態と経口摂取後の形態では、
かなりの差異があるようですね。
by fujiki (2011-04-09 08:33) 

あっちん

教えてください。
うちの近くの土壌から6000ベクレルの放射能が検出され作物が出荷停止になりました。
専門家の話だと、土壌は6000ベクレルでも作物は10分1以下しか放射能を吸い上げないと言ってましたが、土壌の6000ベクレルの放射能物質は空中から降り積もったって事ですよね。
私たち住民は、作物を食べなくても10倍の放射能物質を吸い込んで生活してる事になりますよね。
それでも安全なのですか?
作物は6000ベクレルの10分1で出荷制限されて、
10倍の放射能物質を乳児からお年寄りまで毎日吸い込んでる私達は?

海外と日本の放射能に関する危険度の温度差は、なんでなんでしょ?
by あっちん (2011-04-14 10:47) 

fujiki

あっちんさんへ
コメントありがとうございます。
ご心配なことと思います。
言われるように、
現時点で土壌から検出される放射性物質は、
主に3月15日の前後で、
水素爆発により大量に飛散したものが、
大気中を漂い、
それから土壌に降下して沈着したものと思われます。
現時点で作物の内部に、
それほどの量の放射性物質が蓄積しているとは、
考え難く、
その意味ではそれを吸入する人間の内部被曝の方が、
より大きいと想定されます。
作物は出荷停止になっても、
人間は同じようには守られないのは、
行政の考えは基本的に、
作物という商品の安全性を、
人間の安全より上に置いているから、
と考えて良いかも知れません。

現状の降下量自体は、
それほど単独で大きなものではないことは事実です。

しかし、特に小さなお子さんは、
被曝しないに越したことはなく、
外出時のマスクの着用や、
雨を不用意に浴びないことなど、
被爆量を低減する防衛策を、
取ることは現時点でも必要なことではないかと思います。

すいません。
あまりお答えになっていないかも知れません。
一刻も早く、
皆さんのご不安が取り除かれる日が来ると良いのですが…
by fujiki (2011-04-14 20:14) 

ultimate

厳密には、「ベクレル」という言葉を使うときには「1kgあたり」などをつけないといけないと思います。
by ultimate (2011-04-15 02:29) 

fujiki

ultimate さんへ
コメントありがとうございます。
ご指摘のとおりだと思います。
概ね記事中でも1キロ当たり、などと、
書いてあると思うのですが、
洩れている記載があるかも知れません。

by fujiki (2011-04-15 06:09) 

mino

ojamashimasu さま、

私への質問なのですね^^; fujikiさんは不正確とおっしゃっていますが、実は(被曝総量としては)正確なのです。

おっしゃるとおり、放射性ヨウ素は8日ごとに半減していきます。最初1Bqあったものは、8日目には0.5Bq、16日目には0.25Bq。 そうやって裾野を引くのですが、大事なのは、初日から8日目に至るまでも、(一定値ではなくて)どんどんと減っていくことです。 そうすると、結局初日から無限に時間がたった被曝総量というのは、実は1Bqに8日をかけたものに等しくなります。 (厳密には、8日を0.693で割ったものに等しいので、10日ちょっとです。)
by mino (2011-04-15 20:18) 

fujiki

minoさんへ
補足ありがとうございます。
すいません。
大変失礼しました。
後で気が付いたのですが、
直さずにそのままにしてしまいました。
大変申し訳ありません。
色々な意見が錯綜して僕も頭が少し混乱していたようです。
半減期の意味というのは、
そうしたところにもあるのですね。
これからもご教授よろしくお願いします。
by fujiki (2011-04-15 20:43) 

mino

fujikiさま、

いえ、たくさんの方達への誠実な対応、僕などには真似できません。本業もお忙しいのに、いつもありがとうございます。 感謝しています。 疲れも溜まると思いますので、どうぞある程度流してでも、お身体を労わって下さるようお願いします。
by mino (2011-04-15 21:49) 

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