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小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチン接種見合わせを憤る [悪口]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝からレセプトのチェックをして、
朝のニュースを見て目が点になり、
全身の血が頭に上りました。

ここ数日来、
ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)の、
主に同時接種による接種後死亡事例の報告がありましたが、
それを受けて厚生労働省は、
昨日(3月4日)に、
両ワクチンの接種を当面見合わせることを決めた、
と言うのです。

要するにヒブワクチンとプレベナーを、
昨日以降は打ってはならない、
ということになったのです。

死亡事例の評価は色々あるでしょうし、
同時接種の是非についても、
(診療所ではヒブとプレベナーの同時接種はしていません)
色々な意見が存在するでしょう。
この点については、
もう少し資料を吟味してから、
また記事にしたいと思います。

今日僕が言いたいことは、
予防接種が急に見合わせになるという重要事項が、
実際に接種をする立場の医療機関に、
まだこの5日の朝の時点において、
何らの報告も指示も、
一遍のファクスすら、
寄せられてはいない、
というこの呆れた現状についてです。

昨日は幸い、
診療所で行なった予防接種は、
3種混合とサーバリックス(新規でない方)のみでした。

ただ、もし知らずに打っていたら、
今日報道を見たお母さんに、
一体どのように説明すれば良いのでしょうか?

それどころか、
この通達がおそらくは生きている、
今日の時点においても、
新聞などの報道を見たり、
厚生労働省のサイトに目を通さなければ、
実際に接種をする医療機関の医療者が、
この事実を知る方法は何1つないのです。

知らずに接種希望の方がお出でになれば、
そのまま打ってしまいます。

薬害については多くの意見がありますが、
あまり指摘はされない非常に重要なことは、
安全性に関する緊急性の高い情報が、
本当にそれを必要としている末端の医療機関に、
最初に届くのではなく、
まず報道があり、
それから製薬会社や地方の行政の機関に伝えられ、
その後にようやく現場に伝えられる、
というこの呆れたシステムにあるのです。

こんな馬鹿なことがあるでしょうか?

予防接種見合わせの指示が、
最初に伝えられるべき場所は何処でしょうか?

それは実際に接種を行なう医療機関であるべきです。

しかし、通達は金曜日に報道され発表され、
多くのお役人の皆さんは土日はお休みで、
月曜日にならないと連絡すらないのです。

末端の医者としては、
自分の身は自分で守り、
患者さんに不利益を与えないように、
情報を必死で得る努力をするしか、
方法はないのかも知れません。

最後に1つ追加すれば、
プレベナーは記事に寄せられたコメントを読んでも、
その資料を読んでも、
実際に接種を行なってみても、
矢張り明らかにヒブワクチンより副反応の頻度は高い、
と思います。
勿論有用性はありますが、
そのワクチン自体まだ完成形ではなく、
その接種には他のワクチンより、
少し慎重に検討するべきではないか、
と個人的には思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんは良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

補足(2011年3月5日午後1時)
こんな悪口を午前8時に書いていたら、
診療中の午前10時に保健所から電話があり、
プレベナーとヒブワクチンを使用しないで欲しい、
また何かワクチンの副反応があれば、
即時報告を…、とのことでした。
「月曜日まで放置」は訂正します。
保健所の方は休日出勤で、
朝から渋谷区内の全ての医療機関に、
電話を掛けまくっている訳で、
その労力には頭が下がります。
でも、いつもこんな原始的なことで、
特定の人間にだけ大きな負担が掛かるようなシステムで、
本当に良いのでしょうか?
それに半日以上前には報道されているのです。
何かが大きく間違っている気がしますし、
非常に疑問です。
以上、3月5日午後の補足でした。

保健所の担当の方ご苦労様です。
悪口を言ってすいません。
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コメント 10

Bob

石原先生のご見解に全く同感です。
MHLWは恐らく「念のため」というスタンスで、すなわち一刻も早くでなくてもいいや的に一旦中断を決定したと思います。
それで、各医機関への連絡は土日はさんでもいいとの感覚だと思います。
しかし、公に発表した限り、迅速な対応を取るのが義務だと思います。
MHLWの怠慢さを感じます。
by Bob (2011-03-05 10:51) 

fujiki

Bob さんへ
コメントありがとうございます。
記事にも補足しましたように、
保健所からは午前中に連絡が入りました。
ただ、それにしても遅いし、
順序が基本的に違うのでは、
と言う気がしてなりません。
by fujiki (2011-03-05 13:40) 

心配性

こんにちは。以前2/9に肺炎球菌のことでコメントした者です。今回のニュースは、やっぱりかというのと、もしうちの子だったらと思うとなんとも言えない恐怖感でいっぱいになりました。
明後日に2度目のヒブとプレベナー、一度目の三種混合の予定だったのですが、見合せの為、三種混合だけになりました(ニュースを知らなければプレベナーをキャンセルしてヒブと三種混合の予定をしてました)ヒブとプレベナーを接種して途中で中断した場合、一度でも接種したことにより長期的にみて何か副反応などあるのでしょうか?

ポリオに関しても色々言われていますよね。予防接種も難しいですね。厚生労働省もきちんとした対応をしてくれないと、親の立場からすると本当に困ります。

今回亡くなられた方は本当に残念です。はやく因果関係が解明されてほしいです。
by 心配性 (2011-03-05 19:30) 

fujiki

心配性さんへ
コメントありがとうございます。
1回接種したことの長期的な反応、
ということに関しては、
ご心配はされないで問題はないと思います。

ただ、こうした事例に関しては、
残念ながらこれまで因果関係が解明されたことは、
一度もないと思いますし、
新型インフルエンザ接種後死亡事例の検討会の資料などは、
全て読みましたが、
あそこに出席されている先生方に、
そんな思いは微塵もないと、
本当に残念ながら、
それは断言出来ると思います。
by fujiki (2011-03-05 22:22) 

小児科ナース

はじめまして。
診療所の小児科外来で看護師として働いています。
5日に出勤してからこのニュースを聞かされ、すでにヒブとプレベナーの接種を予約されている方々へ、一時接種が見合わされるという連絡を電話でしました。
ニュースをご存知の方もいれば、何のことかわからないという感じの方もいらっしゃいました。
今後は、すでに接種をしてしまったが大丈夫か?といった問い合わせの増加が予想されます。
サーバリックスの品薄の件など、予防接種のことでは、いつも診療所は振り回されてばかりです。
実際に接種された方や接種を希望していた方に、説明をしなければいけないのは医療機関の従業員です。
マスコミよりも早くに正しい情報を必要としているのにもかかわらず、後回しにされているような気がしてなりません。
とても疲れてしまった一日でした。

初めてコメントさせていただきましたが、愚痴ってしまいました。すみません。
by 小児科ナース (2011-03-06 01:22) 

yako

石原先生へ


昨年、子宮頸がん予防ワクチンで、部位が高すぎて、肩峰下滑液包に注入されてしまい、アジュバント関節炎になったとコメントを書かせていただきましたが、、、未だに、肩が半分くらいしか動かず、痛みも炎症も続き、大学病院にも通院中です。
こんなに長引いて悲しいです。
私の場合は、正しい接種ではなかったためにアジュバントの作用が『ある意味、毒』となり、炎症が治まっておりません。
石原先生が昨年12月に本ブログでご指摘の通り、筋肉注射にアジュバント含有の場合は、接種の位置、深さに十分に注意をして滑液包を絶対に避けていだきたいと、強く感じております。


今回の小児のプレベナーとヒブワクチンの死亡例のニュースを知り、胸が締め付けられる思いです。
私も子供を持つ母として、、、あってはならない事だと、、、、
言葉もありません。(心からご冥福をお祈りいたします)

現段階で、死因は不明のままのようですが、
厚労省が、ストップを一旦かけたということですから、、、おそらく、、?

ならば、現場の病院や乳幼児をお持ちの方々に土日をはさんでも周知徹底をはかるべきだと、、、同感です。
子宮頸がんワクチン後の副反応も含めて、緊急会議が8日に行われるようですが、今回の同時接種の問題や、アジュバントについても、この際ですから専門家の方々に十分に検討していただき、ワクチン接種が安全にそして有効に行われることを願っています。


将来の予防のつもりで良かれと思い行動して、それが原因で亡くなったり別の病気になったりと、、、、本当に遣りきれません。
今回の被害に遭われた方々ももちろんですが、安全と信じて接種なさったお医者さんも双方ともに、もとてもお辛い状況だと思います。

3種混合もプレベナーも、アジュバント含有です、、、
乳幼児ですから、同時接種の場合のアジュバント作用が気になりますが、原因を十分に分析して、ワクチン接種で同じような事が2度と起きないように、、、、、心からそう願っております。


by yako (2011-03-06 14:42) 

fujiki

小児科ナースさんへ
コメントありがとうございます。
そうですね。
面倒は全て現場に押し付けるシステムです。
まだまだ混乱は続きそうでうんざりですね。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2011-03-06 20:36) 

fujiki

yako さんへ
コメントありがとうございます。
痛みが良くなるようにお祈りしています。
僕は悲観的過ぎるかも知れませんが、
8日はただのセレモニーだと思います。
おそらく同時接種の制限を設けたり、
全例報告を義務付けたり、
その程度のことではないでしょうか。
by fujiki (2011-03-06 20:40) 

元ウイルス研究員

今更ながら、先生の記事を拝見しました。私は大学院でずっとウイルスの研究をし、その後某メーカーのワクチン部門で働いてきました。当時から専門家委員会に専門家の先生方の補助として出席させて頂いたりしておりましたが、厚労省の決定や突然の進路変更、裏取引に驚かされ、憤りも感じておりました。専門家委員会と謳いながら、参加者は専門家が一部だけで、あとは政治家や彼らの顔色を伺っている官僚ばかりです。予防接種事業は国民の不安を煽ることもできることから、往々にして政治に利用されます。国民の知らないところで一部の企業の利益や政治家の売名、保身のために国益が損ねられてきたことは嘆かわしい限りです。石原先生のご意見に大いに賛同するとともに、臨床現場の医師の皆様、国民に正しい知識や情報が開示され、有益な決定がなされることと予防医学の更なる発展を願ってやみません。
by 元ウイルス研究員 (2015-09-04 10:18) 

fujiki

元ウイルス研究員さんへ
コメントありがとうございます。
こうした記事は正直、
お叱りのコメントを頂くことの方が多いので、
そう言って頂くと嬉しいし励みになります。
これからもお読み頂ければ幸いです。
by fujiki (2015-09-05 20:49) 

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