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インフルエンザワクチンの動向 [仕事のこと]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
わざわざ書くこともないのですが、
昨日は夕方少し走りました。

今日は久しぶりにインフルエンザの話題です。

今月の1日から、
インフルエンザワクチンの接種が開始となりました。

ワクチンは基本的に1種類で、
その中に3種類のインフルエンザウイルスの、
HA抗原が含まれています。
これを3価のワクチンと言いますね。

昨年は新型インフルエンザワクチンと、
季節性インフルエンザワクチンの2種類がありました。

今年のインフルエンザワクチンは1種類で、
その中身は2種類の季節性の抗原と、
去年と同じ新型の抗原とが、
ミックスされたものになっています。

より詳しく言うと、
①A/カリフォルニア / 7 / 2009( H1N1 )株
②A/ビクトリア / 210 / 2009 (H3N2 )株
③B/ブリスベン / 60 / 2008株
のミックスです。

このうち①は昨年の新型インフルエンザワクチンと、
同一のもので、
②はA香港型で昨年の季節性に入っていたものとは違う、
昨年の流行株由来のもの、
③はB型インフルエンザの株で、
去年の季節性インフルエンザワクチンに、
含まれていたものと全く同じ抗原です。

つまり、俗にAソ連型と言われていた季節性の抗原が、
今回は含まれておらず、
これは新型に押されて今年は流行しないだろう、
という考えがあっての判断です。

WHOの推奨株、というものがあって、
それは日本のものと比して、
A香港型の株だけが異なっています。

従って、今年のワクチンは、
結構ヤマを張って作られているので、
もしその予想が外れると、
ワクチンの有効性はグッと落ちる、
という危険性を孕んでいます。

つまり、最近でもちらほらと、
Aソ連型が検出された、という定点報告がありますが、
そのタイプに関しては、
今年のワクチンの有効性は望めず、
むしろ昨年のワクチンの方が、
より有効性が高い、ということになります。

小児の接種用量は、
結局昨年と同じで変更はありませんでした。

これは何度か記事に書きましたように、
日本の小児の用量には、
海外と大きな開きがあり、
その根拠は極めて薄弱で、
本当は早期に解決すべき課題なのです。
だって、おかしいでしょ。
他のワクチンの接種量は、
基本的に全て海外と同じなのに、
インフルエンザワクチンのみが大きく違うのです。
今の用量では小中学生の有効率は、
海外に比べてグッと落ちるのです。
それでいて別に副反応には差はない可能性が高いので、
いつもの行政のグズグズぶりには、
本当にうんざりする思いがします。
おそらく来年には間違いなく、
接種用量は改定されます。

今年製造された国産ワクチンは、
基本的には全て国内4社のワクチンで、
昨年までと全く変わりはありません。
製造法は細胞培養ではなく、
鶏卵を用いたもので、
チメロサールなどの添加剤についても、
昨年と同様です。
製造量もほぼ昨年並です。

診療所でも同ワクチンの接種を開始しています。
現状デンカ生研のワクチンが入荷していますが、
卸の都合で4社のものがミックスで入るのが通常です。
北里のワクチンがややブランドイメージがあるのか、
入荷が少なくなりますが、
特に品質に差があるという根拠は、
明らかなものはないと思います。
ただ、今年のワクチンは昨年と同質のものではなく、
新型ワクチンとのミックスで、
高齢者の死亡事例の問題など、
解決されていない課題もあるので、
高齢者への接種に関しては、
例年より慎重に考えることを、
基本としています。

今日はインフルエンザワクチンの動向についての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 6

まみしゃん

昨年は新型のワクチンは受けませんでした。
今年は否応なしに受けると言うことになりますね・・・昨年私の接種した通常のワクチンは北里株でした。
大きな副作用は起きませんでしたが、前年までよりも接種部の腫れがひどかったです。
夫と息子は違う病院で受けたのですが、夫はまったく副作用がなかったのに息子は風邪症状が起きて軽い喘息の症状も出ました。
どこの株かわからないのですが、夫と息子の病院のほうが1000円くらい高かったので、息子は「高いのに副作用かよ!」と怒ってました。
こちらでも接種は始まっていますが、もう少し様子を見て12月初めくらいに接種しようかと思っています。
by まみしゃん (2010-10-04 10:02) 

fujiki

まみしゃんさんへ
コメントありがとうございます。
そうですね。
今年は副反応のご心配な方は、
少し様子を見てからの方が、
良いかも知れません。
by fujiki (2010-10-05 08:17) 

ma-bo

こんばんは。
先生のブログは時々まとめて拝読させていただいていました。

インフルエンザの予防接種について疑問があります。
10日も前の記事についてコメントしてしまい申し訳ありませんが、もしご覧になったらお返事いただけると幸いです。

昨年は先生の掲示板に相談させていただき、我が子に新型の接種はしませんでした。高齢者ではありませんが安全性に疑問があったからです。
ということは、今年のワクチンも昨年と同じ新型が使われているので、やはり昨年のようなことが懸念がされてもおかしくないということになりますか?

うちは下の子だけですが、季節性を毎年接種していました。
ですが、今年は新型が混ざっているということで、ちょっと悩んでいます。
今年のワクチンは、今までのの季節性ワクチンとは違うのでしょうか?

ちなみに昨年は、学校や幼稚園で学級閉鎖が続く中、我が子は感染しませんでした。


by ma-bo (2010-10-15 22:59) 

fujiki

ma-bo さんへ
コメントありがとうございます。
非常に難しいのですが、
現状は診療所で接種している範囲では、
季節性のワクチンと変わりはない印象です。
ただ、ご高齢の体力の落ちている方では、
従来より慎重な接種の方針としています。
10月1日からの開始ですから、
11月上旬の時点で、
大きな問題が報告されなければ、
問題はない可能性が高いのでは、
と考えてはいます。
by fujiki (2010-10-16 08:48) 

ma-bo

お忙しい中、早速のお返事ありがとうございます。
あともうひとつお聞きしたいのですが・・・

かかりつけの小児科は、この時期は接種人数を多くするため、接種前の質問などをあまり受け付けてくれないんです。
何かきくと、「お母さんが気になるならやめてください」と言われてしまうんです。
それってどうなの???と思うのですが、普段の診察はしっかりしてくれるので病院を変える訳にもいかず・・・

6歳の娘は、1ヶ月ほど前からせきがでていて(ちょっと痰がからんだ感じです)、朝起きると鼻が詰まっていて、鼻をかむと少し黄色かかった鼻水が出ます。
発熱はありませんし、多少せきをしても夜は寝れているようで、本人はいたって元気です。
肌も弱いし、アレルギー体質のようなので、季節柄仕方ないのかも知れません。
今年から学校に通いだしたせいか、昨年まではこんな症状はあまりありませんでした。

このような状態で、予防接種を受けるのはいかがなものでしょうか?
アレルギーが肌やせき・鼻水などに現れているときに、ワクチンという異物を体内に入れた場合、副反応がより強くでるということは考えられますか?










by ma-bo (2010-10-18 09:34) 

fujiki

ma-bo さんへ
軽度のアレルギー症状自体は、
以前に同タイプのワクチンで、
アレルギー反応の副反応がなければ、
特に気にされなくても良いと思います。
ウイルス感染と考えても、
回復期であれば問題は無いと思います。
むしろワクチン効果が減弱する、
と言う可能性は皆無ではありませんが、
副反応はそうした症状のないお子さんと比較して、
差はないと思います。
ただ、激しい咳や喘鳴があれば、
避けた方が無難です。
by fujiki (2010-10-18 22:37) 

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