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東野圭吾「手紙」 [ミステリー]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

診療所は今日も休診で、
昨日奈良に行き、
今戻って来たところです。

夕日観音と再会出来たので、
それは感動的だったのですが、
慣れない山道で足を痛めました。
駄目ですね。
今は階段を昇るのがかなり辛い状態です。

夕日観音の話は明日にします。

先月から東野圭吾くらいしか読書が出来ず、
「レイクサイド」、「名探偵の掟」、「手紙」、「片想い」、
「悪意」を読みました。

その中では今更ですが、
映画化もされた「手紙」が素晴らしくて、
これは今のところ「秘密」の次に好きです。

まあ、「秘密」と「白夜行」を足して2で割ったような話なのですが、
非常に月並みな、誰でも思い付きそうな話を、
極めて通俗的に描きながら、
それでいて予想しなかったような深みに、
読者を運んで行く腕の冴えは、
凡手ではありません。

この作品は「秘密」と同様に、
一種のダブルクライマックスになっています。

一旦クライマックスが訪れ、
非常に優れた「泣かせ」があって、
(僕はバスの中で泣いてしまいました)
ハッピーエンドになるのです。
それで終わりにしても、
全然問題はないと思えるのに、
更に物語は続き、
大袈裟ではなく魂の彷徨が続くのです。
その解決の仕方も、
読者の想像を超えるもので、
その後には敢えて割り切れないラストが待っています。

題名の「手紙」が極めて巧妙に使われていて、
読まれなかった手紙がラストの展開を誘導するなど、
テクニカルにも非常に冴えています。

東野圭吾は非常に屈折した人だと思いますが、
この作品のラストの数十ページは、
まさに天才の筆捌きだと僕は思います。

それでは今日はこれだけです。

疲れたのでもう寝ます。

おやすみなさい。

石原がお送りしました。
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