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ワーグナー「ニーベルングの指輪」 [オペラ]


こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は診療所は休みで、
1日家にいるつもりです。
本当は髪を切ろうと思っていたのですが、
いつも行く床屋が休みだったので、
またにすることにしました。

今日はちょっとオペラの話です。

上のチラシは、僕が最初に聴いた、
ワーグナーの「ニーベルングの指輪」です。
ベルリン国立歌劇場の来日公演ですね。
これは凄かったですよ。

この作品は数あるオペラの中でも、
特別な作品で、序夜「ラインの黄金」、
第一夜「ワルキューレ」、第二夜「ジークフリード」、
第三夜「神々の黄昏」の4作に分かれ、
のべ上演時間だけで15時間以上、
休憩を入れれば、通常20時間以上は上演に掛かります。

ただ長いというばかりではなく、
そのスケールの大きさと、
その後の藝術作品に与えた多方面の影響をもって、
これ以上の作品は後にも先にも存在せず、
おそらく今後も出現することはないと思います。

このうち「ワルキューレ」だけは、
単独でも良く上演されますが、
他の3作品はチクルスと呼ばれる連続上演の時のみ、
上演されるのが一般的です。

前にも書きましたが、
この長大な作品の肝は、
ラスト直前のジークフリードの死の瞬間にあって、
その時の身の毛のよだつような戦慄は、
決して他の舞台藝術では、
体験することの出来ないものです。

こういうのはね、一種の耐え忍ぶ藝術なんです。
能もそうですけど、
ポイントはそうないんですよ。
たとえば、2時間の能でその肝は、
2~3分くらい。
でも、それまでの緊張した長い時間を耐えることにより、
その瞬間が輝きを増すんです。

こうした藝術の対極にあるのが、
所謂「全編見せ場の連続」という奴ですね。
今大量生産されている娯楽と称するものの、
主体はこれですからね。

でも、僕は最近は時間もなくて、
苛々もしますけれど、
じっと耐える芸術が好きです。

ただ…

昨日の新国立の「神々の黄昏」は駄目でしたね。

せっかくの瞬間に演奏がふにゃふにゃで、
これじゃそれまでの長時間を耐え忍んだ意味がないですよ。

今回の上演は、
申し訳ないですが、
この作品を初見の人にはお勧めは出来ません。
この程度のものかと思われると、
切ないですからね。

僕はチクルスは3回観ているんですが、
死ぬまでにもう何度観れるでしょうか?
ただ、こうした藝術の寿命は、
ここ最近の世界情勢など見ると、
多分そう長くはないような気がします。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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コメント 2

MDISATOH

石原様

シュターツカペレベルリンの「ニーベルンクの指輪」は私も視聴きました。生は初めてで、素晴らしかったです!!実は私もワグネリアンでワーグナーの楽劇は、スケールの大きさとライトモチーフの音楽の素晴らしさで、とても好きなのですが、お金と時間がない為に中々聴きに行けません。
by MDISATOH (2010-03-23 09:30) 

fujiki

MDISATOH さんへ
コメントありがとうございます。

最近はワーグナーの上演も増えましたが、
なかなか満足のゆくものは少ないですね。
確かにあの時間の長さは、
ちょっと困ります。

4月の「パルシヴァル」は、
N響ですし、ちょっと期待は出来そうです。
by fujiki (2010-03-24 08:16) 

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