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ポール・アルテ「赤い霧」 [ミステリー]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は休みなので、
趣味の話題です。

ポール・アルテはフランスのミステリー作家で、
密室などの「不可能犯罪」を散りばめた、
トリッキーな作風を特徴としています。

ほぼ年代順に翻訳が進んでいて、
今年代順に読んでいて、
一番気に入ったのがこの「赤い霧」です。
これはね、久しぶりに読みたいものを読んだ、
という気分にさせてくれた作品でした。
2部構成になっていて、
前半は田舎町が舞台で、後半はロンドンが舞台。
(アルテはフランス人ですが、
作品の舞台は殆どイギリスなのです)
ただ、ミステリーとしての謎は、
前半で殆ど解かれてしまって、
後半はある現実の事件のアルテ流の再構成、
といった趣きです。

語り口が巧みで、
独特の切ない詩情があって、
ミステリーなんですけど、
一種の青春小説としても読めます。

ただ、メインのトリックはちょっとがっかりで、
あるマジックのタネを、そのまま使っているんですが、
それはちょっと安易だな、
という気がしました。

最近本を読んでもすぐ内容を忘れてしまうので、
これと決めた作家は、
年代順に最初から全部読むようにしているんです。
まとめ読みした方が、
印象が残るんですよね。
最初にそうやって読んだのが、
村上春樹で、
処女作から、当時出たばかりの「海辺のカフカ」まで、
短編やエッセイも含めて、
一気に読みました。
その後で、トルストイを、
処女作の「幼年時代」から、「復活」まで。
何故トルストイかと言うと、
村上春樹の短編の中で、
「アンナ・カレーニナ」を不眠症の女性が、
一気読みする場面があったからです。
トルストイは翻訳されていない作品や、
されていても入手出来ないものもあるので、
全部ではありませんが、
初期の「コサック」なども読んでいるので、
かなりの部分は網羅したと思っています。
その後、ミステリー畑の野沢尚と、
麻耶雄嵩と乾くるみ。
(この人たちはそれ程の量は書いていないので、
全部といっても大したことはありません)
それから、松本清張に手を掛けたのですが、
ご存知のように量が膨大なので、
一応処女作の「西郷札」から、
1965年の「Dの複合」まで、
70冊程度読んだところで、
ストップしています。

村上春樹の僕のベストは「羊をめぐる冒険」と、
「ノルウェイの森」とちょっとラストが弱いけど、
「国境の南、太陽の西」。
でも一番好きなのは、
「ダンス・ダンス・ダンス」の前半。
「ねじまき鳥クロニクル」は偉大な失敗作。

トルストイは全部良いです。
でも一作だけ読み返すなら、
「アンナ・カレーニナ」。

清張さんは、1965年までに限ると、
「点と線」と「わるいやつら」と「波の塔」と「砂漠の塩」。
一冊だけなら、
「黒い画集」。
本領の短編には優れたものが沢山あります。

今日はちょっと僕の好きな本の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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