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頭部MRI画像集 [仕事のこと]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に、
2箇所を廻ります。

それでは今日の話題です。

今日は診療所で経験した、
頭部のMRI 画像を幾つかご紹介します。

まずこちらから。

70代の高血圧男性の、
頭部のMRI 画像です。
これはT2 強調という条件です。
矢印の先に白い丸い部分がありますね。
梗塞でしょうか?
では、次をご覧下さい。

これは同じ画像の、
フレアという条件のものです。
矢印の先を見てください。
さっきの丸い部分が、
今度は中が少し黒い部分を持っていますね。
これは「ラクナ梗塞」の特徴です。
穿通枝という小さな血管が詰まった場所です。
通常麻痺のような症状はありません。
これは同様の画像を以前にもご紹介しましたね。
では次です。

これも70代の男性のものです。
矢印の先に白い丸い部分があります。
T2強調の条件です。
梗塞でしょうか?
では次を。

フレアの条件で、
同じ画像を見ています。
T2で白かった部分は、
今度は全て黒くなっています。
実はこれは梗塞ではありません。
血管周囲腔の拡大と言って、
脳の中を通る血管の周りの組織が、
萎縮することによって起こる、
所謂「加齢変化」なのです。
通常もっと小さく脳の両側に見られることが多いのですが、
このように片側に、
2センチくらいの大きさで見られることもあるのですね。
この場合、所謂「ラクナ梗塞」との鑑別が、
問題になります。

前にも書きましたが、
ラクナ梗塞と鑑別の難しいものは、
結構あって、実際には、
過剰診断も多いのが現実だと思います。

特に脳の萎縮が強いケースでは、
安易に「ラクナ梗塞」の判断で、
血を固め難くする薬を使うと、
結果として逆効果になり、
慢性硬膜下血腫や小さな脳出血を起こす事例は、
最近報告例も多くありますし、
僕自身も経験しています。
MRIの画像を元にした、
慎重な判断が必要な所以です。

それでは最後の画像です。

これはMRAと言って、
通常のMRIの画像を元に、
脳の中に入る血管を、
再構成したものです。
脳の画像を消して、
血管だけを残しているんですね。
矢印の先がいびつに細くなっているのが、
分かりますか?
これは左の内頚動脈の狭窄です。
こうした画像を簡単に作れるのが、
MRIの特徴の1つですね。

今日は頭のMRIの画像の幾つかを、
見て頂きました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 4

りーちゃん

はじめまして。私は看護学生の一年生です。今実習に入って精神科実習中です。患者の事で調べてたらこちらにたどり着き勉強させて頂いてます。
by りーちゃん (2009-01-21 23:55) 

fujiki

りーちゃん さんへ
はじめまして。
読んで頂きありがとうございます。
勉強大変だと思いますが、
頑張って下さいね。
やりがいのある大事な仕事だと、
僕は思います。
by fujiki (2009-01-22 08:27) 

まー

はじめまして
いつも興味深く拝見させていただいています。
父が肺癌、脳転移、脳の転移腫瘍の再発を三度、そして経過観察、その度ごとにMRIにはお世話になっています。今年を乗り切れば脳転移後の10年生存率に貢献できます。
実は母も脳梗塞でMRIを撮ったら動脈瘤と髄膜腫が発見されて経過観察とこれからもMRIにはお世話になりまくりそうです。
by まー (2009-01-22 16:37) 

fujiki

まー さんへ
いつもお読み頂きありがとうございます。
お父様のご経過が良いことをお祈りしています。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2009-01-22 18:51) 

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