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睡眠障害のあれこれ [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは、今日の話題です。

これから、何度かに分けて、
睡眠の話をしたいと思います。

その是非はともかくとして、
睡眠の障害は現代では極めて一般的な症状です。
診療所でも、
毎日何人かは、
不眠の訴えでおいでになる方がいます。

睡眠の障害は、
大きく3つに分けるのが一般的です。
不眠と過眠と、それから睡眠時随伴症の3つです。

不眠は言うまでもなく、
充分な睡眠が取れないことですが、
過眠は強い眠気のために、
昼間起きていることが困難になる状態のことで、
「ナルコレプシー」という病気が、
その代表です。

睡眠時随伴症というのは、
やや馴染みのない言葉ですが、
夜眠った状態で暴れたりする、
夢遊病のような症状や、
夜中に呼吸困難のような発作を起こすなど、
不眠以外の、
睡眠に伴って起こる異常な状態のことを指しています。

最近睡眠のメカニズムの解明に伴って、
睡眠障害の分類が整理され、
何と80種類近くの病名に分類がされています。
中には、こんなものまで分けなくても、
と疑問に感じるものもありますが、
いずれにしても、
単純に「眠れない」と言っても、
その背後には様々な要因が、
それも複雑に絡み合っていることは事実です。

今日はまず「不眠症」のことから、
話を進めます。

ある統計では、
日本人の25パーセントは不眠に苦しんだことがあり、
高齢者ではその比率が更に増えて、
40パーセントに達する、
と報告されています。
また、睡眠剤を飲んだことのある人は、
全人口の20人に1人とも言われています。
これは日本だけではなく、
先進国共通の傾向です。

不眠が増えている原因は、
極めてシンプルです。
生物の身体に刻印されている睡眠のリズムに、
明らかに反する生活を、
現代人がしているためですね。
特に子供の時期から、
夜更かしをしたり、昼に寝たりと、
リズムを崩した生活を続けていると、
睡眠を司る脳の機能は脆弱となり、
安定した睡眠の取り難い状態になりがちです。

睡眠が不安定な人が、
深夜のコンビ二のバイトとか、
夜勤と昼勤とが入れ替わるような仕事に就くのは、
本来はあってはならないことなのですが、
現実にはそうした仕事を続けざるを得ず、
不眠が悪化する、
という悪循環になりがちです。

睡眠障害のこれだけ多い現状を考えると、
仕事の配分の面で、
もう少し配慮がなされるべきだと思うのですが、
現実はそうしたことは、
全くなされていないのが、
実情だと思います。

良い睡眠のタイミングは、
特殊な睡眠の異常のある方を除いては、
「眠くなった時」、だと言われます。

いつも10時に眠っている習慣の人が、
「明日は朝が早いから、早く寝よう」、
と思って、
いつもより2時間早い8時に布団に入るとします。
そうすると、意外に眠ることが出来ず、
悶々として、気が付いて時計を見ると、
いつもの10時より結局遅くなっている、
ということがあります。

睡眠の理論によると、
これは当たり前のことで、
普段眠る時間より少し前の2時間くらいの時間は、
実は一番眠りに入り難い時間帯なんですね。
従って、その時間に寝ようとすると、
眠り難いので「寝なければ」と、
あせる気持ちが生まれ、
その気持ちが覚醒系の神経を興奮させるので、
却って眠りに入り難くなり、
結果的には普段より睡眠が遅れるのだ、
と説明されています。

従って、眠る時間を固定するよりは、
起きる時間を固定する方が、
不眠は解消され易いというのが、
一般的な考え方です。

そのメカニズムは必ずしもクリアではありませんが、
朝太陽の光を浴びることが、
睡眠と覚醒のリズムを作るのに必須であることは、
これは立証された事実です。

従って、同じ時間に起きて、
太陽を浴びる、という習慣を付けることが、
不眠の解消のために最も重要なことの1つです。
しかし、繰り返しになりますが、
現代の生活の中で、
それが非常に困難な状況は多いのですね。
これが、現代に不眠の多い、
おそらく根本的な要因の1つです。

長くなりましたので、
今日はこのくらいで。

明日は睡眠のメカニズムの話に進みます。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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