高齢者には使ってはいけない薬 [医療のトピック]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
国立保健医療科学院という、
とても日本の研究機関らしからぬ名前の団体があって、
その団体の業績の1つとして、
今年の4月に、
「高齢者には使ってはいけない薬」、
のリストが発表されました。
先週放送された「クローズアップ現代」の、
高齢者の薬の副作用の放送も、
そのリストの発表が1つのきっかけとなっていて、
番組中でそのリストを元にした、
一般の医師向けの研修会が、
各地で行なわれていることも、
紹介されていました。
新聞にもこのリストのことは載りましたので、
何処かでご覧になった方もいらっしゃると思います。
このリストはね、
アメリカにある同様のリストを元に、
日本でアレンジしたもので、
内容はそれほど変わってはおらず、
あまり裏付けの記載もない、
ただの表のようなものなんです。
あまり力の入ったものとは思えません。
外国のデータを、日本の薬剤に合わせて、
ひょいひょいと直しただけなんですから。
今回、もっとしっかりした論文のようなものが、
何処かにあるのでは、と思って探したのですが、
結局ないんですよね。
教科書の記述を下手糞に繋ぎ合わせたような、
何と言うか、安直な内容のものです。
それでいて、結構な数の偉い先生が名前を連ねていて、
多分研修会の費用も含めて、
相当な額の税金が、
そこに投資されているのだ、
と思われます。
何か胡散臭いですよね。
多分、税金を使うだけのために、
ひねり出された企画なのではないかと、
僕には思えてなりません。
それはともかく、
高齢者への薬剤の使用には、
注意してし過ぎることはない、
というのは事実です。
その意味では、今回丹念に読んでみて、
勉強にはなりましたし、発見もありました。
ただ、勿論異論もあります。
この場合の高齢者というのは、
おおむね65歳以上というニュアンスです。
まあ、元々海外のパクリのリストなんですから、
ケチを付けることもないんですが、
僕にはちょっと納得のいかない薬も入っています。
まずね、使ってはいけない薬として、
チラヂン末、というのが書いてあるんですが、
これはね、乾燥した甲状腺の抽出物のことなんです。
通常はチラヂンS、という薬がありましてね、
これは合成された甲状腺ホルモンで、
安全な薬なんです。
勿論高齢者にも使います。
甲状腺の機能低下は、高齢者に多いんですから。
チラヂン末は、
何らかの理由でチラヂンSが使い難い時に、
甲状腺の専門家が使う、
ちょっと特殊な薬なんです。
それをわざわざ表に載せるのが、おかしいでしょ。
新聞にもこの表は載ったんですが、
見た人でチラヂンSを飲んでいる人は、
自分の飲んでいる薬が悪い薬なのじゃないかと、
びっくりするじゃないですか。
滅多に使わない特殊な薬なんて、
載せなくてもいいでしょ。
これだけで、この表の好い加減さが、
僕には臭って来ます。
何度かこのブログでも取り上げた、
ドグマチール(スルピリド)も使っちゃ駄目だ、
というんです。
その理由はパーキンソンを起こし易いことと、
プロラクチンが上がること、
と書いてあります。
でもね、プロラクチンが高齢者で上がっても、
そんなに問題じゃないでしょ。
問題はパーキンソンだけなんです。
副作用に気を付けながら、
少量で使えば、
認知症の周辺症状には、
結構有効なんですよ。
これなど、あまり薬のことを良く知らないんじゃないかと、
僕には思えてなりません。
この薬はアメリカでは殆ど使われていないので、
多分こうした記載になっているんですね。
医者という人種は真面目にクソが付くような所があるので、
こうしたリストが出ると、
その通りに従順に従う人が多いんですよね。
でも、僕はあまり信用しないんです。
真剣に、血の汗を流して作ったリストのようには、
到底思えないので。
以前も同じようなことを何度か書きましたけど、
副作用があって、その原因が分かっていて、
コントロールの可能な薬こそが、
いい薬なんですよ。
副作用がないよ、なんて薬に効果もありません。
毒を薬に変えることこそが、
医者の力量であり技術だと思うんですが、
如何でしょうか。
最後に昨日の補足をちょっとします。
この「高齢者には駄目リスト」にも、
ビタミンDは入っていないんですよ。
それだけ安全な薬なのに、
何故その稀なケースだけを、
番組に出したんでしょうか。
何か理由はあるんでしょうが、
奇怪ですね。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
国立保健医療科学院という、
とても日本の研究機関らしからぬ名前の団体があって、
その団体の業績の1つとして、
今年の4月に、
「高齢者には使ってはいけない薬」、
のリストが発表されました。
先週放送された「クローズアップ現代」の、
高齢者の薬の副作用の放送も、
そのリストの発表が1つのきっかけとなっていて、
番組中でそのリストを元にした、
一般の医師向けの研修会が、
各地で行なわれていることも、
紹介されていました。
新聞にもこのリストのことは載りましたので、
何処かでご覧になった方もいらっしゃると思います。
このリストはね、
アメリカにある同様のリストを元に、
日本でアレンジしたもので、
内容はそれほど変わってはおらず、
あまり裏付けの記載もない、
ただの表のようなものなんです。
あまり力の入ったものとは思えません。
外国のデータを、日本の薬剤に合わせて、
ひょいひょいと直しただけなんですから。
今回、もっとしっかりした論文のようなものが、
何処かにあるのでは、と思って探したのですが、
結局ないんですよね。
教科書の記述を下手糞に繋ぎ合わせたような、
何と言うか、安直な内容のものです。
それでいて、結構な数の偉い先生が名前を連ねていて、
多分研修会の費用も含めて、
相当な額の税金が、
そこに投資されているのだ、
と思われます。
何か胡散臭いですよね。
多分、税金を使うだけのために、
ひねり出された企画なのではないかと、
僕には思えてなりません。
それはともかく、
高齢者への薬剤の使用には、
注意してし過ぎることはない、
というのは事実です。
その意味では、今回丹念に読んでみて、
勉強にはなりましたし、発見もありました。
ただ、勿論異論もあります。
この場合の高齢者というのは、
おおむね65歳以上というニュアンスです。
まあ、元々海外のパクリのリストなんですから、
ケチを付けることもないんですが、
僕にはちょっと納得のいかない薬も入っています。
まずね、使ってはいけない薬として、
チラヂン末、というのが書いてあるんですが、
これはね、乾燥した甲状腺の抽出物のことなんです。
通常はチラヂンS、という薬がありましてね、
これは合成された甲状腺ホルモンで、
安全な薬なんです。
勿論高齢者にも使います。
甲状腺の機能低下は、高齢者に多いんですから。
チラヂン末は、
何らかの理由でチラヂンSが使い難い時に、
甲状腺の専門家が使う、
ちょっと特殊な薬なんです。
それをわざわざ表に載せるのが、おかしいでしょ。
新聞にもこの表は載ったんですが、
見た人でチラヂンSを飲んでいる人は、
自分の飲んでいる薬が悪い薬なのじゃないかと、
びっくりするじゃないですか。
滅多に使わない特殊な薬なんて、
載せなくてもいいでしょ。
これだけで、この表の好い加減さが、
僕には臭って来ます。
何度かこのブログでも取り上げた、
ドグマチール(スルピリド)も使っちゃ駄目だ、
というんです。
その理由はパーキンソンを起こし易いことと、
プロラクチンが上がること、
と書いてあります。
でもね、プロラクチンが高齢者で上がっても、
そんなに問題じゃないでしょ。
問題はパーキンソンだけなんです。
副作用に気を付けながら、
少量で使えば、
認知症の周辺症状には、
結構有効なんですよ。
これなど、あまり薬のことを良く知らないんじゃないかと、
僕には思えてなりません。
この薬はアメリカでは殆ど使われていないので、
多分こうした記載になっているんですね。
医者という人種は真面目にクソが付くような所があるので、
こうしたリストが出ると、
その通りに従順に従う人が多いんですよね。
でも、僕はあまり信用しないんです。
真剣に、血の汗を流して作ったリストのようには、
到底思えないので。
以前も同じようなことを何度か書きましたけど、
副作用があって、その原因が分かっていて、
コントロールの可能な薬こそが、
いい薬なんですよ。
副作用がないよ、なんて薬に効果もありません。
毒を薬に変えることこそが、
医者の力量であり技術だと思うんですが、
如何でしょうか。
最後に昨日の補足をちょっとします。
この「高齢者には駄目リスト」にも、
ビタミンDは入っていないんですよ。
それだけ安全な薬なのに、
何故その稀なケースだけを、
番組に出したんでしょうか。
何か理由はあるんでしょうが、
奇怪ですね。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2008-10-07 08:41
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