「幽霊の3分の2」 [ミステリー]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は休みで、
基本的には1日家にいるつもりです。
「33分探偵」というドラマをやっているでしょ。
堂本剛がミステリーマニアの私立探偵、
という趣向のコメディなんですが、
毎回小ネタで、古典のミステリーの話が出てくるんです。
何回か前に、アメリカの女流作家へレン・マクロイの書いた、
「幽霊の3分の2」の話が出て来たので、
驚きました。
何故かと言うと、
この作品はね、今最も入手の難しい、
絶版本の1つなんです。
1950年代に文庫本で翻訳が出たんですが、
その後再販はされず、
現在に至っています。
ネットオークションにたまに出ますが、
5万円以下で入手するのは難しいですね。
まあ、ただの文庫本なんですから、
古書マニア以外の方には、
馬鹿みたいな値段ですよね。
僕は勿論持っていません。
ドラマではその作品のトリックについて、
不意に堂本剛が話し出すんです。
見ていて思わず耳を塞ぎました。
一生読めないかも知れない作品ですけど、
でも反則ですよね。
ドラマ自体はあまり上出来ではないですね。
「詰らない事件を放送時間分もたせる」、
という発想自体が、
ちょっと安易だったという気がします。
以前の「時効警察」は、
同じような一発アイデアではありましたけど、
「時効になった事件を趣味で捜査する」、という、
プロットが斬新でしたね。
昔だったら、成立しなかった企画だと思うんです。
殺人を犯した犯人が分かっても、
罰を受けないんですから。
でも、それが今の時代に合っているんですよね。
いいドラマというのは、非現実的に見えても、
きれいに現代を切り取っていますね。
ただ、内容はミステリー心があまりなくて、
その点はちょっとがっかりでした。
中学の時は結構暗くて、
家に帰ってミステリーを読むことだけが、
楽しみだったことがありました。
朝、帰ってから続きを読むことだけを思い描いて、
いやいや学校へ行くんですね。
でも、今思うと、そんなに暗くもなかったんですよね。
いじめもありましたけど、
今と比べるとほのぼのした感じでした。
今仕事に行く方が、
辛いと言えば辛いですかね。
将来が制限されて、
道は段々と狭まって行くでしょう。
「将来の何かのために生きる」、
ということが、次第に出来難くなって行くんですね。
「明日のためでなく、今日のために生きろ」、
みたいなことを言う人がいますね。
「今日何か自分にとって大切なことを1つしなさい。
美しいと思うものを、1つ見なさい。
他人のためになることを、1つしなさい」、
みたいな。
僕もそんな意味のことを、
患者さんに話すこともあります。
まあ、1つの真実ではあるんでしょう。
でもねえ、それだけじゃ人間は生きていけないですね。
多分…
「イキガミ」という漫画は、
そんな意味合いの話ですね。
設定は目茶苦茶なんですが、
ともかく、かっきり24時間後にあなたは死にます、
という通知が届く訳です。
それも突然に。
24時間後に死ぬなら何をするか、
という推論のドラマですね。
結構好き嫌いが分かれるようで、
僕は嫌いですね。
「死のタイムリミットを設定して、生きることの意味を問う」、
という意味合いだと思うんですが、
その発想はね、
「明日自殺するわ」、
と友達にわざわざメールする女の子と一緒ですよ。
生を意図的に短縮したって、
その意味合いは変わらないんです。
そこに価値を見出そうとするのは、
危険なことだと僕は思います。
100パーセントの死というのは、
フィクショナルにしか成立しないんです。
90パーセントの死と10パーセントの生、
その方が余程怖いですよ。
昔赤紙を受け取った人も、
今末期癌と戦っている人も、
そうした世界を生きている訳です。
そこには多分、生の本質に繋がる何かがある筈です。
でも、自殺や自爆テロや特攻には、
それはありませんね。
どれも人間の傲慢な意志が生み出したものです。
それを混同したら、まずいのではないか、
というのが僕の考えなんです。
後半は何かちょっと内省的な話になりました。
すいません。
何となく、そんな気分なので。
それでは今日はこのくらいで。
明日はまた医療の話をします。
皆さんは良い休日をお過ごし下さいね。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は休みで、
基本的には1日家にいるつもりです。
「33分探偵」というドラマをやっているでしょ。
堂本剛がミステリーマニアの私立探偵、
という趣向のコメディなんですが、
毎回小ネタで、古典のミステリーの話が出てくるんです。
何回か前に、アメリカの女流作家へレン・マクロイの書いた、
「幽霊の3分の2」の話が出て来たので、
驚きました。
何故かと言うと、
この作品はね、今最も入手の難しい、
絶版本の1つなんです。
1950年代に文庫本で翻訳が出たんですが、
その後再販はされず、
現在に至っています。
ネットオークションにたまに出ますが、
5万円以下で入手するのは難しいですね。
まあ、ただの文庫本なんですから、
古書マニア以外の方には、
馬鹿みたいな値段ですよね。
僕は勿論持っていません。
ドラマではその作品のトリックについて、
不意に堂本剛が話し出すんです。
見ていて思わず耳を塞ぎました。
一生読めないかも知れない作品ですけど、
でも反則ですよね。
ドラマ自体はあまり上出来ではないですね。
「詰らない事件を放送時間分もたせる」、
という発想自体が、
ちょっと安易だったという気がします。
以前の「時効警察」は、
同じような一発アイデアではありましたけど、
「時効になった事件を趣味で捜査する」、という、
プロットが斬新でしたね。
昔だったら、成立しなかった企画だと思うんです。
殺人を犯した犯人が分かっても、
罰を受けないんですから。
でも、それが今の時代に合っているんですよね。
いいドラマというのは、非現実的に見えても、
きれいに現代を切り取っていますね。
ただ、内容はミステリー心があまりなくて、
その点はちょっとがっかりでした。
中学の時は結構暗くて、
家に帰ってミステリーを読むことだけが、
楽しみだったことがありました。
朝、帰ってから続きを読むことだけを思い描いて、
いやいや学校へ行くんですね。
でも、今思うと、そんなに暗くもなかったんですよね。
いじめもありましたけど、
今と比べるとほのぼのした感じでした。
今仕事に行く方が、
辛いと言えば辛いですかね。
将来が制限されて、
道は段々と狭まって行くでしょう。
「将来の何かのために生きる」、
ということが、次第に出来難くなって行くんですね。
「明日のためでなく、今日のために生きろ」、
みたいなことを言う人がいますね。
「今日何か自分にとって大切なことを1つしなさい。
美しいと思うものを、1つ見なさい。
他人のためになることを、1つしなさい」、
みたいな。
僕もそんな意味のことを、
患者さんに話すこともあります。
まあ、1つの真実ではあるんでしょう。
でもねえ、それだけじゃ人間は生きていけないですね。
多分…
「イキガミ」という漫画は、
そんな意味合いの話ですね。
設定は目茶苦茶なんですが、
ともかく、かっきり24時間後にあなたは死にます、
という通知が届く訳です。
それも突然に。
24時間後に死ぬなら何をするか、
という推論のドラマですね。
結構好き嫌いが分かれるようで、
僕は嫌いですね。
「死のタイムリミットを設定して、生きることの意味を問う」、
という意味合いだと思うんですが、
その発想はね、
「明日自殺するわ」、
と友達にわざわざメールする女の子と一緒ですよ。
生を意図的に短縮したって、
その意味合いは変わらないんです。
そこに価値を見出そうとするのは、
危険なことだと僕は思います。
100パーセントの死というのは、
フィクショナルにしか成立しないんです。
90パーセントの死と10パーセントの生、
その方が余程怖いですよ。
昔赤紙を受け取った人も、
今末期癌と戦っている人も、
そうした世界を生きている訳です。
そこには多分、生の本質に繋がる何かがある筈です。
でも、自殺や自爆テロや特攻には、
それはありませんね。
どれも人間の傲慢な意志が生み出したものです。
それを混同したら、まずいのではないか、
というのが僕の考えなんです。
後半は何かちょっと内省的な話になりました。
すいません。
何となく、そんな気分なので。
それでは今日はこのくらいで。
明日はまた医療の話をします。
皆さんは良い休日をお過ごし下さいね。
石原がお送りしました。
2008-09-15 09:10
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