SSブログ

自律訓練法のこと [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテのチェックをして、
それから今PCに向かっています。

さて、今日の話題です。

「自律訓練法」の話をします。

ストレスが身体に症状を起こしたような状態に対して、
自律神経のバランスを取る目的で行なわれる、
比較的ポピュラーな治療法が、
「自律訓練法」です。

診療所でも、簡単なマニュアルをお渡ししての、
指導を行なっています。

「自律訓練法」は、
ベルリン大学のシュルツ教授により、
1930年代に提唱され、
教授自身が改良を加えて、
1960年代にほぼ完成されました。

現在日本で行なわれている方法は、
ほぼシュルツ教授のオリジナルに近いものです。
英米はドイツ医学が嫌いなので、
別の手法を用いていることが多いようです。
ただ、提唱以来70年以上、
ほぼそのままの形で使われているのは、
それだけ完成度の高い技法である、
ということは言えるかと思います。

「自律訓練法」とは何かと、
ひと言で言うなら、自己催眠のことです。

催眠療法と言うのは、
医学の世界でも昔からあって、
18世紀に流行したこともあり、
また20世紀初めには、
フロイトが使用したことも有名です。

しかし、そうした催眠療法というのは、
術者が患者さんに掛けるものです。
それに対して、
患者さんが自分で自分に催眠を掛け、
暗示を与える点が、
単純なことでありながら、
画期的なことなのです。

昨日お話した絶食療法と同じように、
催眠療法というのも、
一種の洗脳技法です。
暗示に掛かり易い意識の状態を作っておいて、
都合の良いメッセージを、
押し付ける訳です。
たとえそれが、本人のためになるものであっても、
洗脳であることに変わりはありません。

そして、人間というのは、
往々にして他人を頼り、
他人に洗脳させることを、
望む生き物なのですね。

医療者にとっても、
洗脳することは、
一種の権力を行使することなのですから、
それが心地良くない訳がありません。

「自律訓練法」には、
それがないのです。
主体はあくまで自分です。
自分の言葉で、
自分に暗示を掛けるのです。
暗示の言葉も、
「気持ちが落ち着いている」、とか、
「心臓が静かに打っている」、といった、
シンプルなものばかりです。
治療者は、その暗示には介入はせず、
あくまで技法のサポートをするだけです。

ですから、断食療法は日本でしか行われないのに、
「自律訓練法」は世界中で行われているのです。
催眠療法から、洗脳的な要素と宗教的な要素を、
慎重にかつ科学的に排除して出来上がった結晶体のようなものが、
この技法の本質なのです。

非常に完成された機能美を持った、
一種の芸術品だと、
僕は思います。

自分で自分を洗脳するなど、
そんなことがうまくいくのか、
と思われる方もいるかも知れません。

でも、これが意外にうまくいくんですね。

ただ、時間は掛かります。
他人に洗脳してもらう方が、
本人にとってはずっと楽なものなのですから。
他人を信じることより、
自分を信じることの方が、
遥かに難しいのが、
人間という生き物なのですね。

もし、マニュアルだけもらって、
まだ試みていない方がいたら、
是非やってみて下さい。
分からないことがあったら、
僕でよろしければ、
いつでもお答えします。

続ける値打ちは確実にあります。
そして、一旦身に着けてしまえば、
あなたの心の宝物になるのです。

今日は自律訓練法の、
ちょっと宣伝めいた話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

まれすけ

昔、中学生の頃、雑誌の通販の広告で催眠術のカセットテープなる物を購入しました。

自分としては、テレビの催眠術ショーの様な物を期待していたのですが、内容は自律訓練法でした。

カセットテープの誘導で『手足が重くなります……手足が暖かくなってきました』の様に順番に暗示をかけていく物で、慣れたら自分でやってみようみたいな感じです。

覚えて暫くやっていたのですが、飽きてしまい、もう30年くらいやっていませんでしたが、この記事で自律訓練法という物だと初めてしり、数日前から実行しています。

心の宝物になるかな。
by まれすけ (2013-01-17 14:13) 

fujiki

まれすけさんへ
コメントありがとうございます。
1回毎は短時間で、
寝る前などに気長に続けてみるのが、
良いように思います。
by fujiki (2013-01-17 22:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0