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抗癌剤としてのビタミンCについて [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

健診の整理が溜まってしまっていて、
ようやく目鼻が付き、
今PCに向かっています。

さて、今日の話題です。

昨日に引き続いて、
ビタミンCの話です。

ビタミンCを多く取ると、
胃癌になり難いとの報告は、
かなり以前からあり、
傷んだ胃の粘膜から発癌物質が出来るのを、
還元剤としてのビタミンCが、
妨害するため、
と考えられています。

胃癌は、
粘膜が萎縮する萎縮性胃炎から発生し易い、
と言われていて、
萎縮性胃炎になると、
胃液の中のビタミンCも減少します。
胃液の中には、
血液の濃度の6倍のビタミンCが含まれているんですね。

ただ、この場合の必要量は、
1日500mg もあれば充分と思われます。
サプリメントを大量に飲むのは、
ナンセンスなのです。

その一方で、ビタミンCを大量に注射する方法が、
癌の抑制効果があるとして、
最近注目を集めています。

この癌へのビタミンC大量療法、というのは、
かなり以前から行なわれていて、
良く効く、という説と、
非科学的だ、という説があって、
専門家の意見も割れていたのです。

どれくらい大量かと言うと、
何と1回の注射で30グラムから70グラムを打つ、
と言うのです。
大雑把に言えば、
これで一時的には通常の1000倍の濃度に、
血液のビタミンCの濃度は高まる、
ということになります。

これはもう尋常ではありません。

ただ、何故こんなことをするかと言うと、
細胞の中に大量のビタミンCを無理矢理入れて、
細胞の中の環境を、
大きく変えてしまおう、
という考え方なんですね。

口から幾ら沢山のビタミンCを取っても、
細胞の中のビタミンCは増えません。
しかし、これだけ大量のビタミンCが、
一気に血液の中に入ると、
その常識は通用しない世界になるのです。

ビタミンCが大量に細胞の中に入ると、
一体どんなことが起こるのでしょうか。

試験管のレベルの実験では、
かなり画期的なことが起こります。
ビタミンCの還元剤としての働きには、
一定の限界があります。
要するに、還元出来ない物質もある訳ですね。
しかし、大量に入ることで、
その垣根が取り払われ、
細胞の中の代謝が変わります。
癌の転移や浸潤が抑えられ、
紫外線障害も改善、
虚血も起こらなくなり、
DNAのテロミアの短縮も起こらなくなります。
テロミアの短縮というのは、
老化の本体の1つと言われているものです。
従って、ビタミンCが大量に細胞に入ることによって、
老化も癌も心臓病も起こらなくなるのです。

まさに不老不死です。

今までの僕の書いたものを、
読まれた方なら大体推測が付くと思いますが、
僕はこういう人間のシステムに反逆するような治療には、
基本的には反対です。
人間のシステムは、
1日200mg 以下のビタミンCで、
うまく機能するように出来ているんです。
そりゃ、病気にもなるでしょうし、
老化もするでしょうけれど、
だからと言って、
そのシステムを無理矢理変えて、
細胞の中を若返らせて、
それで何か得るものがあるんでしょうか。

僕はそんなものはない、と思いますね。

ただ、抗癌剤としてのビタミンCには、
確かに他の薬剤にない可能性があると思います。
抗癌剤というもの自体が、
そうした人間のシステムを一時的に破壊する、
必要悪的な薬ですからね。

その意味では、画期的な抗癌剤になり得る、
というのが僕の意見です。
しかし、間違っても「若返りの薬」みたいな使い方は、
するべきではないと思います。
絶対に、それは人間を不幸にする治療になる筈ですからね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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